富野監督の久しぶりのロボット物でしたね。作品自体は佳作級でしたけど、作風は白富野なので安心出来た気が(笑)。
シベ鉄でGOGO! はっちゃけてたと言うか、OPの映像が踊ってたりしてて面白かった。何か異様に燃えるしね。この旋律と歌詞。
関係ないけど、某巫女キャラの詩帆ちゃんの事を、髪型からオーバーウーマンと呼んでたのを思い出すなぁ。私的には「すっぽんゲイナー」ってパロディもあったっけ(笑)。
結婚式当日。
俺は新婦側の身内故、かなり位置取りは好位置にあるので新郎の顔を間近で観察出来る。
結婚式の会場は王宮の庭園だ。
あの大神殿、魔神が鎮座するあの場所では無いのが意外であったけど、こうした慶事用のめでたい催し物海上としては冷遇されているのかも知れないと思う。
『まぁ、悪神に目を付けられたくないから忌諱するってのも、判らなくはないな』
呪われるとでも思っているんだろうか。
俺はデュークやフリード王、王妃に尋ねてみたくもあった。
そう言えば、フリード王妃と言ったら流石に欠席は失礼だと思ったのか、席に就いてはいたが、専ら誕生したばかりの幼い息子の相手をしていて、余り姉上の方を見ていない。
「それでは結婚の儀を執り行う」
ギリシャの神殿にでも出て来そうなオリーブで出来た冠を被り、太った大司教と言った風情の老人が宣言すると、正装に身を包んだデュークと姉上が居ずまいを正す。
デューク・フリードは『宇宙円盤大戦争』でのパイロットスーツ姿。いわゆる騎士の格好で、テロンナ姫は長いドレスを着込んだお姫様姿。
「妻は夫に傅く権利を与える。誓いの儀を!」
その大司教の宣言に頷きながら、姉の方を向くデューク・フリード。
緊張した空気が流れる。
フリード星の習慣を予め学んでいた俺は目を背けたかったが、これは婚礼の儀であるから参列した者として見届けなければならない。
「テロンナ。これが僕からの最初の愛の鞭だ」
デュークはすっと片手を挙げると、姉の頬を音を立ててはたいた。
ぱーんと小気味の良い音が響き、横っ面を叩かれた姉の細い身体が吹き飛んだ。
同時に「おおっ」と周囲から感動の声が漏れ、バチバチと祝福の拍手が巻き起こる。
「デューク・フリードばんざーい」
「王子、ご成婚おめでとう!」
壇下に並ぶ大勢のフリード星人が熱狂する中、弟が「見たくも無い、原始的な習慣だ」と小声で吐き捨てた。
俺もブーチンに、この時だけは同調したくなる。
フリード星では、結婚式に花婿が花嫁に手を挙げるのが慣例となっているのだ。
上位と下位を厳格に定めた身分制度から、妻は夫に対して下位であるのをここで知らしめる為、公衆の面前で頬を叩いて〝お前はこれから俺に傅くのだ。これか調教の第一歩だ〟と皆へ宣言する為の儀式である。
奴隷に対する調教にも似た野蛮な儀式であるが、フリード星の王族に入籍するのだから、これを止めろとは流石の大王にも言えない事情があった。
「……済まない」
ただ、叩いたデュークの方にも罪悪感はあって、倒れた姉の手を取って謝罪の言葉を述べている。
もっとも、これは極近くにある身内にしか見えないけどな。
そして、今まで姉を見ようともしなかったフリード星の王妃が、これ以上も無いと言った表情でにこやかに笑みを浮かべているのに、俺は個人的に殺意が湧いていた。
やはりあの女狐は姉に悪感情を抱いている。
『あれが姑になったらなったで、姉上は苦労しそうだな』
一応、これで正式に婚儀の儀式は終了である。
姉はテロンナ・ヤーバンからテロンナ・フリードとなり、フリード王家へと嫁ぐ事となる。
さて、二次会とでも言える披露宴へと移る直前、突如、地面が揺れた。
「うわっ」
「で、殿下!」
壇上に居るお偉さん方もそうだが、集まった大衆の方も大パニックだ。
秩序もクソも無い。
「どけっ、俺が先だ」
「ぎぉゃああああっ、子供が、子供がぁ!」
「何をしている。貧民のガキなど踏み潰せ。わしは伯爵なんだぞ!」
それなりに身分の高い連中の筈だったが、我先に出口へと殺到して大惨事が起こっている。
流石に壇上に居る高位の連中は動じていないが、これはこのステージ自体が高度なセキュリティで護られているお陰である。
地震や火災などの災害の他、テロに対抗すべく砲撃から身を守る為のバリアーさえ付いているので、この場では一番安全なのである。
「殿下。あれを!」
テイルが指さした先には例の大神殿があった。
そこから異音……と言うべきか、うなり声のような「おおおおおおおおおっ」と地獄の底から響いてくる様な音がする。
俺は体勢を立て直すと、「デューク・フリード!」と叫んだ。
フリード星の王子も瞬時に理解したらしく、「おうっ」と応えてすくっと立つ。
次の瞬間、俺とデュークは大神殿へと駆け出していた。
「大王様、大変です!」
俺達と入れ替わる形で、ヤーバン軍の士官が慌てて報告に現れたが、俺は気にも留めなかった。
ただ、ただ、恐らく異変の元凶でもある大神殿へと急いていたからだ。
息が苦しくなり、咳が出て吐きそうになったけど構わず俺は急いだ。
「これは……」
ようやく入口を潜ると、一歩先んじたデュークが絶句している。
当然だが、俺も信じられない気持ちで目の前の光景に見入っていた。
「魔神が!」
あの石の巨像が姿を変えていたのだ。
目は輝き、閉じられていた口は全開で咆吼し、全身はあの黄金色の輝きから鉄(くろがね)の様な黒鉄色に変化していた。
まるで前世で知る『ゴッドマジンガー』その物の様に。
「魔神よ。何かを伝えたいのか!」
「おおおおおおおおっ」
そのデュークの問いに魔神は答えない。
相変わらずの咆吼。しかし、デュークの顔には変化が起きた。
「そうか、ガッタイガーで出るべきなのだな」
「おおおおおおおおおっ」
「敵は……天使なのか」
デュークだけに聞こえる念話なのか、会話している様子だけど俺には内容が聞き取れない。
でも、天使って何だ?
そうこうする内に、ぴたりと咆吼が止まり、魔神の巨像の姿が再び黄金色へと戻ってしまう。
「ベガ君。僕はフリード星の為に闘わねばならない」
唐突にデュークが振り向くと俺に言った。
魔神から何か言われたのだろうか。俺が答えあぐねていると、彼は身を翻し、脱兎の如く駆けて行く。
呆気に取られて見守っていると、不意に脇から黒い影が飛び出してデュークへとぴったりと沿って走り始めた。
「貴公の言う通り、やはり予言の通りだった」
「信じて貰えたようですな」
歩みを止めずその影、ガタイのでかい男と会話を交わすデューク。
「私はガッタイガーで出る」
「は、ご武運を」
その黒い影、それは俺も良く知る大男だった。
ソリッドを携え、着流しと袴にも似たスカート状の民族衣装を着た偉丈夫。
「ドン・ランダム!」
俺の叫びにそいつ、オストマルクの武官はチラリと振り返ると、にやりと不敵な笑みを返したが、そのまま風の様に姿を眩ましてしまった。
そしてその時、俺は全く気が付いていなかったのであるが、フリード星近傍に異変が起こっていたのだった。
◆ ◆ ◆
〈続く〉
マルク編から引き続き、ドン・ランダム登場。
これにはワルガスダーの思惑もあるんだけど、敵の天使って何だろうね?
次回、戦闘が起こる事を予告しておきます。
一応ダイナミック系だけど、意外な敵が現れるよ(どマイナーだけどね)。