というかひいてます
梅雨。その名の通り雨が降る時期なのだが…まぁアスタリスクも雨が降るのよ。何ならもう二週間太陽見てないレベル。雨は嫌いじゃないが流石に鬱陶しいと思ったので『空』で雨雲を吹き飛ばそうとした所誤って竜巻を起こしあわやテロか何かと思われる誤解を招き、今日も今日とてトップニュースに輝きヘルガ土下座した。いやもう既に昨日だから今日も今日とてじゃないわ。…ま、俺の功績(?)によりアスタリスクには久しぶりの太陽が輝いていた。
「あん?…リューネハイム、今なんて?」
『だからー、八幡さんに私のブランドのモデルして欲しいんですよ〜』
「うっわぁ何その喋り方あざとい…」
『アレ、いろはちゃんが八幡さんはこの口調に弱いって言ってたんですけど』
「ちょっと待てお前何でアイツと知り合いなの?」
まぁ三浦関連で知り合ったんだと。確かに一色もたまーにアスタリスクに来るけど。というかクイーンヴェールに編入するらしいけどね。まさかそんな話する仲だったとは…
『それで、返事を聞かせてもらえますか?』
「却下だ却下。第一、俺じゃ映えねぇだろ」
『眼鏡掛けた八幡さんってイケメンですよね』
何それ待って知らない。ねぇその俺の知らない事なんで知ってるの脳内妄想か何かで合成したの?…と思ったがどうやら俺が葉山と悪ふざけで『超絶☆ファッション』というお互いを
「…でもなぁ」
最近は喧嘩を売られる事も減り、何なら喧嘩してないまである。ヘルガ達との訓練はやってるが、どうも刺激に足りんと思っていた所だ。…暇潰しだな。
「…まぁいいぜ。どうせ暇だし、このまま断り続ければ三浦どころかアイツらまで出てきそうだ」
『おーよく分かりましたね。雪乃さん達とももう友達なので逃げ道はないと最終手段として脅しを控えてたんですけど』
「最初から詰みならそう言ってくれない?」
小悪魔じゃねぇ、こりゃただの悪魔だ。
ま、こんな日も悪くねぇか。ヘルガの呼び出しもねえし…
「どこ行きゃいい」
『あ、もう今日行ける感じですか?ならクイーンヴェールの理事長室まで』
「あいよ。許可証は…」
『もう面倒なので八幡さん様のカード作りました。これ入口にスタッフさんに持ってて貰うんで、次回からはそれで』
なんでもありね、生徒会長ってば…
「…お、似合ってるぞ八幡。うーむこうして見ると中々にイケメンだな、君は」
「うっせぇ」
【歌姫プロデュース!あの『破壊神』が遂にシルヴィア・リューネハイムの手に…】
【胸元が開いた服に銀のネックレス。黒を基調としたファッションと眼鏡が合う。落ち着いたセクシーさに女性はメロメロ。しかし隠しきれない野性味が更に印象的】
【シルヴィア氏のコメント:『ここまで変わるとか卑怯じゃないですか?』】
後日、ヘルガの執務室では、眼鏡を掛けて仕事をする八幡とその八幡を眺めながら雑誌を切り抜く警備隊長の姿が、部下によって目撃された。
△▽△
「暇だな」
「おい警備隊長。書類がまだ残ってんぞ」
「……なぁ八幡よ」
「聞く耳はない」
「ラーメン奢るぞ?」
「聞こうじゃないか」
3秒で手のひらクルーを見せた俺に8万ポイント。ちなみにこのポイントは貯めても特に意味は無い。そして累計ポイントは35億と5000万くらい(適当)
さて、何の用なのやら。いつになくボーッとしている感じだが、熱でもあるのだろうか。それは心配だが…
「………何故だろうな、思う様に体も頭も動かん」
「やっぱ熱じゃねぇか…どれ」
額に手をつけると、めちゃくちゃ熱かった。というか汗も凄いし顔は真っ赤。あー陽の光、逆光で見えてなかったけど相当酷かったんだな。
「おい、医務室行くぞ。こりゃ酷い」
「うぁ……歩きたくない……」
「…チッ、おら」
椅子の前にしゃがみ、背中に乗れという合図を送る。ヘルガは乗ったというより俺の背中に落ちるように倒れ込んできた。…少女の姿でよかった。背中の柔らかい感触がいくらかマシだ。まぁいい匂いはするんだけど。
「仕事…」
「いーよもう俺がやっから。今は大人しく寝てろ、んで今度ラーメン奢れよ」
「…うむ」
俺の首に腕を回し、落ちないようにしがみつきながら彼女は寝息を立て始めた。ま、寝れるんならいいや。寝れない辛さが一番しんどいもんな。
さて、医務室行きますかね…
「んじゃ、後はよろしくです」
「はいよー。ありがとね隊長の事連れてきてくれて」
「や、まぁ。近くに居たからですし」
「ふーん…ま、仕事の引き継ぎは私から連絡するし今日は帰っていいと思うよ」
「うす、んじゃ」
ヘルガをベッドに寝かせ、近くの椅子に座り常駐の医者に見てもらった。軽い熱だそうで、まぁ安静にしてりゃ明日にでも元気になるそうだ。…どうせ前みたいに腹出して寝てたんだろうな。
立ち上がる際、ベッドに片手を置いて力を込めた。だからか、ヘルガが軋みで少し目を開けてしまう。
「あ、悪い…」
「……八幡?」
「おう、今から帰るわ」
そう言ってカーテンの方へ向かい、開けて医務室を出ようとする。最後に顔を見て手でも振ってやろうとしたのだが…失敗した。いや、これで良かったのだろうが、この時の俺は失敗したと思ったんだ。
泣きそうな顔で、必死に俺に手を伸ばしてるヘルガがいたから。
しゃーなし、その手を掴むためにカーテンは閉め直し、椅子にも座り直す。
ホッとした表情になり、再びヘルガは眠りについた。
「あら、帰らないの……って、あーらあら」
「…ま、どうせ暇なんで」
「ベッド。隣のとくっつけようか?」
「余計なお世話です」
ずっと手を繋いだままだったヘルガはこの後夜中まで目を覚まさなかった。医者の人はずっと俺と一緒にいてくれたが、何枚も写真を撮られてしまう。
目を覚ましたヘルガは、始めて俺に困惑した顔を見せた。ま、役得だと思っておくかね。
しかし何故俺は頬にモミジを作っているのだろうか。大方、汗を拭くヘルガと医者さんの事を考えずカーテンをオープンしたからだろうが、まぁこれも役得って事ですいませんでした許してください。
しかしちゃんと体調を直したヘルガは翌日、謝罪と感謝とともにラーメンを奢ってくれた。
替え玉を3回したら今度は俺が医務室の世話になるハメに。お腹痛いよぅ……
△▽△
第一回ヘルガの寝顔撮影事件の容疑者、医者さんが本人直々にボコボコにされ、本当の意味で医務室の住人になりかけた翌々日。相も変わらず俺は歓楽街に足を運んでいた。
「おーアレか…」
理由はディルクの依頼である。
『あ?歓楽街に星脈世代を狙った薬物取り引きが行われる廃ビルがあるだぁ?』
『ああ。ジェネステラ同士で暴れさせようって話らしい。猫に掴ませた情報によれば、販売元までは分からないまでも販売人の素性は割れた』
『物騒な…で?俺を通してヘルガに出動させるつもりか?』
『馬鹿言え。これ以上歓楽街に警備隊はいれたくねぇよ』
『またなんかやってんのかお前…いいぜ、何処で誰がやってやがる』
『ロートリヒトの外れ、再開発エリアに近い元カジノが運営されてたビルでな。そこだけ赤い鉄骨が剥き出しだから場所は分かり易いぜ。…で、販売人だが、元レヴォルフ、界龍の在名祭祀書にいた奴が数十人だ』
『規模がでけぇな…』
『翡翠の黄昏以来のテロかもしれん。…穏便に処理してほしいが、ダメなら派手にやっちまえばいい』
『いいのか?警備隊が…』
『お前が本気出さなきゃいけねぇ相手を放っておけるか、今ですら危ねぇと思ってんのによ』
『りょーかい』
『頼んだぞ』
という訳だ。真夜中だが、まぁあのビルの目立つ事目立つ事。大声で笑い、光は爛々と輝き、隠す気ある?ってくらいとち狂った騒ぎだ。あそこだけ床あるけど強度心配だなぁ。
まぁ突入すりゃいいか。俺は空で飛びながらゆっくりと降り、騒ぎのある階の一つ上の鉄骨に乗る。まずは会話でも聞いとくか。
「あー最っ高にいいぜ…頭が冴えやがる…」
「新しいのねぇのか?」
「どんどんキメろ!明日はいよいよアスタリスクを滅ぼす戦争の日だ!」
「ヒャッハー!!」
「酒もねぇぞー!?」
いや普通に黒じゃん。これには俺も驚く。…ディルクにメッセ送るか。
それにしても…アレだな。全員で何人なんだ?元ネームド・カルツが数十人で、いやそれ以上…ざっと見ても50はいるな。制服着てるバカが数人いるが…おいおいガラードワースまでいやがるぜ。一応学校派閥的なのがあるのか、似たような雰囲気の奴は固まってんな。
薬は…注射と吸い込むタイプの2種か。趣味悪いな。ついでに胸糞も悪い。
『悪いディルク。最初から本気で行く』
「『神風』」
とりあえず、ゴミと薬は一緒にお掃除だ。集まってる連中のど真ん中に神風を起こし、全員を吹き飛ばした。
さ、大人しく捕まってくれると有難いんだけどねぇ。
△▽△
「な、なんだぁ!?」
「うがぁあああ!?」
「や、
多分五階位から落ちただろう奴らは、そのほとんどが普通に地面に立ってた。何人か転がってるが、呻いてるし死んではねぇだろ。…あ、猫さんが回収してくれてら、サンクス。
「ちくしょうどこのどいつだ!!」
「出てこい!?警備隊かっ」
残念、学生です。
ここで姿を見せる愚行は犯さず、闇夜に紛れながら空を飛び、その際にも神風を起こして攻撃する。空裂も混ぜてるからか、すぐに何人も切り刻めた。
「…」
そんな中、始めは動揺っぽい事をしてた割に今は落ち着き、空裂も神風も避けた奴が7人もいる。…ただもんじゃねぇな。威力相当強いはずだが…アレが例の。
気付けば、そいつら以外は地面に寝ていた。血塗れの奴もいるが、欠損や致命傷は避けたから大丈夫だろ。
猫さんに回収を任せ、俺はそいつらにまたしても神風を送る。全員顔をマスクで覆った彼らは、大きく横っ飛びする事で回避。直撃した赤い鉄骨ビルは轟音を立てて倒壊し始める。
「あ、やべっ」
すぐさま空壁で身を守り、風で土埃を晴らす。すると後に気配がしたので、懐に手を突っ込んで手に取ったナイフを投げた。
キィンと音を立てて何処かに弾かれたナイフを他所に、両サイドに増えた気配に向けて空裂。が、手応えも悲鳴もない。オイオイ相当手練なんじゃねぇのか…?
「シッ」
「ハッ」
短い息と同時に吐き出された声と共に、今度は気配を四つ感じた。跳躍し、空裂。だがこれも地面を破壊するだけ。そしてまたその姿を表した7人の手には、俺が先程みた注射ではない別の注射が握られていて、それは既に中身が撃ち切られようとしていた。…嘘だろ?
中身がなくなった注射器を、奴らは投げ捨てる。すると全員が発狂し始め、見えていた部分の皮膚が赤く染まり始める。苦しむ彼らを見て、俺は気を失わせようとやむなく電力を使った。
しかしそれは他でもない彼らの腕によって打ち払われた。……なんだ、あの皮膚。電力が防がれた?
「「「がるぅゥウアアァあぁAAAーーーーーッ!!!」」」
そして彼らは、最早人ではない声を出して俺に襲い掛かってきた。
しんどいので今日はこれだけ