はちまんエンペラー   作:Nokato

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アスタリスクの後輩

 

あの後、すらこらサッサといった感じでその場を足早に退散した俺達は、かなり遅めの昼食を摂ることにした。幸いというべきか助ける形になった少女の様態は瘴気を吸い込み若干気分が悪い程度のもののようだ。今は少し現場から離れた場所の野外カフェで共に席を取っている。

しかしアレだ…

 

「まさかこの店にMAXコーヒーが無いとは…」

「アレは店に置くものではないでしょう…」

「ヒッキー、飲み過ぎちゃダメだよ?」

「……アレを飲む猛者が居たとは…」

 

酷い言われようで御座る。拙者涙が出ますよ…材木座は死んだ、もういない。(大嘘)

さて、少しばかり話を聞いてみれば、ユリス…ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト(本名はもっと長いらしい)は星導館転入生で、一つ年下なのだそう。つまり中三。今年から通い始めるらしい。

すまん俺もう少し下に見てた。

 

「…で、貴女はあのエレンシュギーガルと幼馴染で…」

「そのマグナム…オクトパス?って言うかアルルカント!酷い事するねー!私許せないっ」

「ええ、ええ。今は泣いていいのよリースフェルトさん。さぁこの紅茶を飲んで…美味しい?」

「ふぐっ、ヒック…ありがとうございます…」

 

だってめっちゃ泣いてるもん。もう小学生って言われても信じるレベル。女子の方が成長が早いから、高学年の小学生で通用する様な幼い雰囲気だ。初対面の時の堅苦しい口調は由比ヶ浜持ち前のコミュ力でぶち壊し、雪ノ下の面倒見の良さから段々口を紐解いた少女は遂に途中で何かが決壊した様に涙を流し始めた。

 

話を聞けば、リースフェルトはリーゼルタニアという、落星雨(インベルティア)以降に世界各地で復活した王政の国の一つの第一王女で、とある目標の為にこのアスタリスクに来たらしい。その目的は『金』。孤児院の維持費やらの為という何ともこの二人の情を誘う言葉だった。

そしてその他に、変わってしまった幼馴染オーフェリア・ランドルーフェンを取り戻す事も目的としているようだ。しかしそれは先の戦闘の全容を知らない俺でも無理だということは確定的に明らかであった。次元が違う。

 

「オーフェリアは良い奴で…アイツが作ってくれたハンカチは今でも私の宝物で…」

「ええ、ええ」

「なのにアイツは関わるなって…運命は覆らないとか難しい事言い出して…!」

「それで決闘挑んで敗けた、と」

「ううううぅぅ…」

「ヒッキー…今のはないよ…」

「最低ね屑谷君…」

 

あ、ヤッベ口に出しちゃった。心の中で事実確認をしようとしてただけなのに…サーセンした…

 

さ、さて割と美味いスパゲティを平らげた俺達は、もう暫くリースフェルトに付き合う事にした。

 

「今年の王竜星武祭…まだ私には無理だと思い知らされた…来年の鳳凰星武祭(フェニクス)に向けて邁進せねば…」

 

徐々に落ち着きを取り戻したリースフェルトは目を赤くしながらも自身の力の無さを補う方法を模索し始める。雪ノ下も由比ヶ浜も既に手伝う気満々なのか、三人で話し合い始める始末だ。

 

さて、手持ち無沙汰になった俺は端末を開く。…ちょうど通知を切っていたからか気付かなかったメッセージを開き、内容に顔を顰めた。

 

ーーーーー

比企谷、君はもうアスタリスクに着いたかい?僕はもう既に到着しているけど、何処かで会えないだろうか。

そうそう、改めて言うけど、僕は星導館に入学したよ。川崎さんも、姫奈も翔も、戸塚も居る。材木座はアルルカントだね。

優美子はクインヴェールだよ、少し意外だろ?

まぁ兎に角、君に会いたい。空いてる日と時間を教えてくれ

 

隼人

ーーーーー

 

キッモ!!寒気したぜフウーッ!思わず二の腕をさすり、体に生気を呼び戻す。クッソ気持ち悪いメッセージやめろ葉山マジで!君に会いたい…(葉山イケヴォ)…うおおおあああああ鳥肌があああああ!?

 

ーーーーー

 

会ってはやるがその気持ち悪い言い方やめろ死にかけた

 

ーーーーー

 

とりあえずこれだけ送り、他のメッセージも開く。…小町か。

 

ーーーーー

やほーお兄ちゃん!もうアスタリスクについてるかな、かな?

葉山さんと沙希さんからメッセージは届いてたのにお兄ちゃんったらもー!どうせなにかに首突っ込んで忘れてるんだろうけど!

これはもうごみぃちゃんとしか言いようがないね!お兄ちゃんに昇格したいならば早くメッセージを送り返すのだー!

ーーーーー

ーーーーー

愛してるぞ小町ーーーー!!!!!!!

アスタリスク着いた

ーーーーー

ーーーーー

OK

ーーーーー

 

うわぁい速攻返信来たと思ったらOKで済まされたよ…お兄ちゃん泣いちゃうよ?

さて、目の前の女子達はまだ真剣に話し合ってるし…メッセージは、後はもう来てないか。

 

「ほう、雪乃さんは雪を操る魔女なのですか…」

「正確には水態…水分の三態ね」

「ユリリンは炎なんだね!ヒッキーと同じだ!」

「比企谷さんも魔術師なのですね…」

 

随分仲良くなってますね…君達。流石というか何というか。

それにしてもリースフェルトは出会った当初の雪ノ下の雰囲気に少し似ているな。他人を寄せ付けなさそうな雰囲気とか特に。

 

「結衣さんは魔女なんですか?」

「一応ね〜。でも、攻撃とかは出来ないんだ〜」

「防御系…という事ですか?」

「ええ。由比ヶ浜さんは異能…私達の魔女の能力が効かないのよ。比企谷君だけは例外なのだけれど」

「凄い力じゃないですか!サイコキネシスの様に別の物体を操るタイプとは相性が悪いかも知れませんが、私の様に能力そのもので闘うのではアドバンテージが一気に失われますね」

「本当に厄介よね…」

「ちょ、ゆきの〜ん」

 

おぉ…百合百合してますね…眼福です。というか由比ヶ浜の渾名付けに巻き込まれた挙句『ユリリン』か。これはもう逃れられない百合の業がついて回るぞ…

 

「比企谷さんだけは例外、と言うと?」

「ああ、彼。とんでもなく強いわよ。多分だけれど、私達が束になっても勝てない」

「ヒッキー強すぎ!能力封印しようとした時だって普通にバリア貫通してくるしマジありえない!」

「えぇ…(ドン引き)」

「ちょっと?変な顔しないで女の子がそんな顔しちゃダメよ?というかお前ら何仲良くなってんだよ…」

「あら、嫉妬かしらヤキモチ谷君。所でメッセージのやり取りは終わったのかしら?」

 

っと、会話に途中参戦してしまったら手酷い名前で呼ばれてしまった。しかしすぐに雪ノ下は俺がしていた事を見抜き、用は済んだかと聞いてくる。

 

「ああ、葉山と小町だった」

「えと…」

「あら、ごめんなさいねユリスさん。前者が同級生で、後者が彼の妹さんよ」

「世界一可愛い妹と言え」

「あ、あはは…」

 

何で渇いた笑いなんだ。可愛いぞぉ写真見せてやろうか。なんて思ったがやっぱこの可愛さは安売りしまいとし、どうしてもと懇願するのであれば見せてやろうとする。多分これ見たら世の男は皆小町に惚れてしまうからな…リースフェルト女だけど。

 

「…さて、お前らもそろそろ話し終わったか?」

「あ、はい。皆さんありがとうございました、少しスッキリしました」

「いえ、気にする事ではないわ。私も、友人が増えて嬉しいもの」

「私もだよユリリン!連絡先も交換したし、何時でも連絡してね!」

「ありがとうございます」

 

と、随分話し込んでいたのか既に日は傾いていた。夕陽となる太陽をバックに、俺は雪ノ下達と別れる。彼女らはリースフェルトと談笑しながら、新たな住処となる寮へと帰っていった。

 

俺はというと、レヴォルフ前に荷物を運んで来てもらう予定時間が迫っているので急ぎ戻った。

 

配達員さんは、終始その巨躯に似合わぬ小心っぷりで荷物を運んでくれた。お兄さんサイコキネシス使いなんすね…今日で二人目だよ…

 

 

 

 

△▽△

 

 

『…やぁ比企谷。会いたいと思ったんだけど、まさか画面越しとは思ってもみなかったよ』

「うるせぇ。気色悪いメッセージ送りやがって…」

『はは、許してくれよ。どうしても話がしたかったんだ』

 

いつもの様に笑う葉山に、俺は毒づく。今は本棚の組み立てをしつつ、部屋着で葉山と通話している状態だ。時刻はそろそろ21時になるが、漸く最後の本棚の完成だ…五つも買ったがギリギリの容量だったな。

 

「んで、要件はなんだよ」

『つれないなぁ…もう少し君との会話を楽しませてくれよ』

「切るぞ」

『ああごめんごめん。…とりあえず、入学おめでとう、お互いにね』

 

葉山は少し溜めてそう言った。コイツ…

 

「…ああ」

『残念、君の口からおめでとうが聞きたかったんだけどな』

「んなこったろうと思ったぜ…」

 

葉山は、三年の時に少し変わった。雪ノ下さんの弄りを受け流し、逆に皮肉で返したりし。こうして俺を弄ぼうとしてくるのだ。何か、憑き物が取れたかのように。

多分原因は、三浦と付き合い始めたからだろう。その報告を聞いた直後から、或いはその時から既に葉山は変わった。…依然として答えを見つけない事が正解だとは抜かすが、最終的にはちゃんと動く様になったし、何より自分の意見を押し通そうとする時も出てきた。雪ノ下さん驚いてたなぁ…

 

『まぁいいさ。本当は面と向かって、飯でも食べながら他愛ない話がしたかったんだけどね』

「明後日もう入学式だろうが」

『時間が無いよね…』

 

そう、なんと言ってももうそろそろ入学式なのだ。空いてるのは明日のみ。…だが、明日は雪ノ下達はリースフェルトと、俺は単独で色々見て回る事にしたのだ。

 

「…あー、明日なら俺一人だぞ」

『…珍しいね?雪ノ下さん達は?』

「今日知り合った後輩とお出かけ&親睦会だ。男の俺がいるのも悪いだろ」

『成程…だったら明日君に偶然会うかもしれない訳だ』

「……界龍(ジェロン)には行かねぇぞ、場所はメインステージ近くの噴水だ」

『それじゃ俺が陽乃さんに色々言われちゃうよ…まぁいいか無視で。じゃあそこで明日の昼でいいかい?』

「ホント変わったよなお前…」

 

魔王を無視だなんて信じられん。今までなら死ぬほどビビって俺に頭でも下げてくるか雪ノ下達を使って無理矢理にでも会わせただろうに。

 

「ああ、それでいい」

『にしても…アスタリスク噴水多いよね…』

「まぁな、それは俺も思った」

『噴水間違わないでくれよ。…じゃ、また明日。おやすみ比企谷』

「誰が間違うか…じゃあな葉山」

 

丁度本棚最後の一つが完成した時、葉山との通話が終わった。

本棚を設置し、並べていく。因みにクローゼットはもう既に終わっているので後はシャワーを浴びて寝るのみだ。

 

さぁ、明日はとりあえず普通に起きないとな…

俺は既に届き、クローゼットに入れてあるレヴォルフの制服を見て、似合わなそうだと自己分析をしてから布団に入った。

 

あ、レヴォルフの布団柔らかい気持ちいい…

 

 

 




葉山、優美子と付き合い始めました。

由比ヶ浜は珍種に似た能力持ちですが、自分に触れた能力しか無効化出来ません。故にオーフェリアの星辰力を吸い取ることは無理です。
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