頑張ります。
ヒーローに憧れる。
男の子なら一度は、あったと思う。
流れているヒーローもののアニメに胸を躍らせて、テレビの前で拳を固く握って応援したことも。
俺もそうだ。
しかし小さい頃に憧れたその気持ちも、次第に無くなって行く。
大人になって行く。
ヒーローなんていないと思い知らされる。
そんな都合のいいタイミングで助けに来てくれる者などいないから。
他人を助ける力などない。
自分もみんなと変わらない、助けられる側だから。
他人のことを気にしている余裕なんてなくなっていく。
仕事や人間関係だけでも精一杯だから。
日々、自分が生きていくだけでいっぱいいっぱいで、誰かを助ける余裕なんてない。
俺も、みんなも。
誰かを助けたからと言って目に見える利益などなく、得られるのは、他人からの感謝と満足感だけ。
他人からの感謝で生活費を賄えるわけがない。
満足感で腹は、膨れない。
そんな衰えた気持ちを再び昂ぶらせてくれる世界があったら?
ヒーローという職業があり、人を助けることでお金がもらえる。
ヒーローになれる力があって、人を助けることができる。
助けてくれる人がいて、自分もなれると思う道がある。
そんな世界があったら誰だってヒーローになりたいに決まってる。
だから俺は、ヒーローを目指した。
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俺、加藤 しげるは、ただの一般市民だ。
他の人と大差なく、毎日の仕事に疲労困憊のサラリーマン。
彼女をつくれたことはあるが、結局別れ、それ以降彼女をつくれていない。
26歳なのでそろそろ結婚したいが相手なんていないし。
電話したときの両親のまだ結婚しないのか、という言葉を思い出し、少し憂鬱になりながら会社に向かう。
ブラック企業、ではない。
昔は怪しかったが最近の政治の方々が上手くやってくれてるようだ。
しかしブラック企業でなくとも、仕事が嫌なのは変わらない。
会社に隕石でも落ちてくれないだろうか。
小学生のようなことを思ってしまう。
今の仕事にはやりがいがない。
デスクワークばっかりで人の役に立ってる気がしないので、承認欲っていうのが全然、満たされない。
まあ、そういう仕事ばかりだと思うけど。
生きていくには、お金が必要だ。
だからこそ働いているけど正直なところだらけたい。
しかもその肝心な”生きていく”意味が最近、わからなくなってきた。
飛び降りでもしてやろうか。
勇気がないので出来ないけど。
そんなことを考えていたからだろう。
こちらに向かってくる車に気がつかなかったのは。
強い衝撃。
そして音。
最後に見たものは、自分自身の血と悲鳴をあげながら逃げる市民だった。
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ここは、何処だろう。
次第に覚醒して行く意識の中、そんなことを考える。
聞こえるのは、喜んでいる人の声。
目は、何故かぼやけていた。
謎の浮遊感を感じながら、何があったのかを考える。
確か会社に向かっていて、考え事をしてて、その後は?
会社に着いたっけ?
そこで記憶が途切れているところをみると、その間に何かがあったようだ。
最後の記憶をたどっていった。
それから少し経ち、誰かの泣き声を聞きながら、混乱する頭を整理する。
あの衝撃、視界に捉えた血と逃げる市民。
そこから考えられるのは、何かが俺にぶつかって、それで俺が血を出したってことだ。
交通事故かなんかがあったのだろう。
大事なのは、そこじゃない。
血を出したってことだ。しかも流れるほどの。
それほどの怪我をしたんだから病院にでもいるんだろう。
ならこの無駄に喜んでいる若々しい声は、なんだろう。
まさか俺が怪我して喜んでいる人がいるのか?
え、俺そんな嫌われてた?
気落ちしそうになる心をなんとか立て直し、その仮説を否定する。
なんたって良くも悪くも俺、目立ってなかったし。
なんか悲しくなってきた。
まあそれは置いておいて、別の可能性を考えよう。
俺が超重傷を負っていて、ギリギリ一命を取り留めたから喜んだ。
ありえる。ありえるがありえない。
さっきも言ったが良くも悪くも目立たずに生きてきた。
俺の無事を喜んでくれる友人なんていない。
また悲しくなってきた。
それに両親は、こんな若々しい声していなかった。
さっきから聞こえる泣き声もそうだ。
声が高く赤ん坊の泣き声みたい。
まるで出産現場のようだ。
ん?出産現場?
確か最近有名な二次小説にあったはずだ。
転生もの。
主人公が転生してその世界で活躍する。
それでハーレム作って無双するんだ。
実に夢がある。
だからこそ”夢”だと分かってしまうんだけど。
もしかしたら転生したのかも、なんて想像してしまったのは、悲しい男の性か。
出来れば転生であってほしいな。
つまらない社会とおさらば出来るし。
そう考えながら見ていた視界は、急にピントがあったかのようにあるものを映し出す。
それは、まずお目にかかることがないような絶世の美女だった。
大きさは、頭おかしいけど。
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転生してた。
待って!精神科勧めてこないで!
まあ俺も可笑しくなっちゃったかな?と思ったけど。
まずは、俺の身体を見て欲しい。
小さくぷっくらした手と腕。
ちょっとしたデブみたいに膨らんだお腹。
可愛いんだけど自分がそうなっている思うと鳥肌が立ちそう。
それは置いておいて、見ての通り、身体が赤ん坊みたいになってしまった。
病室で聞いた赤ん坊の泣き声は俺の声で、喜んでいた声が、絶世の美女と称した女の人、俺のお母さんだった。
お父さんは?と思ったが後から仕事で来れなかったと判明。
そのお父さんもイケメンだった。
やっぱり可愛いやつは、イケメンと結婚すんのか、と捻くれたことを思いつつこの世界のことを考える。
転生、といったら異世界でしょ!的な思考があったが今把握している範囲で考えると元の世界と変わらない。
つまりあれだ、あのつまらない社会がまたやってくるというわけだ。
まあ、まだ18年ぐらい後の話だ。
また小学も中学もやり直せると思ったら、全然問題ない。
そう思うが一応前の世界との違いを探す。
出来れば楽しく人生終わりたいし。
元の世界との違いを探していると面白い会話が聞こえて来た。
「氷軌!もう時間ですよ!」
「おお悪い悪い。つい二度寝しちゃってな」
「もう!そんなんで”ヒーロー”やっていけるの?」
そうヒーローだ。
この世界には、ヒーローというものがあるらしい。
警察をヒーローと例えて呼んでいるのかもしれないが。
とにかくだ!ヒーローってのがある以上、知っておいて損はない。
うまく喋れるようになったらお父さん、成河 氷軌に色々聞いてみよう。
そう決心しつつ襲ってくる眠気に身を任せた。
勢いで書きました。
シナリオ、頑張って考えます。