扉を開け、中に入っていく。
そこには20個の机と椅子が並んでいて、もう来た人達が喋ったり、椅子に座ったりしている。
興奮する気持ちを抑え、今気づいたことを考える。
1クラス20人。
そこは原作も現実も変わっていない。
違うのは”俺がいる”ということだ。
俺が入ったので残り19人。
必然的に原作のA組キャラの中で一人いなくなってしまうんだけど。
黒板に貼ってある、席順の紙を見る。
順番に名前を確認していくと、青山 優雅がいない。
つまり俺が入った代わりに抜けてしまったのは青山らしい。
結構好きだったキャラだけに、あの変態峰田が抜ければよかった、なんて思ってしまうがしょうがない。
B組にいるかもしれないし、探してみよう。
「おい凍焼っ!」
そんなことを考えていると誰かに呼び掛けられた。
俺の名前を知っている、この喋り方と声。
二つのことから誰だか簡単に思い浮かぶだろう。
約一年ぶりに友達と会えたんだ。
嬉しくないはずがない。俺も爆豪も。
内心舞い上がりつつ後ろを向いた視界の先にいたのは、俺の予想と反し、鬼の形相でこちらを睨んでいる爆豪だった。
「てめぇ勝ち逃げして、俺を騙して楽しかったか、おいっ!」
唾を飛ばしながら、怒りの言葉を出している爆豪を前に思い出す。
そういえばキャンプのときの鬼ごっこ。
あのあと勝つと宣言された。
急に家族がヴィランに襲われて完全に忘れていたが、あれが勝ち逃げした、と思われたのだろう。
連絡も取れなかったしな。
「そうじゃなく---」
「そうじゃねぇもクソもねぇ!そんな言い訳聞きてぇわけじゃねぇんだよ!」
弁明しようと声を出すがすぐに爆豪に遮られる。
教師から事情を聞いていると思うんだが、それでも許せなかったらしい。
「喧嘩したいなら他所へ行け」
どうしようか迷っているとそんな声が聞こえてきた。
声が聞こえてきた方向へ目を向けると、寝袋に包まっている小汚い人が。
「ここは…ヒーロー科だぞ」
そうゼリーを吸いながら言った。
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相澤 消太。
それがあの小汚い人、もといA組の担任の名前だ。
静かになるまで8秒かかりましたと、どこかの校長先生のようなことを言い、自己紹介を始めた先生。
自己紹介のあと、本当に早速体操服を着させられ、グラウンドに出された。
個性把握テストをやるらしい。
普通、入学式やガイダンスをやるのだろうがヒーローになるなら、そんな悠長な行事出てる暇ない、らしい。
一応、前世の知識で知っていたとはいえ、入学式などをやりたかったと思ってしまう。
爆豪のことも合わせて、テンション下がりまくってる。
「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側も然り」
そう言ってから、個性把握テストについて説明し始めた。
簡単に言えば、中学でやった体力テストの個性ありバージョンだ。
お手本として一般入試で一位だった爆豪がやるらしく、みんなの前に爆豪が出た。
中学のときのソフトボール投げが67m。
そこからどれほど伸びるのか、原作の記録を忘れてしまった俺としては気になる。
「じゃあやってみろ。円からでなければ何をしてもいい、早よ。おもいっきりな」
先生が呼びかけると短いストレッチをやりだした。
どうやら準備が終わったようだ。
「んじゃま」
普通のボール投げのように振りかぶって。
「死ねえ!!!」
打ち出す時、球威に爆風をのせた。
ヒーローらしからぬ掛け声。
先ほど喧嘩した身としては、俺に向けて言われた言葉じゃないのか、とか戦々恐々しつつ、そのボールを目で追う。
爆風で威力が増したそのボールは、嘘みたいな速さで、嘘みたいに遠くへ飛んで行く。
そして視力の問題で見えなくなった後、ピピッという音が先生の手元で響いた。
手元にあるのはボールがどこまで飛んだかを測る機械。
その場所には、こう書かれていた。
714.3m。
個性を使わない場合が67mだから、647.3mも伸びたことになる。
おお!と湧き上がるクラスメイト。
そんな中で誰かが言った。
面白そう、と。
どうやらそれが気に食わなかったらしく、トータル成績最下位のものは見込みなしと判断し、除籍処分にするらしい。
原作を読んだとき、俺は緑谷を除籍するためにやったものだと思っていた。
その予想通りなら、原作と変わらず、俺が筋トレに誘ったのに緑谷は体を鍛えていなかった、または鍛えてはいたが、制御がまだできていない、のどちらかだろう。
まあ予想が外れてるかもしれないが。
「生徒の如何は俺たちの自由」
周りが動揺している中、続ける。
「ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ」
高校生活初日。
生徒たちに受難が降りかかる。
青山さんがログアウトしました。
自分にはあの方を扱いきれる気がしないです。
ちなみに峰田は嫌いなわけじゃありません。
むしろ好きです。
俺たち男にとって勇者と言っても過言ではありません。
持論です。