ちなみに成河は、なりかわです。
氷軌は、ひょうき。
あれから一年。
俺の名前が成河 凍焼だとわかったったり、恥ずかしいことや不便なことなどたくさんあった一年。
今では「あー」「うー」などの意味不明な言葉だけでなく、結構喋れるようになってきた。
それと同時に歩けるようにもなったので、この家がかなりの大きさだと分かった。
どうやら実家らしく、俺にとってのおじいちゃん、成河 雹亮が元々ヒーローをやっていて、それで稼いだお金で建てたらしい。
苗字から分かる通り、お父さんの方のおじいちゃんだ。
ヒーローって儲かるんだな、と思った。
今日は、俺の誕生日である5月6日だ。
どうやら誕生日を祝ってくれるらしい。急な出産で来れなかったお父さんも今回はいる。
おじいちゃんもいるし、お母さん、成河 操もいる。
いつもと変わらない離乳食だが雰囲気だけでも嬉しいものだ。
家族との会話に苦労しながらご飯を食べすすめていく。
「よく食べるな。将来は大きくなるぞ」
お父さんが俺の頭を撫でながらそう言う。
ヒーローとか戦いが絶えなさそうだが、その腕は結構細いし、柔らかい。
裏方役ヒーローとかだろうか? 裏方役ヒーローって何だよ。
「そうね。この子は、どのように育つのかしら」
お母さんがこちらを向いて微笑みながら言った。
女性に耐性のない俺にそんなことされても、困るだけなんだが。
「ヒーローになってくれれば嬉しいが危険だからな」
少しだけ憂いの浮かぶ顔をしながら今度は、おじいちゃんが言った。
その顔は、鼻からこめかみにかけて、斜めに傷ができ、その傷のちょうど真ん中にある目には義眼が入っている。
きっと戦いの中で出来てしまった傷だろう。
そのエグさがヒーローという職業の大変さを物語っている。
でもヒーローという職業がどのようなものか知らない俺としては、説明しろって話だ。
「ひーろーってどんなことするの?」
少し舌足らずの声で聞く。
前から気になっていたことだ。
せっかく喋れるようになって聞く機会ができたんだから聞いておかなきゃ。
「ヒーローってのはな、個性を使って悪さをする奴を懲らしめる職業だぞ!」
「氷軌、まず個性から説明しないと分からないと思うわよ?」
「そうだったな。個性っていうのはな---」
そうやって会話が続いていく。
しかしその声を俺は、聞いていない。
いや聞く暇がなかった。
個性?個性って言った?
それにヒーローっていう単語。
何で気づかなかったんだ。
つまりここは、『僕のヒーローアカデミア』の世界。
あのオールマイトや緑谷 出久、爆豪 勝己などのキャラクターを三次元で見れるってことだ。
しかも原作通りならあんなかっこいい職業、他にない。
デスクワークばっかりじゃなく、人の役に立てて、しかもお金も貰える。
理由は、少し不純かもしれないが人の役に立ちたいっていう想いは、本当だ。
これはなるしかない。ヒーローに!
「----つまりだな。個性ってのは、人それぞれ違う超能力みたいなもので、って聞いてるか?」
そう聞いてくるお父さんの声も聞こえずに。
「なる、なるよおれ、ひーろーに!」
ただそう想いを伝えた。
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あの後、止められたが、変えるつもりはない。
両親やお爺ちゃんは、どうやら成長したら途中で諦めると思っているようで。
いや、諦めない。元大人の維持を見せてやる。
個性の練習を!と思ったがまだ発現してなかった。
筋トレもどうかと思うし、今は両親がどんな個性かを教えてもらい、自分がどんな個性かを考えることにした。
お父さんはどうやら”氷結”という個性。氷を出したり、ものを凍らせたりするようだ。
デメリットは、体温の低下。
お母さんの個性は”操作”。
見ているものや体に触れているもの、または自分が作ったものを操る個性らしい。
デメリットは、操りすぎると頭が痛くなることと”見る”だけじゃ生物を操れないところ。
どうだろ。
お母さんの方の個性は、正直受け継ぎたくない。
なんていうか、微妙?
かわってお父さんの個性。
カッケェ!
ヒーローアカデミアの登場人物、轟 焦凍の個性である半冷半熱の下位互換かもしれないが右からしか氷を出さない、というデメリットがないので氷で戦ったら多分勝てる。
まあ元々、轟 焦凍の個性は、公式チートなので問題ない。
お父さんの個性ならヒーローになれると思う。
お母さんの個性は、どうだろ?
正直強いとは思うんだけどな。
使い方による。
頭の中で個性の使い方を考える。
そんなことをしながら日々は過ぎていった。
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それから何事もなく幼稚園に入って過ごしてる。
ちなみに個性はまだ発現していない。
あれ?無個性なんじゃね?と不安になる。
しかしそんなこと、どうでもいいと感じる出来事があった。
なんと。爆豪や緑谷と同じ幼稚園だったのだ。
そりゃ俺のテンション、マックスよ。
無駄にテンション上がっちゃって最初は、若干引かれたけど今じゃいい友人としてやっていけてる、と思う。
どうやらこの体は、中々の才能の持ち主らしく、爆豪と張り合えるどころか、追い越せるぐらいの才能がある。
そのおかげか爆豪の中で”いっちゃんすごい”のが俺と爆豪だと思っているらしく、それで仲良くなれた。
緑谷とは普通に接するだけで仲良くなれた。
元々友達が多かったわけじゃないようで少し話したら懐いてくれた。
子供ゆえの単純さも含まれているんだろうけど。
そして今日は、その爆豪と緑谷の三人で遊んでいる。
どうやら爆豪の個性が発現したらしく、その自慢だ。
「ほら!どうだ!」
子供の爆豪が目をキラキラさせながら話しかけてくる。
もちろんその手には、本当に小さく、だが確かに爆破していた。
「かっこいい!かっこいいよ!かっちゃん!」
緑谷が爆豪を褒める。
こちらも目をキラキラさせながら。
僕も早く発現しないかな、と呟いている緑谷が無個性だと知ってる俺からすれば少し可哀想。
「かっこいいな!俺も早く発現させてみせる!」
そう話しているのは、俺だ。
内心、爆豪への嫉妬でいっぱいだがそこは、大人だしな。
「もしかしたらお前ら無個性かもな!」
「えぇやめてよ」
爆豪が笑いながらシャレにならない冗談をぶっ飛ばしてきやがる。
喧嘩売ってんのか。
「無個性だったら個性なしでお前を追い越してやるさ」
そんな会話を終えて遊具でヒーローごっこをして遊んだ。
俺がヴィラン役だ。
そして帰り、どうやらもう一度、爆豪の個性を緑谷が見たいと言ったようで、また見せてくれるようだ。
まだ発現していない俺からすれば正直嫌がらせでしかないが黙って見とく。
「ほら、見とけよ」
そう言いながら発動させた個性は、さっき発動させた個性よりも何倍も大きく。
俺の身体に直撃した。
爆豪の個性”爆破”は、手の汗腺からニトロのようなものを出し、それを自由に着火させる個性だ。
その性質上、運動して身体が暖かくなればなるほど、分泌されるニトロのようなものの量が決まる。
ヒーローごっこをする前と後、体温が高いのは、もちろん後だ。
なので前より後の方が威力があがったのだろう。
しかしそんな冷静な思考を襲ってきた衝撃と痛みの中で考えることなど出来るはずがなく、前世で死んだときを思い出してしまう。
死にたくない!
パニックになりながら考えたことは、原因の排除。
つまり爆豪への攻撃だ。
しかしパニックになっている中で人を正常に判断できず、そんな中で最初に目をつけたのは、緑谷だった。
伸ばした右腕から氷が飛び出し、緑谷に向かって驚くほど速く進んで行く。
これが一つ目の個性。
そして”入ってきた”二つ目の個性を使って、左腕から火を出し、また緑谷に向けて放つ。
そこまでして今自分が何をしたかということに気がついた。
個性が発動した、という感動は一切なく、感じたのは焦り。
当たり前だ。
やったことは、人に向かって重火器ぶち込んだようなものだから。
すぐに個性を解いて緑谷の安全を確かめる。
どうやら爆豪が緑谷を押して、避けさせたようで無事だった。
爆豪も無事のようだ。
「ごめん!大丈夫か!」
倒れてる緑谷のもとへ駆けながら声を張り上げる。
しまった。何が大人だ。
仕方ないとはいえパニックになって人を攻撃してしまうなんて。
若干自己嫌悪に陥る。
「だっ大丈夫だよ!大丈夫!それより個性すごいね!」
緑谷は、無理やり笑顔を顔に浮かべて俺を励まそうとしてくれているようだ。
最悪だ。
本当、最悪。
「本当だぜ!発現してたなら言ってくれよ!」
爆豪も俺を励まそうと笑顔をみせて、ってこれは、演技とかないな。
「いや、今発現しただけだ。それよりも本当、ごめん。悪気があったわけじゃない」
「いや!本当大丈夫だから!気にしないで!」
ああ本当。最悪。
胸糞悪いなんてもんじゃない。
先程のことを思い出してほしい。
入ってきた個性、つまり俺のじゃない。
じゃあ誰の?
そんなん決まってる。
爆破じゃない以上、目の前で大丈夫だから、を連呼しているこいつのだ。
緑谷 出久、原作通りなら無個性。
しかしここは、漫画じゃなく現実だ。
全てが原作と同じなわけがなかった。
つまり緑谷には、元々個性があって、何らかの理由で俺が奪ってしまったわけだ。
流石に友達二人と喋りながら考えるのもどうかと思うのでもう一度謝って、爆豪には緑谷を守ってくれてありがとうと伝えてから家に帰った。
急展開過ぎました。
なんか変ですよね。