勝手に転生させられた挙句、転生した世界はダンまちでした!? ~主人公ハーレム物語~ 作:サクサクフェイはや幻想入り
ミアさんの奢りの料理も食べ終わり、そろそろ帰ろうかと言うところで少し店内が騒がしくなる。 お得意様でも来たのだろうかと入口の方を見てみれば、集団の客がやってきていた。 なんとなく見ていたが、誰もかれも強そうだ。 なんとなく動きや立ち振る舞いでわかるのだが、直感でそう感じた。 俺が見ていたのがわかったのか、隣に座っていたシルさんが集団について説明し始める
「あの方々はロキファミリアの皆さんで、ウチのお得意様なんです。 このオラリオで一、二を争うファミリアの皆さんなんですよ?」
「なるほどね。 直感は当たってたわけだ」
「直感?」
不思議そうに首をかしげるシルさんになんでもないと首を振り、改めてロキファミリアのメンバーのテーブルの方を見る。 しばらく眺めていたのだが、失礼かと思い視線を戻すといつの間にかシルさんがいなくなっていた
「あれ、シルさんは?」
「仕事の方に戻りましたよ。 それよりもセフィロスさん、あの人ですよ!」
「あの人?」
ベルが指をさしたのは、たった今店に入ってきた金髪の少女。 当然俺は見覚えなどあるはずもなく首をかしげるのだが、ベルもそんな俺の様子に首をかしげている。 いや、二人して首をかしげてどうするんだよ
「それで、あの金髪少女がどうしたんだ? ロキファミリアに知り合いなんていないぞ僕は」
「そういう話じゃなくて!昨日僕がセフィロスさんが倒れてパニックになってるとき、助けてくれたのがあの人なんです!」
「なるほど、命の恩人なわけか。 それはそうとベル、僕は誰が助けてくれたって話を聞いてないんだけど?」
「え?」
「え? じゃない」
すごい勢いで頭を下げ始めたベルを横目に、俺は今日何度目かわからないため息をついた。 なんというかベルもうっかりが治らないというか、なんというか...... 俺が倒れてと言うことだが、それは昨日のマインドダウンの話で、ベルからは通りすがりの人が助けてくれたとしか聞いていなかったのだ。 この分だと他にも何かありそうなので、後でミィシャさんに聞くことにしよう。 そう密かに思っていたところで、向こうも宴会が始まったようだ。 どうも遠征がどうとか言っていたみたいだが、俺たち零細ファミリアには縁遠い話だ。 そんなことはさておき、大阪弁によく似た言葉で話す男が乾杯の音頭をとると、ロキファミリアの面々が飲み始める。 あの男が団長なのだろうか? それとも宴会部長みたいな役割とか? どうでもいいことを考えていたのだが、助けてもらったことへのお礼をしていないことを思い出し、席から腰を浮かすと酒に酔った男の声が聞こえてきた
「おいアイズ、あの話してやれよ!」
「あの、はなし?」
首をかしげる金髪少女。 いつまでも金髪少女じゃ失礼か、ここは仮でアイズさんと呼んでおこう。 ロキファミリアとかは知っているが、個人名とかなると流石にまだわからないのだ。 ともかく、アイズさんは首をかしげていた
「そうだよ。 遠征からの帰り道、珍しくミノタウロスが群れてていざ倒そうとしたら、そのミノタウロスたちが一斉に逃げ出した時の話だよ」
それを聞いて浮かしていた腰を止め、ベルの方を向く。 ベルも動きが止まっていた
「何かあったの?」
「あったの? どころの話じゃねぇよ!どんどん上層に上がったと思ったら、最後の一匹が初心者の冒険者襲ってたらしくてよ、ウチの姫様が助けてたんだよ!」
「えっ!? それって大丈夫だったの?」
「一人はミノタウロス見てビビったんだか知らねえけど気絶しててよ、もう一人はそいつを見て気が動転してたんだぜ!まったく、ああいうのがいるから俺ら冒険者の品位が下がんだよ。 やめてほしいぜ!」
ベルは悔しそうに歯を食いしばっていたが、話が終わると出て行ってしまった。 アイツは人の言動にそこまで腹を立てる奴じゃない、多分自分のふがいなさに腹が立ったんだろう。 でも俺は違う。 自分のことはどうだっていい。 あの青年が言う通り、自分の実力をわきまえずにミノタウロスに挑んだ俺が悪いのだから。 それでどういわれてもいいが、ベルは別だ。 アイツは気絶している俺をそのまま放置せず、気が動転していたとしても傍にいてくれたのだ。 褒められる行動であるはずなのにあの青年は、それを酒の肴にしようとした。 俺はそれだけは許せなかったのだ
「ミアさん、ちょっと騒ぐことになるかも。 それとベルの飲食代」
「・・・・・・はぁ。 店の物だけは壊すんじゃないよ」
特に何も言うことがなかったミアさんに感謝しつつ、俺はそのまま歩きだし。 相変わらずベルや俺を笑い話にしている青年を殴り飛ばす
「っ!!」
きれいな放物線を描き、青年は店の外へと飛んでいく。 視線が集まる中、俺はお礼を言っていなかったことを思い出しアイズさんに向き直る
「えっと、覚えてるかどうかわかりませんけど、ベルを白髪の少年を落ち着かせて俺を助けてくれてありがとうございました」
「君は、あの時の?」
「はい、ベルも感謝してました。 ありがとうございました」
頭を下げ店の外を見ると、入口からこっちに走り寄ってくる人影が一つ
「てめぇ!アイズと喋ってんじゃねぇ!」
「黙れワンコロ、表に出ろ」
至近距離でメンチを切り合う俺と青年、それを止めたのは緑髪のエルフの人だった
「少し待ってくれ。 こちらも騒ぎすぎて悪かったが、いきなり殴るようなこともないと思うのだが?」
「別に酒場で騒いでることを怒ったんじゃないです。 こいつはベルを侮辱した、それでぶん殴ったんです」
「ベルを侮辱した? そのベルと言うのが誰かはわからないが、本当にベートが侮辱したのか?」
「さっき皆さんが酒の肴にした気が動転していた初心者冒険者ですよ」
そう言って周りをにらみつけると、大多数の人間が視線を逸らした。 そりゃあそうだろう、ここにいたほとんどは笑ってたし、ベルに対して何か言ってたからな。 そしてその話を聞いて思い出したのか、目の前の青年は俺のことを鼻で笑う
「お前あん時の。 はは、これは笑えるぜ!あん時の気絶してた野郎か!」
「そうだよ、それがどうしたよ発情わんこ。 とっとと表出ろよ!」
「あぁ!? てめえ、言葉に気をつけろ?」
つい先ほどまで笑っていた青年は、雰囲気が変わりこちらを殺さんばかりに見ている。 だが、俺はそれに負けじと睨み返す。 レベル差なんてわかってるし、無謀なんてわかってはいるが許せないのだ
「さっさと勝負つけようぜ発情わんこ」
「上等だ!!」
先に動いたのは青年で、大きく右腕を振りかぶり殴ってきていたのはわかってたのだが、動きが追い付けず、俺は店の外に吹き飛ばされていた。受け流すどころか、腕の防御を抜いて体にまで衝撃が伝わってきた。 そのまま無様に地面に転がる俺だが、追撃が来るかもしれないのですぐに起き上がる。 舐められてる。 目の前を見て、俺はそう思った。 追撃が来るどころか、青年は店から悠然と歩いて出てきた。 勝ち誇った笑みをしながら
「実力の差はわかっただろ? 今ならまだ土下座して謝れば許してやるぞ」
「は? なんだよそれ、面白い冗談だな。 高レベルの冒険者のパンチがここまで軽いなんて、予想以上だったよ」
「・・・・・・」
勝ち誇った顔から一転、敵のようにこちらを睨みつけ、また殴りかかってくる。 見えてはいるのだが、さっきのように俺の体の反応が追い付かない。 なら俺は守るしかないわけで、だが守ると言ってもステータスはあちらの方が上のわけで、防御をしてもそれを抜かれ衝撃が体にも伝わる。 だが、守らなければそれこそ一発で意識を持って行かれる
「オラオラどうした!守ってばっかりで!」
「・・・・・・っ」
安い挑発には乗らず、俺は耐え続ける。 一瞬でも、一瞬でも隙が出来れば一発与えられる。 最初から勝つことなど望んじゃいない、俺の元々の目的はこいつの顔面に一発入れることだ。 どんどん鋭さを増すラッシュに俺は限界寸前だが、ようやく待ちに待った隙ができる。 なぜか知らないが、俺から離れる青年
「チッ、これじゃあ弱い者いじめじゃねぇか......」
「人のこと、ゲホッ、見下してる、わんこが何をいまさら」
「・・・・・・口のへらねぇ奴だな。 これで終わりにしてやる」
武道も何も知らない大ぶりなパンチ、俺はこれを待っていた。 距離が離れれば避けることもできる。 だが俺の体はこのスピードにはついて行けない、それに体はボロボロだ。 でも、俺には魔法がある。 魔法を唱えると体が軽くなったような気がする、これなら!
「っ!?」
「これはお前が侮辱したベルの分だ、受け取れ!!」
俺のスピードが突如上がり、青年の拳は空を切る。 そして俺の拳は、見事俺が殴りつけたかった顔面に刺さっていた
「人のこと見下してるからだ、ざまあみろ......」
意識を失う前に俺が見たのは、羽交い絞めにされる青年と俺に駆け寄る二人の金色の影だった