勝手に転生させられた挙句、転生した世界はダンまちでした!? ~主人公ハーレム物語~   作:サクサクフェイはや幻想入り

33 / 35
リクエストのほうあったので、ぼちぼち再開していきます。 でも、更新ペースは察してください。 一応凍結前のものなので繋がりは大丈夫なはず


第三十二話

「ベル」

 

「セフィロスさん」

 

今日はアーデさんの方で用事があるらしく、ダンジョン探索はお休みだ。 もともと休みをいつにするか迷っていたので、アーデさんから話があったときは正直渡り船だった。 そんなわけでロキファミリアに行ってきたわけなのだが、個人的弾丸ツアーから帰ってきた人もいたのだが、帰ってきてない人や帰ってきたばっかりな人も居たためそのまま帰ってきたわけだ。 正直OKしてくれそうな予感はあるが、疲れとかは癒してもらいたいしね。 そんなわけで何か作ろうかなんて思い露店を見て回っていたのだが、何を作るか決まらず結局見ているだけとなった。 小腹もすいたしどこか入ろうかなーってぶらぶらしていると、どうやら豊穣の女主人前にきていたようで、入ろうとしたらベルと会ったというわけだ

 

「今日はベルも休みか?」

 

「はい」

 

「休みなのに昼間からお互いなじみの店に顔を出すとか、なんか寂しいやつらみたいだな」

 

「それをいいますか!?」

 

ベルと軽口をたたきながら店に入ると、そこは戦場だった。 混みあう店内、座る席はかろうじてあるものの、見渡す限り人人人。 店としては正しい姿なんだろうけど、俺は猛烈に嫌な予感がした。 隣のベルは感心したかのような表情だったが、俺は回れ右をしようとした

 

「セフィロスさん!」

 

片手にジョッキが乗った盆を持ちながら俺の腕をホールドするのはシルさんで、その表情は晴れやかだった。 対して俺の表情は固まった笑顔

 

「や、やぁシルさん、混んでるみたいだし別の店行くから離してくれないかな?」

 

「そんな!気を使わなくて結構ですよ、私はセフィロスさんがいてくれたほうが嬉しいですし」

 

そう言って照れたような表情をするが、俺にはわかる!いつもより幾分か表情が硬い、ということは演技ということだ!ホールドしている腕を離そうとシルさんの腕をされていないほうで軽く押すが離れない。 えぇい!なんでこういうときだけ力が強いんだ!

 

「シル何をしているんですか? あぁ、セフィロスさんいらっしゃいませ」

 

「やぁリューさん、突然で悪いけどシルさん剥がすの手伝って」

 

リューさんが通りかかってシルさんに注意するけど、俺を見た瞬間納得した表情だった。 そういうのいいから、剥がすの手伝ってくれ。 リューさんにお願いすると手伝おうと近づいてくるが、シルさんがとんでもないこと言いやがった

 

「ダメよリュー、セフィロスさんはこの忙しいのを見かねて手伝ってくれるって言ったんだから!」

 

「言ってないから!?」

 

「そうだったのですね、ではアーニャーとクロエも呼びましょう」

 

シルさんがとんでもない爆弾発言しやがった!? 俺の反論虚しく、頷きながらリューさんはアーニャさんとクロエさんを呼んでしまう。 あぁ、やばいやばいぞ!本気を出せばシルさんくらいからなら簡単に逃げられたが、アーニャさんやクロエさんは別だ。 リューさんほどではないにしろ、アーニャさんもクロエさんも実力的には俺より上だ。 かくなる上は!

 

「HA☆NA☆SE☆!」

 

「きゃっ!? せ、セフィロスさん暴れないでください!」

 

暴れてシルさんのホールドから逃げ出すことに成功、急いで出入り口に向かうがその前に人影

 

「リューさん......」

 

「すみませんセフィロスさん、悪いとは思っているのですがせっかくの労力、失うわけにはいきません」

 

言ってることはかっこいいのだが、いやかっこよくない。 構えているのはナイフ、だがそれだけで威圧感があった。 だが引くわけにはいかない。 気を狙いかけ出そうとするのだが、両肩に手を置かれる 

 

「にゃっふっふ、逃がさないにゃ」

 

「貴重な戦力にゃ」

 

「しまった!」

 

やはり相当の手練れらしく、アーニャさんとクロエさんの接近を許してしまっていた。 だが諦めるわけにはいかない、ここで諦めれば俺の労働は確実だ。 何とか抜け出そうと頭をフル回転させるのだが、それは無理だった

 

「なーに遊んでるんだこのバカ娘たち!!」

 

悪魔が降臨した。 皆さんを次々殴り戦闘不能にしたのはいいのだが、何故か俺の目の前に立つ悪魔、もといミアさん

 

「アンタもアンタだよ!まったく、とっとと手伝いな!!」

 

「・・・・・・あい」

 

俺に拳骨をくれたミアさんはそのまま厨房に歩いていく。 拳骨を受けた瞬間頭とれたんじゃないかという衝撃と、床に埋まるような感覚がしたがそんなことはなかった。 俺はミアさんの後をついていき厨房に入る。 ここまで来たらしょうがない、毒を食らわば皿までだ。 なんか微妙に使い方が違うような気がするが、まぁいい。 腕をまくり、溜まっていた注文票を見る。 簡単なものから面倒なものまで結構な量溜まっており、とりあえず上から順に消化していく。 まぁ元々料理しようとは思ってはいたが、こんな形になるとは。 左手でフライパンを持ち、右手に持っているワインを料理に振りかける。 軽く火柱が上がり、周りから声がする。 まぁ、いいか。 声援を受けながら、俺は料理に没頭するのだった

 

--------------------------------------------

 

ある程度お客も減ってきたので、俺は休憩に入らせてもらえることになった。 もちろんミアさんには許可をとってある。 自分で作った料理を片手に裏に引っ込む。 戸棚のものを物色、目的のものを出し次にフルーツ類。 これも見つけたので、さっきの目的のものと一緒のところに置いておく。 一応これもミアさんから許可はとってある。 まぁそのかわり、今日ある程度の時間までバイトが決定したがね...... と言っても、今回は給料が出るらしいのでいいけど

 

「まずはスポンジ作りってねー」

 

ベースとなるスポンジ作り、まさかこの世界に薄力粉があるなんて思いもしなかったけど。 見た当時は驚いたものだ。 もちろん一般家庭にはないだろう、高いし。 そんな関係ないことを考えながら型に流し込み、予熱をしておいたオーブンにぶち込む。 その間に生クリームを作り、フルーツを適当な大きさにカット、料理を食べておく。 できたスポンジに生クリームを塗り、かっとしたフルーツを盛りつければ完成、フルーツケーキ! 後はフリーズで冷やしてー

 

「へいおまち!」

 

「頼んでませんよ!?」

 

「まぁ気にすんなって、気が向いたから俺が作ったやつだから」

 

「あ、そうなんですか? それじゃあいただきます」

 

一口食べたベルの顔はどんどん輝いていき、そして何故か俺の手をつかんだ。 後顔近い

 

「おいしいです!神様に持って帰っていいですか!?」

 

「いいけど、もう一つあるからそれを「ありがとうございます!!」って、あーあ」

 

俺の話を聞かずに皿ごとケーキを持って行ってしまうベル。 その皿店のだぞ? 俺も自分用に持ってきたケーキを一口

 

「うーん、フルーツの酸味があるからもう少しクリーム甘くすればよかったかも」

 

「あ、セフィロスさん、ここに居たんですね」

 

「シルさん」

 

料理を手に持って俺の隣に座るシルさん。 その様子を見ると、たぶんミアさんに休憩を貰ったのだろう

 

「裏に行ったと思ったら探してもいないですし、どこ行ったのかと思いましたよ」

 

私怒ってます、みたいな顔のシルさんだが、こうなった原因は貴女ですからね? まぁ、もうそこまで気にしていないので、わざわざ言ったりはしないのだが

 

「いや、ベルにちょいと試食頼んだらそのまま帰っちまったからさ」

 

「え? ベルさん帰っちゃったんですか?」

 

「うん」

 

「ベルさん、お代払ってなかったような......」

 

「「・・・・・・」」

 

二人の間で沈黙するが、ベル強く生きろよ。 心の中で十字を切り、話を変える

 

「シルさんにも試食頼みたいんだけど」

 

「いいですけど、なんでしょうか?」

 

「これ」

 

そう言って俺は自分の食べかけのケーキを指す。 流石に試食は食べかけじゃないものを出すが、同じものなので自分のを指す

 

「ケーキ、ですか? 別に構いませんよ?」

 

「お、なら新しいのを」

 

そう言って席を立とうとしたのだが、シルさんの行動に俺は動きを止めてしまう

 

「あーむ」

 

「・・・・・・」

 

何のためらいもなく俺の食いかけの部分を切り分け、それを口に含んだのだ。 マジで?

 

「美味しいですね!」

 

「・・・・・・」

 

「あれ、セフィロスさん?」

 

「あああ、あの、ケーキ」

 

「? ケーキなら美味しいと思いますよ?」

 

「た、食べかけ。 新しいの」

 

「・・・・・・」

 

そう言うと無言でケーキに視線を移すシルさん、遅れてボンと聞こえてきそうなほど顔を真っ赤にする。 気まず......

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。