勝手に転生させられた挙句、転生した世界はダンまちでした!? ~主人公ハーレム物語~   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第五話 ダンジョン帰り

気分は悪かったものの、ぶっ倒れてなお無理やり立って練習をやった時と比べれば大したこともなく、そのままダンジョン探索をつづけた俺は昼に一回換金をはさみ、夕方よりは遅いがもう一回換金に来ていた。 昼の時より早かったのは魔力が回復して、体調がだいぶ良くなったからだろうか? とにかく二回目の換金を終えた俺は、ミィシャさんに絡まれていた

 

「ねえセフィロス君、これは、どういうことかな」

 

「どういうことと言われましても、普通にダンジョンを探索して換金した結果なんですけど......」

 

「・・・・・・」

 

なぜか笑顔で威圧される。 いや、怒ってるのはわかるんだけど、何故に?

 

『普通にとは言いますが、私が最短距離でモンスターまで会敵するようにナビゲートしてるからですけどね』

 

『それに俺、ダンジョンでは常に走ってるしな』

 

『後ですね、換金所のスキャンした結果なんですが、私たちの稼ぎはどうやら異常なようです』

 

『マジで?』

 

『はい。 大体四人パーティーの平均で二万ヴァリスぐらいですが、私たちの稼ぎは......』

 

『あぁ、だから怒ってるのか?』

 

俺たちの今日の稼ぎは二万ヴァリス。 四人パーティーの平均ぐらいの稼ぎを二回の換金で達成しているのだ、確かに怒りもするわな。 でも、普通にダンジョン探索をした結果なのだが

 

「あのミィシャさん、無理をしたとか思ってるんでしょうけど、僕は普通にダンジョン探索しただけですよ? 一階層で」

 

「あのねセフィロス君、君はわからないかもしれないけど一人の冒険者が一日、しかも二回の換金でこんなに稼げるわけないでしょ! しかも一階層で!!」

 

「いやでも、換金リスト見てもらえばわかると思うんですけど、ゴブリンとコボルトの魔石だけですよ?」

 

「それは、そうだけど......魔石の数が異常でしょ!?」

 

「それはそうかもしれませんけど、僕が傷を受けたように見えます?」

 

そう言ってその場で一回転をしてミィシャさんに体全体を見せる。 今日の戦闘で負った傷は無し、全部気配を感づかれる前に辻斬りよろしく、抜刀術で一撃死だ。 俺の状態を見て唸るミィシャさんだが、やがて諦めたのか威圧感がなくなる

 

「・・・・・・確かに傷ついてないけど、はぁ......」

 

「あ、あと二階層に進出許してほしいんですけど?」

 

「ダンジョン二日目で二階層に行った人は、い・ま・せ・ん!!」

 

「ひや、ふょうをふかないでふださいよ」

 

確かに異常なんだろうけどさ、なにも人差し指で頬をつきながら言わなくても。 おかげで変な言葉が出ちゃったじゃないか

 

「怪我とかもないですし、それに一階層モンスター少なくて......二階層ならモンスターも増えてきますし」

 

「あのね、モンスターが増えるってことはその分危険が」

 

「わかってますけど、俺にはこれがありますし」

 

そう言って夕凪をたたき、目の前に置いてあったリンゴを上に投げ抜刀術を使い、リンゴをきれいに切り取る

 

「食べます?」

 

「・・・・・・」

 

ぽかんとしたミィシャさん。 まぁ、いきなりこんなことをしたら驚くだろうけど、実力を分かってもらうにはこうした方が手っ取り早い。 切ったリンゴを手に取り食べる、うんおいしい

 

「君本当にLv.1?」

 

「背中のステータス見ます? それか写しでも持ってきましょうか?」

 

「・・・・・・遠慮します」

 

------

 

『夕凪、リリィにチャンネル合わせてくれ』

 

『了解しました、どうぞ』

 

『リリィ』

 

『ははは、はい!? どちら様でしょうか!?』

 

『いや、セフィロスだよ......』

 

『念話ですよリリィ』

 

『あ、そ、そうでした。 あはは......』

 

リリィの苦笑しているさまが目に浮かぶ。 さてリリィのことを想像するのはそれはそれで楽しそうだが、要件を言おう。 もしかしたら仕事中かもしれないし

 

『リリィ、今どこにいる?』

 

『えっと、バイト先にいますけどどうしたんですか?』

 

『いやさ、今日一緒に飯食いに行けないかなーって』

 

『えっと、もうバイトは終わりですので行けますけど、大丈夫なんですか?』

 

『一応稼いで入るから大丈夫、それにお祝いもしたいしさ』

 

『お祝い、ですか?』

 

『そ、俺とリリィのファミリア結成記念』

 

『っ!はい!!』

 

『それじゃあ、初めて会った裏口で待ってるから』

 

『できるだけ早く終わらせますね!』

 

念話を切ったのか、繋がっている感じがなくなる。 俺はゆっくり歩きながら目的地を目指す。 初日は見ている暇はなかったが、こっちも星はきれいらしい。 空を見上げながら歩いていたが、目的地に着いたようだ。 周りを見回すがリリィの姿はなく、どうやらまだ終わってはいないようだ。 今度は裏口の前に座ることなく、壁に背を預け空を見上げる。 なんというか、ここに来てから一日が濃いよな。 なんて柄にもなく過去を振り返る。 今日合わせても二日しかないけどな

 

「お待たせしました!」

 

「そんなに待ってないよ、リリィ」

 

抱きついて来ようとしたリリィだが、なぜか俺の前で立ち止まり俺の周りをぐるぐる回り始める。 好きにさせていたが、三週目くらいで流石に止める

 

「何やってるんだよ?」

 

「いえ、怪我とかしてないかなって......」

 

「それなら一周でも十分だと思うんだが......大丈夫だよリリィ」

 

安心させるようにゆっくりとリリィの頭をなでる。 気持ちよさそうに目を細めるリリィに俺は満足し、歩きはじめる

 

「そういえばご飯を食べに行くって言ってましたけど、どこに行くんですか?」

 

「確か豊穣の女主人、だったかな?」

 

「豊穣の女主人ですか!?」

 

「お、おおぅ......」

 

珍しくリリィが興奮しているようだ。 リリィのバイト先は喫茶店らしいのだが、喫茶店でもお客が噂しているらしく人気店らしい。 そんな話をしているとどうやらついたようで、店に近づいただけなのに中の話し声が外まで聞こえている。 流石になかの雰囲気に押されたのか、リリィは俺の腕にさらに抱き着き、俺の背に隠れてしまう。 流石にその様子に苦笑するが、聞き覚えのある声に声をかけられる

 

「セフィロスさん!」

 

「あ、シルさんどうも。 約束通りに食べに来ましたよ」

 

「はい!あれ、そちらの方は?」

 

「えっと、うちの主神様です」

 

「・・・・・・神リリィです、よろしくお願いします」

 

完全に俺の後ろに隠れて自己紹介をするリリィ、いやそれじゃあ意味ないだろうと思ったのだが、シルさんは特に気にした様子もないのでいいのだが

 

「初めましてリリィ様、私はシル・フローヴァと申します。 よろしくお願いしますね。 二名様ご案内でーす!」

 

自己紹介をするとシルさんは店内に声をかけ、俺の腕を引っ張る。 リリィはリリィでさらに俺に抱きつく。 歩きにくいんだが二人とも。 歩きづらいながらも案内されたのはカウンター席、大柄な女性ドワーフだろうか? 気持ちのいい笑顔で声をかけてくれる

 

「いらっしゃい!アンタがシルの言っていた大食漢だね!じゃんじゃん作るから、じゃんじゃん食べな!!」

 

「ちょ!?」

 

止める間もなく料理を作るのに戻ってしまうドワーフの女性、俺はシルさんに恨みがましい視線を送るが

 

「てへ」

 

舌を出していた。 あざといぃぃぃ!! わかっててやっているんだろうが、実に可愛らしかった。 シルさんとは逆側の袖が引かれる感覚がしたのでそちらを見てみると、リリィが袖を引っ張っていた

 

「どうしたリリィ」

 

「えっと、そんなに食べるんですか? もしかして昨日の夜や朝の食事も?」

 

「違う違う。 そこのシルさんが勝手に言ってるだけだから。 大丈夫」

 

頭をなではじめると気持ちよさそうに目を細めるリリィ、俺は改めてシルさんにジト目を送るが、そこにシルさんの姿はなく素知らぬ顔で料理を持ってきていた

 

「はいセフィロスさん、何かご用ですか?」

 

「まぁいいでしょう、とりあえず店主さんにはほどほどに作ってくださいと言っておいてください」

 

「はーい」

 

ご機嫌な様子のシルさんに俺はため息をつき、リリィに食べるように促して、食事を始めるのだった。 店主はミアさんと言うのだが、ミアさんの料理は絶品だったと言っておこう


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