目の前にいる山の神を見て、思ったよりでかいなと感じた。
骨と手の集合体のような見た目だが手が握り合って顔を形成していて、一応縁結びの神なのだな。トンネルの奥にいたやつとは違いかなりの大きさなので、このまま戦い始めたらユイちゃんとハルちゃんを巻き込んでしまう可能性が高い。先に逃げるようにユイちゃんに促した。
俺の言葉にユイちゃんは大人しく従ってくれ、ハルちゃんを支えながら出口を目指し始めた。少しでも足元が見えるように、あと山の神を視認しやすくするために信号拳銃を天井に向けて打つ。信号拳銃の中には照明弾が入っており、照明弾のおかげで洞窟の全容と山の神の姿がよく見えた。
山の神は俺ではなく、逃げるユイちゃんとハルちゃんの道を塞ぐべく手を振りあげようとしていた為、腕に向かって刀を振るう。斬り飛ばされていく腕をみて案外脆いなと感じた。ユイちゃんとハルちゃんが心配だが、道中の結界もあるし神域の外にさえ出られれば大丈夫だろうと思い。山の神へ集中することにした。
刀身は約二尺四寸七分、普通に切りかかったのでは山の神へ攻撃が届かない。刀は振ると霊刃を飛ばすことができ、生身の人間などには効果がないが霊的なものには自分が刀で切った時と同じような威力が得られるのでとてもありがたい。
山の神は悲鳴をあげた後、すぐに新しい腕を生やし自分に叩きつけてくる。
避けた先に蜘蛛の巣のようなものが設置してあったり。ドス黒い霊力のようなものを放ってきたりしてきた。どうやら力はトンネルの奥にいたやつよりは強いらしい。もっともトンネルの奥にいたやつは昔の人によって作られた、百足様の結界があったためそこまで暴れられなかったということもあったが……
避けながらよくみると、生やした腕から目玉が一つ減っている。刀で切った場所ではないので自分ではない。山の神の再生能力は目玉によるものが多いのかもしれない。取り敢えず目玉を全て潰したら弱るだろうと判断をし、攻撃を避けながら霊刃で目玉を切ってみる。すると多少傷ついたものの完全には潰れなかった。霊刃では効果が薄い為、直接切ったほうがいいと判断する。
避けながら観察をしていたおかげで大体繰り出してくる攻撃も分かったので、フェイントに注意すれば食らうことはないだろう。やつが右腕を振り下ろした瞬間。先端の目玉を潰しながら右腕に飛び乗り、そのまま目に付いた目玉を潰しながら頭から左腕へと移動する。目玉を潰されるたびに悲鳴をあげる山の神を見て、目玉が弱点なのだと確信する。
見える範囲で目玉を潰し終えて地面に着地すると、山の神は息も絶え絶えで地面に体を倒しているのを見た俺は、戦いながら地面に設置した水晶のナイフを起動させた。
山の神を中心とした六ヶ所に設置してある水晶が光り、光の線が水晶につながり結界を形成させる。
水晶はトンネルの奥に設置してあった百足様の社に入っていた結界の起点となる水晶と同じ素材でできており、百足神社に安置して百足様に時間をかけて力を注いでいただいた水晶である。
水晶をトンネルの奥にいた神を倒した時と同じ様に設置した。結界の中は百足神社の境内となる。水晶が完全に起動すると懐に入れてあった携帯が鳴りはじめた。
携帯を取ると世界が一変し結界の中に巨大な百足様が出現した。
その日、町の人々は何かの悲鳴とそれを断ち切る音が聞こえた。
洗い物が終わり、テレビを見ていると階段を急いで降りてくる音が聞こえてきた。
台所から顔を出すと、こともが夜に出かけるリュックを背負い家を出るところだった。
お兄ちゃんがしばらく出るなと言ったのを忘れたの?といったらちょっと出てくるだけと家を出て行ってしまった。禁止されてから2日ほどでソワソワしていたので我慢できなくなったのだろう、危険だから夜に出るのをやめてほしい。ポロもついているし、いざとなったら先輩がいるので大丈夫だと思うが心配なものは心配だった。
しかし、夜を回ったときのこともは本当に楽しそうで、楽しそうな笑顔を見ていると絶対的に禁止するのもどうかと台所に戻りながら考えていたら、玄関が開く音が聞こえた。
随分と早く帰って来たわね、と玄関にでると玄関の前にいるポロと2階へ上がっていく夜廻りさんの姿が見えた。
夜廻りさんを追いかけて2階の部屋にいくと、すでに夜廻りさんの姿はなく、こともと見たことない女の子二人が三人仲良くベッドで寝ていた。活発そうな女の子の腕には刀の鞘が大事そうに抱えられていた。
こともちゃん、最速敗北タイム更新