深夜のコンビニバイトは割と暇です。   作:秋涼

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幼少期2

婆様と祖父の家に預けられて、町の学校に通うことになった。

学校へ行った時に生徒の少なさと陰気臭さに眉を顰めた。

黒い影を付けている人はいなかったが、クラスでいじめが起きていた。

見ててイラついたので辞めろといってもやめなくて、こちらに手を出してきたので丁寧に一人ずつボコボコにしてあげた。

いじめはなくなり、いじめられていた子は転校したが、俺は同じ学年では危険人物になってしまい、孤立してしまった。

婆様は頭を抱えていたが、祖父は学校から帰った俺に良くやったなと頭を撫でてくれた。悪いことをしたのになぜ褒めるのかと聞くと、ちゃんと加減をして怪我など後に残るものを残さず、痛みと恐怖だけ与えていじめをやめさせたのを評価するとのことだった。

暴力は良くないが使わないとどうしようもないときもあるからなと祖父は言っていた。

 

友達がいない俺は放課後になると公園で壁にサッカーボールを蹴り、跳ね返ってきたボールをバウンドさせずに何回蹴り返せるかという遊びや、祖父が管理しているムカデ様の神社をお参りした後掃除し、夕食の匂いがする商店街を祖父や祖母が迎えに来るまでぼーっとしていた。

 

黒い影やお化けへの対処の仕方は主に祖父のいうことを聞いていた。

婆様の言っていることと呪文と道具は使い方や覚えるのが難しいのに対し、祖父が教えてくれたのは身体を鍛えることと投げるものに生きることの感謝や祈りを込めれば黒い影に石などを当てられるという分かりやすいことで、時間をかければより安全に倒せるようになった。

普段仲がいい婆様と祖父は俺の教育方針についてはソリが合わなかったらしく、

婆様の教えたことを覚えず、祖父の言うことだけを吸収していく俺にぐぬぬとしていたが、俺があまり覚えないことより祖父のドヤ顏にイラついていたようだった。

 

俺がある程度動けるようになると祖父が夕食後に俺を夜の町に連れていくようになった。夜の町には人じゃない黒い影やらデカくて道を塞いでいる奴やらがたくさんいたが、一つ一つ2人で協力して倒していった。

この町はお化けやらが多いが、ムカデ様のお陰でこれぐらいで済んでいると祖父は言っていた。祖父と一緒にお化け退治は楽しかったが、こんなことやってても見えない人には何やってるか分からないし、感謝もされないのになんでやってるの?と疑問に思っていた。

 

ある日、夜の町でパトロールと言う名の怪異退治が終わった後、祖父に聞いてみると、そうだなと苦笑したあと、やらないとこの町は大変なことなるから誰かがやらなくちゃいけない、その誰かがわしらなんだよ。と俺と目線を合わせて言ったあと立ち上がり歩き出した。

納得いかなそうな顔をしている俺に振り返り、人に感謝されなくてもムカデ様はちゃんとわしらの事を見ているよ。それに人知れず町を守る。ヒーローみたいでかっこいいだろ?と茶化して笑った。

たしかにカッコイイと俺も笑った。

 

 

 

 

 

廃線になっている線路に出た時は来るはずのない電車に追いかけられていた。

ポロを横に放り投げ、落ちている廃材を拾い、線路にあるレールをおもいっきり殴りつける。するとレールが外れ、追いかけてきた電車は脱線し、森に消えていった。久し振りに殺意のある現象に冷や汗を浮かべた。

 

気を取り直し、ポロと合流して先を急ぐことにした。

 

 




祖父「子供にそんな難しいことやらせようとしても、余程のことがないと覚えんだろう、それにしても大して祈りや感謝を込めてなくても干渉できるとは我が孫恐ろしや!将来が楽しみだな、なぁ婆さんや」

婆様「ぐぬぬ」

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