深夜のコンビニバイトは割と暇です。   作:秋涼

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夜更け

お母さんがいなくなり、私はお母さんを探しまわった。

いつも一緒に買い物に行く商店街を駆ける、途中、お肉屋さんのおばちゃんがいたので藁に縋る思いでおばちゃんに聞く。

 

「お母さんをみませんでしたか?」

 

息も絶え絶えに必死に聞いてくる私に対して、店仕舞いの準備をやめ、私の話を聞いてくれました。

 

「先ほどことねちゃんと一緒に帰ったのを見たっきりだね。一緒に帰らなかったのかい?」

 

「一緒に帰ってたのに、急に道端に黒い手のようなものが見えた気がして、それを見てたら急に隣のお母さんが消えちゃったの」

 

「……分かった。おばちゃんが探しとくからもう、日が暮れるからことねちゃんは家にお帰り、帰れないなら私の家で休んでいくかい?」

 

私の話を聞いたおばちゃんの顔が一瞬険しくなり、私の視線に気付いたのか私を安心させるような笑顔になった。

 

「ううん、お母さんが見つかるまで帰らない」

 

「夜は危ないからね、じゃあおばちゃんの家で今日は休んでいくかい」

 

おばちゃんは少し困った顔をしたあと、私の手を取ろうとする。

手を取られたらお母さんが探せなくなると思った。当時の私はおばちゃんから逃げるようにまたお母さんを探して駆けだした。

 

途中まで追いかけてきていたようだが、だんだんと遠ざかるおばちゃんの声がやがて聞こえなくなるのを背に、黄昏時も終わりを告げ、夜が町を支配していく中お母さんを探しはじめた。

 

 

完全に夜を迎えて辺りが真っ暗になったころ、私は夜の町を歩きながら一人でお母さんを探していることを後悔し始めていた。普段歩いてる道や遊んでいる公園等、昼間には人の姿が見えて暖かさがあるところも夜には人が一人も歩いておらず、聞こえる音だって微かな虫の声ぐらい。

それだけでも怖いのに、黒い人型のようなものやビニール袋みたいなものを被ったお化け等があたりをうろちょろしているのである。

お化けたちは私を見つけたら脇目も振らず追いかけてくる奴や、私が驚いて声を出したり駆けだすと凄まじい勢いで追っかけてくる奴など様々で、お母さんを探したい気持ちより恐怖心が若干勝ってしまった私は家に帰ろうとしたが、帰り道も大きいお化けに塞がれてしまっていたため、結局家に帰れないまま私は半べそをかいてお母さんを探し回ることになった。

声を出したいが、声を出したら音に反応するお化けに襲われるので恐怖と戦いながらお母さんを探す。

お化けを避けながら一つ一つ場所を探していく内に、家からちょっと奥まった所にあるトンネルにまだ行ってないことに気付き、無性にそこが気になった私は目的地をそのトンネルに変えて歩き出した。トンネルに向かう途中、黒い人型のお化けが五人佇んでおり、道が塞がれて通れなくなっていた。

姿を見せれば追っかけてくることは既に分かっていたので、ここはわざと誘い出して出来た隙間から一気に駆け抜けようと思っていた矢先、後ろから物凄い勢いで駆けてくる音が聞こえ、振り返ると――

ムカデのお面を被った先輩がバットを構えたまま黒い人型のほうへ飛び込み。

飛び込んだと思えば眼前の一人の頭へとバットを振り抜き。

そこで止まるかと思えば、なんと降り抜いた勢いのまま回転しながらもう一人の胴を振り抜き――とまるで踊るようにして瞬く間に五人の黒い人型は姿を消されていた。

周りにお化けがいなくなったのを確認していた先輩が、物陰から見てる私に気付き、

ポーズをつけてこう言った。

 

「ムカデマン 参上!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夜廻さんが 裏返ってるのは久しぶりにみたな、裏返っているってことは……」

 

気持ち悪い肉の塊みたいなのに追いかけられているのに、お兄さんはいつも通りの胡散臭い顔のままそうつぶやいた。

 

もうすぐ廃工場に繋がる橋を渡るというというタイミングで急にわたしたちの後ろに出てきた気持ち悪い肉の塊を見たお兄さんが私を抱え、ポロついてこいと声をかけて駆けだした。ものすごいスピードで走っているのに私にあまり振動がこないのにびっくりしてる。

私を抱えたまま廃工場に来たお兄さんは廃工場のゲートを少し開け、私とポロを中に入れた後、ゲートを閉じて追ってきた気持ち悪い肉の塊のお化けと対峙した。

 

「その姿を見るのは久しぶりだね、正気に戻してやるから待ってろよ」

 

肉の塊がお兄さんに飛びかかった。

 

 

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