深夜のコンビニバイトは割と暇です。   作:秋涼

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神社に夜廻の準備

「あの……夜も遅いですし、泊まっていったらどうですか?」

 

「いや、随分長居しちゃったからね、家もそこまで遠くないし、そろそろ帰るよ」

 

やることもある為、ことねちゃんの提案を断る。

まぁやることがなくても女の子二人が暮らしてる家にお泊りなんてできるわけがない。

夕飯だけ食べたらすぐ帰る予定だったが随分と長居してしまった。

 

「じゃあ、帰るよ、こともちゃんも暫くは家から出ちゃだめだよ。」

 

「えー、最近はお兄ちゃんとムカデ様のおかげであまりお化け見つからないのに」

 

「ことも?」

 

「うっ……わかった」

 

ちょっと渋った、こともちゃんだったが、ことねちゃんのプレッシャーに負けたようだった。

 

「じゃあ、お邪魔しました。ご飯おいしかったよ。」

 

「はい、また!」

 

「またねー」

 

挨拶をして外に出るとポロが元気よく尻尾を振りながら戯れ付い(じゃれつい)てきたのでしばし撫でまわしたあと、二人の事を頼むなとお願いして姉妹の家を後にする。

ポロは俺のお願いを聞いたあとに言葉が分かるのか尻尾をブンブンと振りながら元気よく吠えていた。

 

姉妹の暮らしてる町はムカデ神社が遷宮されたあと、風水を起点とした場所にムカデ神社のお札を防水加工して人が容易に剥がせない場所に貼り付けたらムカデ様の行動範囲が広まったらしく、この町ではあまりお化けを見かけなくなった。

しかし、見かけなくなったといっても少しはいるし、夜廻りさんは相変わらずそんなものは関係なく活動しているらしいので簡単に出歩いていい感じでもない。

 

町の人もそれを感じ取っているのかこの町のコンビニ周辺に住む人々は時々夜に買い物とかに来るようになった。夜の売り上げも多少増えたと店長がすごい笑顔だったのを覚えている。

 

遷宮された神社は廃工場跡にひっそりと建てられているが最近、ムカデ様の加護を実感できるため、神社をもっと大きくするかとかなんとか言っていた。町の人も結構お参りに来てくれるようになったのでムカデ様も結構張り切ってるように感じる。

廃工場に神社ができた為、時々こともちゃんが夜廻りさんに連れ去られた時に携帯にムカデ様から電話が掛かってくるようになった。連れ去られてくるのがこともちゃんだけなので分からないが多分他の子が連れてこられても同じように連絡をくれると思う。

本当にムカデ様には感謝しきれないな。

 

そんなことを考えていると商店街と廃工場の中間あたりにある自宅に到着し、ライト付きのヘルメットや懐中電灯、石、札、お守り、花子さんから貰った人形等をリュックに入れて家を出る。武器に使っているバットを自分の働いているコンビニに取りに行く。

 

暫くコンビニに向かって歩くと自分の働いているコンビニがある町に入る。ここからお化けが多くなってくるから気を付けないといけない。

 

暫く道なりに進んでいくと団地が見えてくる。人がかなり住んでいると思うが明かりがちらほらと付いているだけでまるで殆ど誰も住んでいない団地みたいに覚える。この町の住人は寝るの早すぎると思うんだ。家は結界というし他の家の明かりとかがあれば多少町の雰囲気も明るくなると思う。

 

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

急に悲鳴が上のほうに見上げると女の人が上から落ちてくるのが見えた。一瞬人かと思ったけどあれはお化けだなと直感で分かった。よく見ると悲鳴を上げているが俺のほうを見て笑っている。

ああして人の上に落下してきてお仲間を増やすつもりなのだろう。

 

落ちてくるタイミングに合わせて顔面にオーバーヘッドキックをお見舞いすると吹っ飛んで壁にぶつかってそのまま消えていった。俺だったからよかったけど他の人が巻き込まれたら大変だからな。しかし久しぶりにバットを使わず倒したけどまだまだいけるなと確信してコンビニへ急いだ。

 

その後は手で戦うのが鈍ってないかそこら辺の白い人型で試した後、コンビニに無事辿り着き。夜勤をしてる店長に挨拶しバットを回収して俺はコトワリ様が祀られているという神社へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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