深夜のコンビニバイトは割と暇です。   作:秋涼

5 / 24
神社廻

タイヤ輪入道を横から叩いて転がし、火球で野球をし、化け犬を蹴り飛ばしながら移動すると山の入口へと辿り着いた。街灯の下で地図を開きながら壁に体重を預ける。この付近には後ろから結構な速さで近づいてくる奴が出るので念の為に用心してる。ある程度まで近づいてくれば気配で分かるがそれでも用心に越したことはない。一回発見したときに逃げていったやつを完全に消滅させるまで追いかけたが、また同じやつが出てくる可能性もあるのだ。

 

地図を確認すると山頂へ向かう道ではなく奥の山道からダムの方向へ移動すると神社へたどり着けるらしい。俺は地図をしまい、山へと入っていく。

 

山に入って神社へと進む道を道なりに進んでいくと最近見ないが廃工場にいた道ふさぎの亜種のような巨大なお化けが道を塞いでいた。そいつは俺を発見したのかのそりと俺の方へと迫ってきた。横をすり抜けざまにバットをフルスイングさせると奴の体の半分が消し飛び、動きが止まったのを確認したのち頭をバットで消し飛ばすと完全に消滅した。

 

やっぱり山にいるお化けは町にいるやつと少し違うなと思いつつ先を急ぐ。

暫く道を行くと神社のような建物を見つけ裏口から入ると絵馬が大量に吊るされているのを確認できた。神社の規模はかなりの大きさのようなのに建物がボロボロなので管理が行き届いていないのが確認できる。

絵馬も少し確認したが縁切りのお願いというより殺人依頼や他人を不幸にしてくれみたいな内容ばかりだった。

週刊誌に載っていた内容を思い出す。信仰がなくなった神様が絵馬の願いを叶え続けた結果、縁を切るのに人を切る形で縁を断っているのだろうか。

 

境内に入ると広い空間にゴミなどが散らかっておりかなり汚かった。

綺麗な時はかなり立派だったんだろうなと感じられる。

 

しばらく周りを見ながら探索してるとカンッと小気味良い音がした。

どうやら足元を見ていなかったせいで空き缶を蹴飛ばしてしまったらしい。

すると突然足元が緑色に光り出し、確認してみると地面に人形を模した石畳があり、現在は頭から体にかけて発光していた。

 

観察していると俺が缶を蹴飛ばしたせいで石畳からゴミがなくなった為頭から体にかけて発光したらしい。こんなに目で分かるぐらいハッキリと光るなんてここにいる断り様というのは相当な力を持っている神様なのだと感じられた。

どの様な効果があるのか分からないが、少なくとも嫌な感じはしなく、むしろ

神聖な感じがするので全ての石畳からゴミを取り除き結界を発動させる。

特に変わった様子はないが神社の雰囲気が一変した。

 

陰鬱な雰囲気から神聖な雰囲気へ――まるで新しく遷宮されたムカデ神社のようだった。石畳を掃除しただけでは断り様に申し訳ないので一旦全てのゴミを神社の外に集め、次のバイトが休みの日にまとめて処理するための作業を開始した。

 

結局朝までゴミ集めに時間がかかり、清掃は次の休みの日に百足神社の掃除が終わったらここにきてピカピカにしてやろうと決意し、今日の夜勤に備える為、自宅へと足を向ける。神社へ来てからずっと感じていた視線はもう感じなかった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。