深夜のコンビニバイトは割と暇です。   作:秋涼

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少女と犬

コンテナの中の電灯をつける。コンテナの中が明るく照らされる。

コンテナの中には連れ去られた子供が、過剰に不安にならないようにちょっとした部屋になっている。コンテナ置いただけじゃ駄目だと、ことねちゃんがこの様に整備してくれました。俺の金で!

こういうことに気が回るのはさすが女の子だなと思いつつ、ベッドで未だ眠ってる女の子に近づく。

 

連れてきて丁寧にベッドに寝かせ、掛け布団まで掛けてる夜廻りさんのマメさに苦笑して、ぐっすり寝てる女の子に起こすのも悪いなとそのまま近くの交番へ連れて行こうと近づくと、女の子の傍にリュックが置かれており、雑に置かれたのか中身が外に出ていた。荷物の雑な扱い方に夜廻さんは子供以外どうでもいいんだなと感じながら散らかったものをリュックに戻しながら確認する。懐中電灯や塩、石、紙飛行機など、まるでこともちゃんの夜廻りキットの様な中身だった。

 

リュックの中をみて、女の子は突発的に外に出て連れてこられたわけではなく、何か目的を持って外に出ていると判断をしたので彼女を起こそうとした時、遠くの方から何かが走ってくる音がした。気配を探るとお化けではなく、音から人間でもなく、四足歩行の動物が走る音なので動物だと判断を下す。

しばらく待つとコンテナの入り口に黒い小さな犬が姿を現した。犬は俺を無視して女の子の元に向かい、顔を舐めて優しく女の子を起こしはじめた。

しばらくすると女の子が起き、俺に気づくことなく犬にお礼をいい、撫ではじめたので、しばらく眺めたあとに声をかける。

 

本当に俺がいることに気が付いていなかったのか、慌てふためき、次に警戒をしていたが膝に乗せている犬が俺を警戒していない為、しばらくしたら話してくれる気になったようだ。名前を聞くと、彼女の名前はユイちゃんといい、一緒にいる犬はクロという名前らしい。

 

ユイちゃんから話を聞くと、いつも一緒にいる友達のハルちゃんという子が突然居なくなり、居ても立ってもいられずに探しに出たとのこと。

色々な所を探しても見つからなくて、途方に暮れているところに大きな袋を持ったお化けに捕まったらしい。

 

その話を聞き、現在の場所とユイちゃんを捕まえた夜廻りさんのことを説明した。

あまり納得いっていないようだったが、真実なので納得してもらうしかない。

 

しかし、お化けが徘徊している夜の町で友達を探して回るなんて。姉を探して夜の町に飛び出したこともちゃんといい、この地域の女の子はとても肝が据わっている。

ユイちゃんの勇気や頑張りをほめた後、ハルちゃんが何処にいるのかを考える。

 

最近の夜廻さんは夜の町探索のプロこと、こともちゃんが全力で逃げても3時間ぐらいで捕獲している(何故かこともちゃんだけ、コンテナじゃなくて直接家にこともちゃんをぶち込んでいる)のでも分かるように子供を探すのと捕まえるのが本当に上手くなった。

実際ユイちゃんも夜廻りさんが主に活動している町とは違う隣町なのに1時間半ほどでユイちゃんを見つけて捕まえているので、ハルちゃんという子が夜の町にいるのならユイちゃんがここに来る前に夜廻りさんがハルちゃんをここに連れてきてもおかしくはない。

連れてきてないということは、この町にいないか、夜廻りさんの手の届かない場所にいる可能性が高い。

もしやこの町にいたトンネルの奥にいたやつの仕業かと思ったが、もう完全に消したはずなのでその可能性はない。断り様とも考えたが生まれと信仰を考えたらそんなことはしないし、噂通りなら道路でハルちゃんが大変なことになっているのを捜索中のユイちゃんが見つけているはずなので、消去法的にコンビニのある町の山にいる神のほうかなと当たりをつける。

 

ユイちゃんに山には入ったかと聞くと、呼ばれた気がして、最初に行こうとしたがクロが止めるのと呼んでいるのはハルじゃないと感じ、すごく嫌な感じがしたので、ほかの場所を探していなかったら山に踏み込もうと思ったらしい。山が山の神の領域でも神域などに入っていなければ、さ迷っている間に夜廻りさんが連れてきていると思うので、ハルちゃんは山にいる神に魅入られて連れていかれてしまったのだろう。

 

ユイちゃんに恐らくハルちゃんが山にいることと、恐らく神域へ行くのは連れていかれた人との縁がないと辿り着けないのと仮に行けたとしても助けたハルちゃんが本物かどうか自分では判断がつかない為、危険を承知でユイちゃんに着いて来てほしいとお願いする。するとユイちゃんは二つ返事で了解してくれた。ユイちゃんが返事をした後に自分のことも忘れるなとクロもキャンキャン吠えて主張する。分かった!お前も一緒にハルちゃんを救いにいこうな!

こんな健気な子を巻き込んだ山の神、いや山にいる糞野郎に怒りを覚える。

しかし山に行った時の気配もそうだが、戦うにしても2年前のトンネルの奥にいたやつぐらいかそれ以上を相手するにはバットは心もとない。

準備をするため、ユイちゃんとクロと一緒に境内に出て、拝殿までくると突然スマホが鳴り始めた。

電話に出ると。世界が一変し、また直ぐに元に戻った。

すると足元に紫色の袋に包まれた細長い物と刃渡りが30cmぐらいの水晶で出来たナイフが6本はいったナイフケース。何故か自分の家に置いてあるいざという時用に用意してあるカバンが一緒に置かれていた。

紫色の袋に包まれている細長い物は刀であり、手にしたことは2年前なので久しぶりである。

百足様がこれを貸してくれたということは、犯人は山にいるヤツ確定なのだろう。

 

ユイちゃんがびっくりとしていたが、ここにいる神様が力を貸してくれただけだよと伝え。

装備を回収し、2人と一匹で山へ向かった。

 

ユイちゃんがつけている包帯と絆創膏はどう考えても転んだりしたケガとかじゃない為、全てが終わったら迷惑かもしれないが児童相談所に連絡してやろうと思った。

 

 


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