これで本格的なものになったらどうなるのでしょうか・・・。(精進せねばなりませんね・・・。
誤字報告ありがとうございます。よくよくやらかすので助かっております。
「申し訳ありません。お兄様、八幡さん。」
「お前のせいじゃないさ。」
「ですが・・・。」
先程の言い合いの責任を感じているのか深雪は沈み気味だ。
「それに、ここまでうまく行ったのは八幡が服部副会長の冷静さを奪ったからだ。本当に八幡は煽るのがうまいな。」
「それ褒めてんのか?まぁ、今回は向こうが勝手に自滅してくれた感じだがな。
それより俺も模擬戦やるのか?相手すら聞いてないんだが・・・。」
なんでこうなった。働きたくないのに。模擬戦とか超疲れるじゃん。誰だよこんなことにしたの、・・・俺か。
・・・俺なのか?
「丁度良いではありませんか。あの方はお兄様だけでなく八幡さんにまで無礼なことを宣ったのです。格の違いというのを見せるべきです。」
「いや、もし戦ったら俺が格の違いを見せられる可能性もあるぞ?
それに、この学校だったらあれが正常な反応だろ。
俺への攻撃は俺が逃げ道を潰したせいで後に引けなくなった部分が大いにあるだろうしな。」
実際、ヘイトをこっちに向けるために結構エグい論調で攻めたからな。まぁ、氷の彫像にならなかっただけマシだと思ってくれって感じか。
それにしても深雪さん、元気になったのはいいけどちょっとアグレッシブすぎやしませんかね?
「そういえば八幡、さっきのホラはなんだ?いつからお前は“俺より弱くなった?”」
「何言ってんだ。“実戦”で俺がお前に勝ったことなんて無いだろうが。そもそも、やったことが無いしな。
模擬戦でどれだけ勝ってようがお前の弱点を突いて勝ってるだけで、対策アリアリ嵌め殺しで勝ってるだけの勝率に価値なんて無いだろ。」
俺と達也は訓練の一環で過去にそこそこの回数模擬戦を行っているが、達也はその尖った魔力性質上殺さない事や一定以上の負傷をさせないルールで行う模擬戦はあまり相性が良くない。俺もそれが分かっている上で戦っている以上達也の得意をとことん排除していけば素の魔法力の差でどうしても勝率は偏りやすい。
それでも、達也の求めるデバイスの進化や達也独自のスキルも相成って最近の戦績だけ見れば五分五分に持ち込まれつつある。
「八幡さんはご自分の凄さをもう少し理解した方がいいと思いますが・・・。」
「それについては俺も同感だな。」
「お兄様もです!!」
模擬戦前とは思えないゆるい感じで演習室の扉を開いた。
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「それではルールを説明するぞ。
直接攻撃、間接攻撃を問わず相手を死に至らしめる術式は禁止。回復不能な損壊を与える攻撃も禁止とする。
相手の肉体を直接損壊する術式も禁止する。
ただし、捻挫以上の怪我を与えない範囲での直接攻撃は許可する。
武器の使用は禁止、素手での攻撃は許可する。蹴り技を使いたければ学校指定のソフトシューズに履き替えること。
勝敗は一方が負けを認めるか。審判が続行不能と判断した場合に決する。
双方開始線まで下がりCADを起動しないこと。
このルールに従わなかった場合その時点で敗北とする。違反は私が力づくで止めるから覚悟しておけ。以上だ。」
摩利のルール説明を聞き双方頷いた達也と服部は開始線に向かう。服部は開始前に達也が摩利と話している時に言っていた「汎用型は処理能力が追いつかない」という言葉を聞いて勝利を確信したようだ。油断はしないが、余裕綽々という雰囲気だ。
油断している様にも見えるが服部が余裕さを出すのも無理はないだろう。この模擬戦において、一番重要なのは“相手に先に魔法を当てれるか”である。
実技の苦手な二科生であり、汎用型を使う上で処理能力が追いつかないほどの魔法資質、先程の会長の発言から試験成績が良いが分かっている。だとしたら実技が相当平均より下回っていなければ二科生にはならなかったのだろう。
故にこの試合において服部は油断は一切していなかった。
確実に勝つべく持てるスペックを最大限活用した正しい行動も取っていた。
「始め!」
だからこそ、自分が床で寝ていることを理解するのに時間がかかった。
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「勝者、司波達也。」
勝負は一瞬だった。まぁ、俺と深雪以外は驚愕していたが。
淡々と成すべきことを終え、礼をした達也はCADを収納に向かう。
「待て。
今の動きは、予め自己加速術式を展開していたのか?」
この疑問は当然だろう。魔法に通じる人間であるからこそ、尚の事その考えに行き着くのは仕方がないことだ。
「純粋な身体的技術ですよ。」
「その通りです。お兄様は忍術使い九重八雲先生の指導を受けているのです。」
その名は驚愕だっただろう。体術に通じる人間であればこそ八雲の存在は大きい。
「では、あの攻撃に使った魔法も忍術ですか?
サイオンの波動そのものを放ったようにしか見えなかったのですが。」
「忍術ではありませんが正解です。あれは振動の基礎単一系魔法でサイオンの波を作り出しただけですよ。」
本来、魔法をについて深く質問するのはマナー違反に当たる。だが、七草会長は同系統の魔法(サイオンを弾丸として打ち出し起動式を破壊する魔法など)を使う魔法師として興味が抑えられなかったのだろう。
「それでははんぞーくんが倒れた理由が分かりませんが・・・」
「酔ったんですよ。」
その後はみんなで達也の魔法の考察大会に発展した。
達也の放った魔法はサイオンを知覚できる魔法師に、3種類の振動数で放たれたサイオンの波をぶつけると言うもので、波の合成を利用することで威力が強まったサイオンの波のせいで強制的に強い船酔いのような状況に追い込まれたのが服部の倒れた原因だった。
問題はその魔法を撃つために使用された魔法に使われる変数の多さだった。魔法は予めプログラムされていた魔法に自分で必要な情報、この場合では座標、波の強さ、波が続く時間が必須条件となるがこれらを入力することが求められる。
達也の場合、これらの処理を行う変数の入力を増やすことを得意としており、この魔法においては先の3条件に加え波の振動数も予め設定せずに数字を入れている。こういった処理を多変数化と言い、魔法の自由度が増える分魔法そのものが難しくなるのだ。
簡単に言えば暗算で1次方程式を解いていたのを同じ速度で2次方程式を解くようなものだ。三次、四次となれば難易度は格段に跳ね上がる。そういう類の技術だ。だからこそ。
「多変数化はこの学校では評価されない項目ですからね。」
「・・・・・・実技試験における評価項目は魔法を発動する速度、魔法式の規模、対象物の情報を書き換える強度で決まる。
なるほど、テストが本当の実力を示していないとはこういうことか・・・。」
服部はまだ少しふらついているようだが、それでもしっかりと床を踏みしめ深雪の前に立ち頭を下げる。
「先程は、その、身贔屓などと失礼を言いました。
目が曇っていたのは、私の方でした。許してほしい。」
「私の方こそ生意気を申しました。お許し下さい。」
これで大方解決に至っただろう。プライドは高いものの実力を正当に評価出来ないほど奢り上がった物ではなかったらしい。達也もそことなく満足そうだし。
さて、終わった終わった帰ろう。
「あ、服部。今から比企谷と模擬戦を行うんだが・・・相手はお前がするか?」
・・・逃してくれなかったか。もう良いじゃん。俺いらないだろ・・・。
「ああ言ってしまった手前、比企谷の実力も見るのは義務だと考えますが、出来れば見学でお願いしたいです。」
「そうか。なら、私が相手をするしか無いな?」
やだ、いい笑顔。
「いや、ちょっとアレで、コレですし?」
「八幡さん、CADです。」
スルーすか。はぁ。
深雪に渡されたのは腕に巻くタイプの一般的な汎用型。
「ルールは先程と変更なし、審判は真由美が適任だろう。
問題ないな?」
「あってもやるんでしょう?もう好きにしてください。」
「では真由美、頼む。」
「いつもながら強引ねぇ、摩利。」
そう言いつつもそそくさと審判をする位置につくあたり八幡の実力が気になっているのだろう。
達也も少し興味があるのようで眺めているが、どっちかというと風紀委員長の実力が見たいのだろう。
「始め!」
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ありがたいです。(拝み
戦闘描写がこれでいいのかすごい困ってるので今後ちょこちょこ色々試して見るので感想の方でコメントいただけると助かります。
次の投稿は比較的早く出ると思うのでよろしくお願いします。