やはり俺の相棒が劣等生なのはまちがっている。   作:読多裏闇

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皆さんはテスト前と言う時間をどうお考えだろうか?
余裕のものは遊び諦めた者も遊ぶが、基本的には赤点という恐怖から逃れるためにも勉強をするというのが正しき姿といえるのではないだろうか?
なればこそ、ここで私が小説など書いている場合ではない、なんとしても赤点を回避せねばと奮起したのは何も間違っては・・・!!

???「書き溜めって言葉知ってます?」

ウィッス。さーせんした。(土下座



というわけで、テストという名のデスマーチ・・・もとい学生の本分にかまけて続きの更新が遅れておりました、タコ作者こと読多裏闇です。
お気に入りが1000件超えているにも関わらず、赤点と必死に格闘しているという雑魚さを発揮しましたが、無事テストも終わりましたので投稿再開させていただきます。
雑魚さを盛大に発揮した後ですが楽しんでいただければ幸いです。


入学編13

「ねぇ摩利?ここって本当に風紀委員会室?」

 

 七草会長の質問は風紀委員会室に入っての一言としては違和感を隠しきれないものだが、実際“以前の風紀委員会室”を知るものならばまっとうな質問だった。

 

 七草会長の困惑を理解するにはここまでの流れを理解せねばならないだろう。俺たち(模擬戦参加者一同)は終了後生徒会室へと集合し、その後深雪にそのまま生徒会業務についての説明、俺達は生徒会室の真下で階段による物理的な移動が可能な風紀委員室へと向かい絶句した。

 物は雑然と並べられ書類とCADが入り混じった魔境が完成されていた。渡辺委員長本人は「整理整頓は徹底しろ、と口酸っぱく言っている」と言っていたがこれはトップの影響なんじゃなかろうk・・・心読んで睨まないでくれませんかね・・・。

 結論から言えば達也が我慢ならなかったため片付けを開始。魔工師志望(魔法師でもCAD関係を専門としてる人)としてはCADのこのような扱いは我慢ならなかったのだろう。正直オレも目に余ると感じたが。

 

「委員長。CAD関係の整理、終わりました。」

 

「書類関係も整理完了ですね。後、これ今日までの書類なんですけど、見た感じ誰が書いても一緒な感じなんで書いときましたが問題ありましたかね?」

 

「・・・あぁ、うん。ありがとう。」

 

 最初こそ威厳を少しは保っていたが部屋が片付くにつれ少しづつ片付けに参加するものの手際の悪さからほとんど手を出せず終わるまで途方に暮れるという普段の摩利を知るものならば非常に珍しいと言わざるをえない状況を挺していた。

 

「早速役立ってくれてる訳だ。

 八幡くん、その書類を受け取りに来たの。見せてもらっていいかしら?」

 

「あ、はい。これでいいですかね?とりあえず埋めただけなんですが。」

 

 この話の流れで状況を察したのだろう。七草会長が呆れたようなおちょくるような目を摩利に向けつつ俺から書類を受け取り出来栄えに“問題ない”と告げる真由美。

 

「にしても、これじゃあどっちが委員長なのかわからないわね。」

 

「やめてくれ真由美。正直今日は受け止めきれる気がしない・・・。」

 

 片付けるの苦手なことそんなに気にしていたのだろうか?

 

「当の本人に自覚がないのはどうかと思うぞ?八幡。」

 

「達也くんもその片棒を担いでいるのは自覚した方がいいと思うわよ・・・。」

 

俺と達也はコメントする術がなかった。

 

 

 

 

 

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 そんな一幕もあったがやっと帰宅である。そう、帰宅である。俺がこの瞬間をどれほど待ちわびたことか・・・!!

 それは重要ではあるがまぁ脇において、現在は達也と深雪とともに比企谷家へ帰宅中である。本日は小町が晩御飯を一緒したいという要望が来たとのことで比企谷家に向かうとのこととなった。

 ところで皆さんは“帰宅中”と言うものはどういう風に定義されるだろうか。

 私は出発地点から目的地への到着までと以前は定義していた。だが、それは見直さなければならないのかもしれない。世の中には目的地到着後に“帰宅に失敗しているかもしれない可能性”を示唆しなければならない状況というものがあるらしい、何故ならば。

 

「お帰りなさい!せーんぱいっ!!」

 

 帰宅するにあたっての目的地の設定をミスった可能性が・・・ないな。自宅の場所ミスるってどんなんだよ。

 

「先輩。またくだらない事考えてるんだと思うんですが、もう少し帰ってきた先輩をお出迎えする後輩に目を向けてくれてもいいと思うんですよぅ。」

 

「いや、頼んでないから。」

 

 まじで頼んでないから。あれ、まじで自宅間違ちゃったの?てかなんでいろはす?

 

「お出迎え頼む人って相当少数派だと思いますけど?あ、でもこれは頼む人居るかもですね!

 先輩!ご飯にしますか?お風呂にしますか?それともいr」

 

「あざといんだよ。

 お前はいつから新妻キャラにジョブチェンジしたの?流石にキャラ盛りすぎでしょ。後、あざとい。

 てか、なんで居んだよ。」

 

「え、いきなり新妻扱いとか既に結婚前提ですか。いや、最終的にはそれも視野に入ってはいるかもですが色々段階踏んでほしいのと、いきなりすぎるんて気持ち的にも色々整理しきれないんで諸々含めて出直してきてください。ごめんなさい。」

 

 相変わらず早口で聞き取れねえがこの流れですら振られちゃうのかよ。今、振る流れあった?

 

「あの、いろはさん?何故八幡さんの家に?」

 

 今までのマシンガントークに呆気にとられていた深雪が復活して疑問を告げた。

 そう、この“一色いろは”は比企谷家の関係者というわけではない。もちろん家族というわけではなく赤の他人だ。俺が中学時代の後輩にあたり、The.リア充なオーラを漂わせる俺の人生において関わることが一切無いはずだった少女である。

 唯一の関係としては我が家のメイドさんこと水波の親友であり、小町とも仲が良くこの三人は全員俺の母校である中学の生徒会役員で有ることだ。

 そろそろみなさんも思い出して頂けたかと思うが、俺が生徒会長になるように“説得した”少女であり同時に、それを一色いろはを助けたとして一色の実家である師補十八家の“一色家”に感謝の意を表明された原因となった一色家ご令嬢だ。

 よって俺にはなんの関係も・・・・・・無いとは言い難くなってきてる気がするが赤の他人であるのは事実なのだ。家に居て帰りを出迎えられるような関係ではないのは間違いない。

 

「あ、深雪先輩と達也先輩もお久しぶりです!!

 今日、水波に先輩が第一高校の風紀委員に抜擢されたって聞いてこれはお祝いをしなければと思いまして!!

 ほら、入学のお祝いとかも出来ていなかったのでって水波に相談したら・・・。」

 

「小町がそれなら達也たちも呼んで家でやるとか言い出して今に至るってわけか。めんどくせ・・・。」

 

 水波さん言っちゃったんですか・・・。あ、後ろで申し訳なさそうに頭下げてるよ。・・・・・・やめてくれ、罪悪感がががg。

 

「八幡兄様鞄を・・・。」

 

「いやだから、それ、メイド業務の域超えてると思うんだが・・・。と言うかメイド業務も別に良いんだがな・・・。」

 

 水波だが、対外的には本人の希望で家のメイド的な仕事をしているということになっている。ガーディアン云々については言うわけにいかないのと、本人がメイド業に対してある種誇りに思っているようで、この家に来たときから家事全般をやることを譲らなかったのだ。(正確には“やるな”と言われない限り隠れて全部やってしまう為、母さんが根負けした。)

 一応表の設定として両親が死んでいる為に引き取られた子供となっていることから、居候であることを気にして自発的にやっている事としてメイド業に励んでいる。

 最初こそ家での扱いが悪いのか?などという勘違いも当時の担任の教師等で無くはなかったが、楽しそうにメイド業について語る事、辞めさせようとするととても悲しそうな顔をすることなどから本当に好きでやっていると言うのが伝わったらしくそういったトラブルはあまり来なくなってきている。

 

「あ、お兄ちゃんおかえりー。深雪お姉ちゃんも達也お兄ちゃんもお帰りなさい。

 水波ちゃん味付けなんだけどちょっと相談乗ってほしいから来て来て!!」

 

「あ、はい。ちょっとまってて小町ちゃん。」

 

 水波が鞄を諦め頭を下げてからキッチンへと向かう。

 

「今日は私もご飯作りましたから楽しみにしていてくださいね。先輩っ。」

 

 いろはすが料理?今日は命日か・・・。

 

 

 

 

 

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「いい加減認めてくれてもいいと思うんですが?」

 

 なんだろうか。この振り上げた拳の落とし所が見つからない感じと言うか、イマイチ納得行かないというか・・・。

 

「少し悔しいですが、私よりも美味しいかもしれません・・・。」

 

 と、深雪の弁。

 そう、今はみんなで卓を囲み夕食を頂いている。小町、水波とそして一色の合作であり出来栄えは素晴らしい。そう、素晴らしいのだ。そして味も。

 

「八幡兄さん。いろはは少なくとも私と大差がないレベルで料理が得意です。

 因みにですが、今食べてらっしゃるグラタンはいろは作です。」

 

 マジかよ水波が作ったのだと信じて疑ってなかったぞ・・・。

 

「美味えな。正直びっくりだわ。

 一色にこんな予想外な特技があるとは。」

 

「しれっと失礼ですよ、先輩。前にお菓子とか作って食べさせてあげたことあったじゃないですかー。」

 

 そういやそうだがお菓子作りと料理って別もんだろ?・・・違うのん?

 

「話は変わるんですが、風紀委員ってどういうお仕事なんですか? 平塚先生は学内でCADの持ち込みが許可される武闘派の組織とか言ってましたが。」

 

 そう言って箸が進む中一色が本日の会を催した切っ掛けに触れる。

 

「そう言えば先生一校出身とか言ってたな。まぁ、大筋は間違ってないが、俺は裏で書類の整理とかしてるから安全だ。」

 

 平塚先生とは俺の中学時代の恩師である。それと同時にあの雪ノ下や由比ヶ浜と所属していた部活、“奉仕部”の顧問でもある。

 近年、日本の魔法師教育の強化に基づき、魔法師として素養がある人間をスキルを問わず学校機関(主に中学校)に最低一人づつ配置する試みが試されている。これは魔法素養があるものを早期に発見し魔法科高校への入学に導くことを目的としているため、魔法科高校入学ほどのスキルがなくとも教員資格を持つ魔法素養があるものが学校に赴任するのだ。

 平塚先生はそのテストケースの一人らしくそのせいもあってかうちの母校には魔法関係者が少し多いらしい。

 

「八幡。お前は間違いなく前線だと思うぞ。術式解体(グラム・デモリッション)が使える風紀委員と言うだけで持てはやされる筈だ。」

 

「・・・そんなえげつない対抗魔法使えるんですか先輩。

 水波ちゃんからサイオン量が多いとは聞いてましたがそこまでだとは思わなかったです。」

 

 おい一色UMAを見たような目でこっちを見るな。

 

「あんなんサイオン量が多けりゃ誰でも出来るだろ。一色も練習すれば出来んじゃねえか?

 力技と思われがちだが、サイオン量が多いのに出来ない奴は過剰にサイオン使いすぎて使い物になってないだけだと思うぞ?」

 

「八幡さんの言いたいことはなんとなく分かりますが、その辺りは無系統魔法に相当親和性がないと難しい部分だと思います。」

 

 深雪にまで人外扱いされてはぐうの音も出ない。深雪とかやりゃあ出来そうなんだがな・・・。

 

「それはさておきCADの学内携帯許可は安心だよね。どっかの誰かさんがまたやらかさないとも限らないし。」

 

「どっかの誰かって、もしかして葉山先輩ですか?」

 

 小町の発言に一色が食いつく。

 

「そうなんです。あの輩、また八幡兄さんにちょっかいを・・・。」

 

 水波が入学式のことについて一色に話し始める。俺そっちのけでヘイト増やさないでくれませんかね・・・。俺そこまで気にしてないのに。

 

「お父さんの心配が当たっちゃってる・・・。

 小町ちゃんが平塚先生にCADの学内携帯許可の話を聞いた瞬間、風紀委員になるの応援しだしたから何かあったのかなって思ったら案の定じゃないですか。

 先輩、何かあったら一色家の名前を出して構わないってお父さんから伝言もらってるんです。場合によっては日本魔法師社会の膿として排除も検討した方がいいって言ってましたからいつでも言ってください。」

 

「今日来た目的はそれか・・・。なら気にしないでくれって伝えてくれ。こう言っちゃあなんだが、面倒くさいことはあっても直接実害は無いんだよ。だから気にしなくて大丈夫だ。」

 

 葉山家と雪ノ下家どれだけ嫌われてるんだよ。これ以上暴発しないでくれよマジで・・・。

 

 そんなこんなで夕食が終わり一色は家に帰る事になった。家から車が迎えに来るらしい。流石はお嬢様である。

 

「先輩。例え一色家が動けない事態に発展したとしても私は来ますから。何かがあったら絶対に連絡してください。」

 

「一色家が動けない事態ってどれだけヤバいんだよ。んな事件に関わるわけ無いだろうが。俺を誰だと思ってんの?

 と言うか一色家が動かないといけない事態になる事も起こす気も関わる気も無えよ。俺は働きたくないんだっての。」

 

「必要なら動きますよ。先輩なら。」

 

 そう言って一色は去っていった。

 そういう予言めいたこと言うの止めてもらえません?

 

 

 




というわけで名前だけで出てなかったいろはす登場です。
今後も要所要所で顔を出す予定ですのでよろしくお願いします。


前書きでも触れましたがお気に入り1000件突破いたしました!!!!

作者、非常に驚いております。更新遅れてやがるくせに何様だこのタコ!など言いたいことは多々あるかと思われますが、感想にて作品への批評等頂ければ嬉しいです。

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