???「何故遅れたのでしょうか?」
新学期にゼミの研究、自動車学校も重なりてんてこ舞いだったと言いますか・・・。
???「本当に時間は無かったのでしょうか?」
いえ、その読む方が忙しくってですね?
???「ギルティ?」
ちゃうねん。そろそろ読まないと禁断衝動がやばいかってん・・・。
~小町side~
『と言う感じなの。八幡さんは全く気にしてなさそうだけれど、釈然としないというか・・・。』
あぁもう、お兄ちゃんらしいなぁ。こうやって周りのフォローを蔑ろにするから後で面倒な事になるの分からないかなー。
と、心の中でお兄ちゃんにつっこむ。
今は定期的に開催している妹会。(メンバーは私と深雪お姉ちゃんでたまに水波ちゃん)内容的には概ね家族間報告会だが参加者全員相当なブラk・・・お兄ちゃんを心配する妹なので会話の大半は兄のことになる。
「本当にお兄ちゃんはまったく・・・。
それ以外はどうです?私的には未来のお姉ちゃん候補の話とか気になります!」
ちょくちょく情報集めとかないとアシストも見極めも出来ないからなぁ。一度失敗してるしとことん下調べしないと。後、良い人でもお兄ちゃんヘタレだから進展しないだろうし。
「八幡さんのお嫁さん候補かは別として、何人か将来的に落ちそうな人が居るわね・・・。
本人全く自覚無しみたいだけど。」
「自覚無し、と言うか気の迷いと一方的に処理してる感じですね。この前いろはが来た時も結構露骨にアプローチしてたのに容赦なくスルーですし。
あまりの酷さにちょっと覗いたんですが、案の定自分を無理やり肯定する”偽りの色”が出てました。」
「・・・小町ちゃん?あんまり人の心を覗くのは感心しないわよ?」
あちゃ、口が滑ってしまった。
深雪お姉ちゃんはこの魔法使うのあまり好きでは無いからこの話題出さない方が良かったかな・・・。
「お兄ちゃんには遠慮は抜きです。そう二人で決めたので。
それに、兄達以外の人間には使いません。使うときは兄の許可があった場合のみです。」
お兄ちゃんが第八研究のお家芸でもある重力関連系の魔法を得意とするように私も四葉の魔法を色濃く継いでいる。精神干渉系の系統外魔法、アメリカだとルナストライクだったっけ?が得意魔法だったりする。でも私の場合深雪お姉ちゃんみたいに精神を凍らせたりは出来ないからこの辺りは八幡家の魔法に似てる感じだからある意味ハイブリッドなのかな?
因みに八幡家の魔法は第八研究の「魔法による重力、電磁力、強い相互作用、弱い相互作用の操作」の部分でも重力干渉が得意なんだけど、中でも魔法だけでは説明がつかない程に受け継がれている素質があったりする。
それが”環境情報を読み取る”こと。
第八研究は環境の情報に干渉するから環境情報に敏感な魔法師が多い傾向があるけど、八幡家の魔法師はその中でも飛び抜けていて、まだ家が元気だった頃は「原因不明な事は八幡が調べたら解決する」とまで言わせた調査系魔法師のパイオニアって感じだったそうで。
それを色濃く受け継いだ私は精神干渉系の魔法師でも読み取り特化。干渉も細かいところを少し弄るのが限界で、深夜叔母さんみたいに感情を白紙にして演算領域押し込むみたいな力業は無理。
「そう言う”誓約(オース)”なのは分かるけど、八幡さんにもあんまり使いすぎるのは反対よ。まぁ、これ以上は二人の問題だから言わないけれど。」
「分かってます。でも、止めるタイミングは決めてるのでそれまではこのままの予定だよ。」
誓約(オース)って言うのは四葉家直伝の魔法の能力リミッターみたいな物で、「こう言うことをしてはいけません」って言う催眠術をかける感じの魔法。自分で分析したけど、魔法で強制的に「こうしないと」って自己暗示してる感じ。
これで、「他人の感情を読み取ることは八幡の許可が無いと出来ない。」って言う誓約(オース)をかけて疑似封印状態になっている。因みに深雪お姉ちゃんはこれで達也お兄ちゃんの魔法力を縛ってたりする。
「そんなことよりお兄ちゃんだよ。相変わらず未来お姉ちゃん候補をちょくちょく作るのにヘタレるからなぁ・・・。前聞いた時の雫さんだっけ、その後進展とか?」
「相変わらずの好感度だけ上げて後は放置というか、釣れてる魚に餌はしっかりあげるのに食べもしなければ構いもしないというか・・・。普段こそめんどくさがって何もしないって言う割には、一番大変な時に一番欲しい手助を一番欲しいタイミングでくれてお礼すら受け取らないから、その優しさに気付くと不器用なヒーローにしか見えないのよね・・・。女って大なり小なりお姫様願望的な物があるから油断するとコロって行ってしまうし。」
・・・深雪お姉ちゃん刺さってる。結構鋭角に曲がって刺さってるよ、そのブーメラン。まぁ、深雪お姉ちゃんの場合はどっちかというと親愛だから、恋とか愛とか超えちゃってて多分恋愛とは違うっぽいんだよね・・・。
え、私?やだなぁ、私は い も う と だよ?
「その感じだともしかして増えたりしてます?流石にこれ以上は予想外なんですが。」
「高校生にもなると流石に八幡さんの意図全てが分からなくても"八幡さんに助けられた"って事とか今までバレなかった優しさに気がつく人間が出てきたみたいなの。
まぁ魔法科高校なのだから頭の出来は良い人が多いのもあって相対的に気が付かれやすい環境なのだと思うわね。」
偏差値高いだけあるなぁ・・・。来年入ること考えると頭が痛いよ・・・。
「因みにどんな方なんですか?そのお姉ちゃん候補は。」
「私の印象でしかないけど、雫の他には多分七草会長、市原先輩、渡辺先輩は恋人がいらっしゃるから単純に興味を持ってると言う感じだけれど、間違いなく興味は持っていらっしゃるわね。
特に七草会長はあの後八幡さんについて結構質問されたし、結構気になってそうね。」
「質問・・・?詳しくお願いします!」
えっと?ざっくりまとめるとお兄ちゃんが目立ちすぎてやっかみが増え気味で、変な徒名が付けられたのはまぁいつも通りと言えばいつも通りだし置いとくとして、これまたいつも通りお兄ちゃんが達也お兄ちゃんに仕事丸投げしたのを怪しんだ七草真由美さんがお兄ちゃんに良い様に弄ばれたと思って深雪お姉ちゃんを色々質問責めにしたみたい。
七草真由美さんはどうやら”あの”七草の人なんだね。・・・お兄ちゃん大物釣り上げすぎ。でも、十師族ならそう言うところに気が付くのも納得かな。真夜叔母さんも”七草の当主は狸”って言ってたし、見慣れてるのもありそう。
一色に七草って、お兄ちゃん日本魔法師社会でも牛耳るつもりなの?まぁ、お兄ちゃんがそんな面倒な事する訳ないけど。
「本当に、お兄様よりよっぽどジゴロよね。無意識に誑し込むのは二人共同じだけれど。」
「達也お兄ちゃんも方向性は違うけどモテるし、この感じだと七草真由美さんは達也お兄ちゃんの路線もありそうだし要観察かな?
九校戦辺りでお話出来たら良いんだけど。」
「そうね。可能ならセッティングしてみるつもりよ。
と言っても、参加は確定してないから出れると決まっているわけではないのだけれど?」
そう言いつつ「おやすみなさい」っと通話を切る深雪お姉ちゃん。
「深雪お姉ちゃんが出れなかったら1年生全員出れないと思うのは私だけなのかな・・・?」
小町はこの異様に自己評価が低過ぎる兄や姉に頭痛を覚えつつ置いてきぼりにならない様に頑張ろうと思うのだった。
もちろん、小町自身のオーバースペックさは棚上げされる結果となった。
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”勝負は戦う前から終わっている。”とは孫子の言葉だっただろうか?
”間違いなく勝てるという予想が出来るのは勝てる筋道を前もって作っているから”と言う教えなのだが、要するに事前準備の重要性を説いている。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。など、事前に情報を得た上で入念に準備することの重要性は昔から多くの言葉で語り継がれている。
逆に言えば、事前準備を怠ると結果が付いてこず求めた成果が十全に発揮されない。
そう、この様に。
『全校生徒の皆さん!』
ガッツリハウリングしたな。
『僕たちは、学内の差別撤廃を目指す有志同盟です。僕たちは生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します。』
あぁ、そう来たか。流石に予想外だったわ。
「八幡、これ行かなくて大丈夫?」
雫が首を傾げている。まぁ、いきなり学校の放送で不可解なものが流れたら風紀委員案件だわな。
しかし、何か起きるとは思ってたが予想以上に面倒で雑いなぁ・・・。
「・・・行かなきゃいけないだろうな。
これ、間違いなく無断侵入でやってるよな?魔法科高校はいつから治外法権になったんだよ。」
「これって前に八幡さんが言ってた一科生と二科生の話が影響してるんですよね・・・?」
ほのかが心配そうに聞いてくる。ほのか的にはあって欲しくない現実だったのだろう。
「まぁ、そうだろうな。つってもそれが分かったとして俺らに出来ることは無いから気にすんな。
どちらかと言うと問題は、なんでここまで派手に動く事になったかだな・・・。」
「八幡さん、渡辺先輩が召集なさっているようです。
行きましょう。」
何はともあれ行くしかねえか・・・。あーあ、こっから忙しくなるんだろうな。残業代出ないかねぇ?
このタコ作者は活字を一定量摂取しないと禁断衝動にみまわれる系ジャンキーでして、ここのところちょっと摂取量が足りず一気に不足分を回収しておりました。
とりあえず禁断衝動は概ね収まりましたので更新のほう再開していきたいと思います。今回は私のジャンキーに巻き込んでしまい大変申し訳ありませんでした。