やはり俺の相棒が劣等生なのはまちがっている。   作:読多裏闇

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相変わらずの戦闘シーン描写下手くそマン事、読多裏闇です。

久々に書いたらさくっとしすぎて描写うっすい事うっすい事・・・。




入学編23

 

 ここいらで一度、情報の整理をしよう。

 俺達の学校に攻撃を仕掛けてきた反魔法国際政治団体ブランシュの目的はこれまでの行動から大きく分けて2つだと予想できる。

 

 ブランシュのメイン目的である魔法大学が貯蔵している非公開文献の奪取。

 第一高校に蔓延る差別意識を増長させて魔法に対する不信感を世間にアピールする事。

 

 である。

 一つ目に関しては物理的に行動を起こしているため分かりやすいが問題は2つ目。具体的には、学生がテロリストの手先に利用されるような事態を起こして、管理体制の疑問や”テロの標的となる”という事実そのものを取り上げることで危険性を煽動する反魔法のプロパガンダの材料にすることなどが考えられる。

 言ってしまえば反魔法の為に良い様に晒し者にされるのだ。この流れは魔法師社会としても勿論、俺達としてもあってはならない事態。真夜叔母さんが一番危惧してたのはおそらくこれだろう。

 以上のことから言えるのは、ブランシュの目的はほぼほぼ失敗しており後は追い詰められた奴らの暴発を警戒しつつこの場所から排除するか殲滅するか、といった具合だ。

 そう、その筈だった。

 

 俺がこうやって過去の内容の整理をしていたのはほぼ解決しており残りは面倒な処理が少ない掃討戦に移行するはずの戦局に無視できないノイズが入ったからだ。

 図書室の特別閲覧室を制圧した後、エリカと合流した辺りまでは計画通りどころか不測の事態が一切無さ過ぎてブランシュを心配した程だ。壬生先輩も達也が言ったとおり怪我で気を失っているもののエリカがしっかりと確保しており、現在は達也がお姫様抱っこにて護送中。

 いやはやイケメンがやると絵になるわ、けっ。

 などと考えながら残りは残党のスマートな駆除方について考えていた俺の思考に水を差したのは一本の電話だった。

 

『八幡兄様ご無事ですか!?』

 

 開口一番から少々落ち着きがないが、発信元は水波。

 水波には今日の流れをある程度話してあるのでここで戦闘が起きているであろう事は知っている。にもかかわらずこの話し方なのは演技にしてもオーバー気味だな・・・。何らかの不測の事態があったか?

 

「お、おう。

 てかどうした?なんでこっちが戦闘になってるの知ってるんだ?」

 

『いろはに聞きました。第一高校に賊が攻め入って現在戦闘中だと。

 こちらには八幡兄様達の安否確認といろはからの伝言を伝えるためにお電話させて貰ってます。

 達也兄様達はご無事でしょうか?』

 

 表向きはこの襲撃そのものを予想できないはずの水波はこちらには連絡できないし、出来たとしてもこんなに早く電話が来ることはない。この会話は、お互いの立場を把握するためのプロセスだ。

 

「達也達は無事だ。怪我もない。

 それで一色の伝言ってのはなんだ?」

 

『良かったです。

 いろはが、この件に一色家として動くので一度合流したい、とのことです。

 今いろはがそっちに向かっているので正門付近で合流したいみたいです。』

 

 なるほど。まぁ、とりあえずは合流するのが先決って感じか。

 ・・・にしてもやはり早すぎる。やっぱり何かあったか?

 

「細かいことは”後で詳しくお話したい”です。少し込み入った内容になるので”お手隙の時"に折り返していただけると。」

 

 後ほど詳しく、お手隙の時に、な。つまり”今話すと問題だから後で”で、かつ手が空いているときだから”誰にも手が取られてない時"、つまりは俺単独が望ましいってか。なるほどな。

 

「分かった。とりあえず一色と合流する。」

 

『はい。失礼いたします。』

 

「水波か?」

 

 電話を切った俺に達也が質問を投げかける。不測の事態を警戒してのことだがあの水波の言い回し的におそらく俺が一人の時つまり、”達也も居ないときがベスト”なのだろう。

 とりあえず察してくれよ・・・。

 

「水波からだ。どうやら一色家が動くらしい。情報共有も含めて一回俺と合流したいんだと。」

 

「へーすごいじゃん。こんなにスピーディーに対応してくれるって相当気に入られてるって事じゃん。」

 

 何言うてはりますのん?

 

「別に一色家は俺のために動いてるわけじゃないぞ?」

 

「普通、自分の子供でも通ってなきゃこんなに手早く動かないよ?」

 

「・・・まぁ、エリカの勘違いはこの際どうでも良い。

 達也、というわけで別行動だ。詳しいことは後で連絡する。壬生先輩とこの後のことを頼む。」

 

 後ろで「後で覚えてなさいよ。」みたいな声が聞こえているが俺には聞こえん。・・・聞こえないったら聞こえない。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

~水波side~

 

 

 

 

 私が通わせて頂いている千葉市立総武中等学校は魔法師の卵になりえる子供の発見と魔法素養を伸ばす先取り教育を試験導入している学校です。学校自体は第一高校からは方向は違うもののそこまで遠いというレベルではなく、現代の鉄道技術で考えれば現比企谷家からはコミューター(現代における電車)で通学できる距離です。

 今は放課後、正確には下校中で、最寄り駅が同じいろはと小町ちゃんと共に下校中。

 

「ねぇ水波。なんか一校で一騒動あったって聞いたんだけど、何か聞いてる?」

 

「何か校内差別に関して、討論会の様なものをすることになった・・・とは聞いてるけど、詳しいことまでは。

 確か今日でしたよね?小町ちゃん。」

 

「なーんかいちゃもんの域を出ない内容で、全校生徒巻き込んだ大喧嘩ふっかけてきて無駄に仕事が増える・・・とか言ってたよ。」

 

 基本的にいろははあまり同性の友達が多くなく、最寄り駅も同じでしかも全員生徒会所属とあってこの3人での下校がいつもの光景です。

 会話内容も現在進行形で八幡兄様に恋してるいろはに非の打ち所の無いブラコンな小町ちゃんに、八幡兄様にお仕えしている私とそろっているため8割近くは八幡兄様の話題となる。

 今日も第一高校の会話をだしにして八幡兄様の話をしています。

 

「先輩も相変わず色々巻き込まれてますね・・・。まぁそうやってぼやいてる間はまだまだ余裕がある時みたいですし、大丈夫ですかね?

 一度で良いから本気の先輩みてみたいな・・・。」

 

「・・・お兄ちゃんが本気になってるときって大概ろくでもない事になってる気がするから、だらけてくれてた方が安心する・・・・・・なんて事はないね。

 いつもの調子でだらけてたらいつまで面倒見なきゃいけないか分かったもんじゃないよ・・・。」

 

「そう言えば、深雪姉様が一校では結構モテていると言っていませんでしたか?」

 

 たしか、小町ちゃんが言っていましたよね。通話で話した、とかで。

 

「・・・水波、それ詳しく。」

 

 いろはの目が本気モードに。こうなると私には手に負えません。

 

「私も小町ちゃん経由の話ですから詳しくはそちらに・・・。」

 

「水波ちゃんに売られた!?

 ・・・・・・えっとね深雪お姉ちゃんが言うには何人か無意識に粉かけて、一人はほとんど釣れてる・・・みたいなこと言ってたかなー・・・。」

 

「また無意識にたらし込んでるんですねあのスケコマシ先輩は・・・。

 来年までうまく繋がないとヤバいかも・・・。」

 

 恋する乙女は大変ですね。実際一色家的にも押せ押せムードの様ですし、将来はもしかするともしかするのかもしれませんが八幡兄様は色々家庭の事情が複雑ですからね・・・。

 などというとても平和な思考は不作法な乱入者によって中断された。

 

 

「比企谷小町だな?」

 

 

 前方に話しかけてきた男を含めて2名の怪しい男達、後方にも1名。退路を塞ぐように立っている。

 拳銃を所持している模様。

 そして何より小町様を名指しで話しかけてきた。標的は小町様の可能性が高い。

 身体と頭にたたき込まれたガーディアンのマニュアル通り攻撃に対して対応がとれるように即座に私達3人を包む対物障壁を展開する為、魔法式を待機させる。

 

「・・・何者ですか?」

 

「お前達には用はない。比企谷小町をおいて立ち去るのならば危害は加えない。」

 

 やはり、小町様が標的。武装していることからもおそらくただのチンピラでは無さそうですね。小町様の安全が最優先として最低でも一人は確保して背後関係を洗いたいところです。

 その後男は拳銃に手を伸ばしたのを確認したため待機していた対物障壁を展開。それに併せていろはも魔法を放つ。

 前の二人の頭に雷が落ちた。

 いろはが得意とする放出系の電撃魔法でしょう。明らかに死角からの狙い撃ちであの倒れ方は間違い無く意識が飛んでいますね。となれば残りは背後の一人のみ・・・と意識を向けたらテロリストが上空から落下してくる光景が映った。小町様が移動魔法で上空まで投げ飛ばしたのでしょう。

 

 とりあえず状況終了。拘束するものがなかったので武装(拳銃など)を解除させて気絶した襲撃犯を一ヶ所に集めて見張りつつ、いろはが一色家に電話で応援を呼んで引き渡し、背後関係は尋問してくれるそうです。四葉家を狙ったものにしては装備がお粗末な上やり方も素人臭かったので、おそらく別件で狙われた可能性が高くこちらの情報が漏れる可能性はないでしょう。

 残る問題は・・・。

 

「小町、なにか狙われる理由に心当たり無い?」

 

 それです。四葉家が絡まない案件で小町様が狙われる理由が見つからない。

 

「うーん。八幡家関連なら無いではないけど、白昼堂々拉致しに来られるほどのものは心当たり無いかな・・・。」

 

「となると尋問待ちかな・・・。

 後、今先輩と連絡とれる?」

 

 八幡兄様と・・・?となるとやはり・・・。

 

「とれると思うけど、今例の討論会で忙しいのでは・・・?」

 

「それどころじゃないみたい。今一校に賊が攻め入って交戦中だって。

 この襲撃も無関係じゃないかもしれないし私も一色家として先輩に合流して手伝ってこいってパパが。」

 

「襲撃って・・・あーもう、お兄ちゃんトラブルに愛されすぎ・・・。

 事態を大事にしないといけないわけじゃないんだよ。

 ほんとごみいちゃんは・・・。」

 

 頭を抱える小町様。学園襲撃の件が起きるであろうことは八幡様から聞いていたけど恐らく私達への襲撃は予想外。本来は襲撃の件も含めて私達は知らないことになってますし、知らないふりが必要なのですが、なまじ言ってる内容が本心なだけに演技とは思えない台詞です。

 案の定、八幡兄様の予想はドンピシャだったわけですが。なって欲しくない未来予想図、というのが本音です。

 となるとどうにかして連絡を入れなければなりませんね。

 

「じゃあいろは、早く八幡兄様の所に向かってください。八幡兄様にはこちらから連絡を入れます。家ももう目と鼻の先だし、家に引きこもってるから護衛の心配とかも大丈夫。」

 

「お兄ちゃんよろしくね。」

 

「うん。任されたよ。

 流石に友達をいきなり拉致する輩は放置できないからね。」

 

 そう言っていろはと別れ、いろはのお家の黒服さんに送って貰って無事帰宅。

 早く電話しないと・・・!

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 達也達と別れた後、水波に折り返し連絡して聞いた内容に俺は驚愕を隠せなかった。

 

『八幡兄様のみにお話したかった理由がこれになります。』

 

「分かってる。これをフォロー抜きに達也に伝えたら間違いなくキレる。

 ブランシュが消し飛びかねない。良い判断だ。」

 

『明らかに狙いは私だったよ、お兄ちゃん。

 流石に名指しで狙われる理由は思い当たらなかったし、伝えなきゃって思って。』

 

 小町が狙われた事実は間違いなく達也にとっては逆鱗だ。あいつは俺達家族(司波、比企谷両兄妹)に対する敵意に対しては容赦がない。向けるどころか実行したとなれば達也内での扱いが”敵から殲滅対象”に切り替わる。入学早々達也のガチキレは勘弁願いたい。

 

「分かった。とりあえず二人は家で待機。大丈夫だと思うが家のセキュリティーレベルを上げておいてくれ。」

 

 

 

 電話を切った俺はブランシュの目的を再検証していた。

 第一高校に在学している俺達が標的となって狙われているのは今の状況からしてもある種正常。

 また、かなり曲解ではあるが総武中等学校を狙うなら分からなくはない。

 同様に総務中学生として狙われた場合も納得できなくはない。

 

 だが、小町を名指しで狙うとなると話は変わってくる。

 小町個人を狙う事でブランシュが得られる利益はなんだ?

 四葉の件が漏れているとは考えにくい事から小町本人に価値を求めたとは考えにくい。小町の身柄を押さえる事で、人質として機能する相手は誰だ?

 

 考えるまでもない。俺達(四葉)だ。

 

 だが、先も言ったとおり四葉の件が漏れているとは考えにくい。

 なんだ、なにを見落としている・・・?

 ブランシュが小町を狙ってまで狙いたい相手は誰だ?関係者だけで考えれば筆頭は俺だ。だが、俺個人にあいつらには狙われる理由もないし何より得がない。同様に達也も立場は変わらないはずだ。

 なのに拭えないこの違和感はなんだ・・・?

 この状況に何となく既視感がある。目的が分からないのに標的にされる感じ・・・そうだ、新入生勧誘週間だ。

 俺と達也は何かとエガリテに攻撃された。建設的な目的が不明な攻撃の標的にされたあの時と、今の俺達への謎の個人攻撃は構図がとても似ている。

 あいつらは俺達に何がしたいんだ?

 ・・・いや、違う。そうじゃない。

 

 あいつらは俺達の何が欲しいんだ・・・?

 

 まだ、確信を得るに少し足りないが後一つピースが埋まれば見えてきそうな気がする。

 

「せんぱーい!」

 

 だが、どうやら時間切れのようだ。

 一色が持ってきてくれた情報が最後のピースになってくれりゃ良いんだが。

 




 と言うわけでブランシュ襲撃直前編でした。(いや、直前ってなんだよ。

 いやー思いついたもの全部ぶっ込むと何故かブランシュ襲撃が遠いこと遠いこと・・・。(白目

 いつもより1000文字くらい多くてなおたどり着けないのどうなのよ、とは思いましたが楽しんでいただければ幸いです。

 みんなもっと感想でツッコミ入れてくれてええんやで・・・。質問でも、ええんやで・・・。

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