ですが、この時私は忍び寄る悪魔の到来に気がついていなかったのです。
そもそも、この悪魔の到来は予想が出来ました。ですが私はそれをすっかり忘れ、忙しい中でも時間を見つけては執筆したりポンプショットガン撃ったり、執筆のネタ考えたり建築したり(いえーい!ドン勝したぜーい!)などと平和的なのか殺伐としてるのか分からないのほほんな生活を送るタコ作者の元にそいつは忍び寄り、そして囁いたのです。。
キ マ ツ テ ス ト ノ ジ カ ン ダ ヨ !
・・・・・・・・・・・・oh.
と言うわけで答案用紙と格闘しておりました。読多裏闇です。
相変わらず書き溜めという言葉を覚えられない雑魚がやらかしておりますが、そろそろ入学編も大詰め。
楽しんでいただければと思います。
~司一side~
何なんだ、何なんだ、何なんだ!!
俺の計画の邪魔ばかりしやがって!!
司波達也に邪眼(イビルアイ)を無効化され、アンティナイトが無いと勝てないと判断し、別の部屋に待機させている別働隊の部屋まで走っていた。そもそもの話、司波達也のキャストジャミングはCADを複数用いることで行う技術だった筈だ。それが「起動式を一部消すだと?」そんな無茶苦茶聞いたことがない。
そもそも、どこから狂った!?一部を除いて計画通りだったじゃないか!
そう、コストと時間は掛かりつつも、第一高校への侵食は二科生を中心に多くの2,3年生の中に浸透し、今では割合で計算出来るレベルまで広がっていた。そのほとんどは都合がいいから同調しているだけの人間だが、この数は脅威ではある筈だ。その内部の分裂の隙を突けば、と思ったがここでも司波達也の介入があったらしい。有利に立ち回るべく従兄妹の娘を使おうとしたが小娘一人連れて帰れないとは・・・。挙げ句の果てに一色家が動き出したと聞いたときには激しい頭痛にみまわれた。
どいつもこいつも使い物にならん!だが、アンティナイトがあれば司波達也もただの高校生の餓鬼でしかない。
そもそも、これほどの不祥事を何の手土産も無しに帰れば自分の立場がどうなるかは目に見えている。せめてもの挽回として、司波達也の技術くらいは持ち帰らなければならないのだ。
アンティナイトで司波達也を無力化し、本格的に十師族が介入してくる前に離脱。これで私の勝ちだ!!
「へ・・・?は・・・!?」
別働隊を待機させていた部屋にいたのは、物珍しげにアンティナイトの腕輪を眺める比企谷八幡だった。
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人は勝利を確信したときが一番油断している。
典型的な慢心を表す表現だが、残念ながらこの手の慢心は現実ではさして結果に影響を及ばさない。
強者と弱者という明確な格差が存在する状況ではそもそも隙が出来ることも少なく、その隙をついたところで大勢は決している場合がほとんどであるからだ。
この手の慢心を突けるのは、突けるだけの実力と、突いて勝てる能力と、慢心している事実を読み取れる観察力が必須なのだが、そんなもの持ってる人間はそうはいない。それに加えてその慢心を突けば崩れるだけの隙で、その隙を致命的になりうる一撃に昇華出来なければ、ただの悪足掻きにもなりはしない。
ましてや、そうしなければ勝てない状況になってなお慢心をチャンスに引き込めるなんて状況、起こることが奇跡であり、それが実際にチャンスとして機能する状況など物語における空想でしか起こりえるものではない。
勝っている人間は舐めプでもしない限り敗者に反撃など許さないし、負けている人間に足掻く選択肢など残しておくほど暇な強者はその地位を維持できない。
それほどまでに強者を崩す事は難しいのだ。
その・・・筈なのだ。
「何故こんなところに居る!?」
いきなりの登場に驚く気持ちは分かるが・・・いや、分からんわ。だってここまでの行程が簡単すぎて正直引いてるもん。
まぁ俺が言うのもなんだが、ここのセキュリティちょっと甘すぎやしませんかね?
ここの部屋制圧するのも、魔法で気配を察知されないようにしていたとはいえ後方待機だからって明らかに気を抜きすぎ。奇襲とかまるで警戒してないから雑に数人沈めただけで部隊は大混乱。攪乱するだけで同士討ち始まりそうな勢いだった辺り、攻め込まれてる自覚皆無なん?
反魔法国際政治団体って名を関したテロリストである以上、魔法師相手に喧嘩するのがお仕事だろうに・・・。武力(魔法)で優れる魔法師を武力(テロ行為)で制圧する部隊にしては準備も戦略も浅過ぎる。相手の土俵で喧嘩する以上、策のない弱者などただの的だ。
ついでに言うならばこの問題については第一高校所属のエガリテのみなさんも同類と言わざるを得ない。結果的に七草会長が"差別撤廃を推進したい派"の人間だったから良かったものの、そうでなければ差別は悪化。どころか、七草会長が不快感を示せば大きな味方を失う結果になってもおかしくない、というか普通の神経ならキレている程の暴論を投げかけていた。いやーストレス耐性ハンパねえわ、流石はあの七草の狸の娘だn。・・・・・・今背筋に寒気が走ったな?(震え声)
要するにこの事件を総括してみると、なんでこう基本的には逆立ちしたって勝てない相手に真っ向勝負ふっかけてんの?馬鹿なの死ぬの?
・・・・・・いや、いろんな意味で死んでるけどさ?
「後方部隊が全滅したのかっ!?
ここにも二個小隊は待機していたはずだぞ!!」
「いや、魔法使えるんだから建物の経路通りに入ってわざわざ罠にかかってやる必要なくね?
それぐらい予想しとけよ。仮にも反魔法国際政治団体なんじゃねえのかよ?」
あーあー、怒りのキャパシティーオーバーって感じだな。なんか喚いてるけどキレ過ぎて言葉になってねえ。
まぁ、とは言っても時間切れだが。
「しかし、すげえ量のアンティナイトだな。
なぁ、達也。これ、何処産だと思う?」
「おそらくチベット産だろう。雇い主(パトロン)はウクライナ・ベラルーシ再分離独立派で、そのスポンサーは大亜連合辺りじゃないか?」
「その辺りだよなー。こんな雑魚にこれだけ配れるほど保有してるとなると相当溜め込んでそうだな。」
「近年活発に動いてるからな。
まぁ、そういった大きな事より今は目の前のゴミ掃除が先だ。」
唐突に後ろから聞こえた声のあまりに呑気な会話に冷や水を浴びせられたかの如く冷静さを取り戻し、現在の状況のヤバさと先程の恐怖が甦ったのだろう。青ざめた司一は裏口へと続くドアに向かって這いずる。だが、残念ながらそっちも通行止めだ。
「ひぃっ!?」
壁から刃が生えた。
「よぉ。コイツらやったのは、お前か?」
その後生えた刃は裏口行きのドアを容赦なく切り刻み、姿を見せたのは桐原先輩。おそらく、裏口からの別働隊だとして、ここまで文字通り敵を切り払って来たのだろう。
「いえ、こいつらは八幡が。俺はそいつをここに追い込んだだけですよ。」
桐原先輩は俺を一瞥して、
「へぇ、やるじゃねえか。
・・・んで、こいつは?」
「それが、ブランシュ日本支部のリーダー、司一です。」
「こいつか!壬生をたぶらかしやがったのは!!」
その後の桐原先輩の鬼気は凄まじく、この事件の幕引きに相応しい鋭い一振りでブランシュ日本支部とのいざこざに終止符を打った。ついでに司一の五体満足な生活にも終止符が打たれたようだが。
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~達也side~
その後の流れはとてもスムーズに運んだ。十文字会頭が手を回し事件は内々に処理され、その他誘拐未遂も一色家が後処理してくれたらしい。司一は十文字家がお持ち帰り。後ほど警察へと引き渡される事だろう。
壬生先輩の方も深雪の報告で明確になった司一の自白内容が決め手となり、精神汚染に対処するため入院が決定。本当なら八幡や小町が見れば精神汚染の治療は一発なんだが、自分の手の内を無闇に明かして不必要に勘ぐられるリスクを作る必要は無いし、流石にそこまでやる義理もない。
事後処理も終わり特に懸念材料もとりあえずは無いと言って良いだろう。
八幡以外は。
「八幡さん、何故あのようなことを?
いえ、理由は分かるのです。壬生先輩を助けようとしたのは。その優しい所は八幡さんの良いところで私も大変尊敬しております。ですが、八幡さんが泥を被る必要は一切ありませんでしたよね?」
「え、あ・・・はい。」
現在地は比企谷邸リビング。時刻はそろそろ19時を回る頃か。
現在リビングの中央、ソファーの”前”に対面で正座して話し合い(説教?)しているのは八幡と深雪だ。ソファーがあるのだから座ればいいのだが、深雪の不機嫌オーラ全開の「八幡さん、お話があります。」に劣勢を悟った八幡は、自ら土下座待ったなしのポジションを確保し正座で縮こまった。
深雪も当然のように対面に正座(基本的に八幡を上に考えている為、八幡にだけを正座させて話をするなんて思考は深雪には以ての外である。)し、本日の不平不満を容赦なく追求。こうなってしまった深雪が基本的に止まらないのをよく把握している八幡は反論も禄にせず相槌を繰り返している。
「聞いているのですか、八幡さん!?」
「きいてます。
・・・いや、だがあれが一番効率が良かったから・・・な?」
「効率の問題じゃないんだよ?ごみいちゃん。
女の人のために頑張ったのは小町的にはポイント高いけど、やり方がほんとごみいちゃんなんだから・・・。
でも、深雪お姉ちゃんもお兄ちゃんのやり方にダメって”言わない”ならこれ以上は言い過ぎだよ?」
目線で小町に救援を求めてる八幡に溜め息を吐きながらフォローする。
小町の事のあらましを聞いての感想は「相変わらずだなぁ・・・。」である。そもそもこういった自分自身をリソース換算し効率重視で物事を進める八幡の悪癖は今に始まったことではない。それこそ生まれたときから見てきた小町にとってはいつも通りの兄なのだ。
それ故なのか"八幡の味方"という所属こそ同じでもそのスタンスに若干の差が出ている。
とりあえず、この場合は深雪的には納得がいかず、小町としては許容範囲内のようだ。
「まぁ、深雪ちゃん。それくらいにしてあげて。
八幡の馬鹿は今に始まった事じゃないんだから。」
「沙夜さん・・・。」
そう言ってキッチンから料理を運びながら沙夜叔母さんが深雪にブレーキをかける。
比企谷沙夜。旧姓四葉沙夜は名前の通り八幡と小町の母親にして四葉家当主の3姉妹、三つ子の一人である。ざっくりと言えば四葉家当主の四葉真夜の姉だ。今は四葉家関係の仕事から、対外向けの調整などで日本各地を飛び回ってると聞いている。長ければ一月近く家を空けことも珍しくない。
そんな沙夜さんだが、俺達が叔母上への報告も兼ねて一度集まろうと比企谷邸に八幡と共に帰ったところ水波と共に夕御飯を作っていた。久し振りの再会を皆で喜んだものの、夕御飯の支度でキッチンへと引っ込んだ後は八幡の公開処刑が始まってしまったため今の今まで放置気味になっていた。
「とりあえず夕御飯にしましょう。
今日の報告も聞きたいし。」
「沙夜様、お料理は私が運びますのでお席でお待ち下さい!」
「あら、たまには母親らしいことさせて頂戴な。
それと、私のことはお母さんで良いって言ったでしょう?」
「いえ、その様な・・・。
で、ではなく沙夜様ー!」
入学編最終話を書いてたら前後編になった件について。(何故まとめきれてないかは次話を見ていただければ伝わります。
後編はわりと仕上がっているので早めに投稿できるかと思われます。(作者のついつい入れてしまうコテコテ設定が内容を増やしてしまったのが原因なのでなんとかします。
さて、入学編が終わるにあたって章分けしようかと思ったのですがやり方が分からなくてテンパってる雑魚作者が居るらしいです。(私のことです。
教えて下さる親切な方、募集してます。