やはり俺の相棒が劣等生なのはまちがっている。   作:読多裏闇

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なんとかかんとかコンスタントに書けています。(書けているとは言ってない)

結構コメントいただけてて驚いている作者です。(ありがたやありがたや)

さて今回ですがアンチ・ヘイトがマシマシです少々やりすぎかもしれませんがなにとぞご容赦を。


入学編4

 ジョセフ・マーフィー曰く、

 

「人は静寂な時間を持ち、外界からの刺激を遮断することによって、問題解決の答えに導かれる。」

 

と言う。

 静寂とはそれほどまでに重要で、ボッチにとっても静寂する部屋では端っこで認知されないようにする俺にとっては一切の介入が無い完成された世界であり自分だけの世界、ある種の孤独も場合によっては必要なのだろうと思う。

 実際のところうるさくても生産性が生まれるというわけではない。教室で毎日うぇーいうぇーい連呼したところで何か得られるわけでもそもそもそのうぇーいと言う言葉にすら意味があるのか謎であると言わざるを得ないだろう。いやほんと戸部は何考えてうぇーい言ってんだろうか?

 

 ボッチにとって静寂とは隣人であり、今後生きていく上でのある種のパートナーなのだろう。

 実際俺は静寂は好きだ。

 何もない世界。空白の世界。自分だけの世界で思考する時間は場合によっては何事にも代え難い何かを感じることが出来る場合があるからだ。

 

 だが、時としてその静寂が牙をむくときがあるのを忘れてはいけないだろう。例えば静まり返った教室に入ったときの一斉にこっちを見てきたときの静寂。あれは死ぬ。ボッチの耐久度なめんなよ?死ぬんだよ。

 ・・・・・・さてそろそろ現実逃避をやめようか。いや、まだしてたいんだがな?達也がお前の仕事だとこっちを見てくるんだよ。え、俺が原因なの違ったら今日の枕が犠牲になるんだからな!

 さてまずは状況を理解しよう。ここに居るのは俺を含めて5人。俺と小町に、司波兄妹こと達也と深雪。そしてうちのメイドさん兼小町のガーディアンである水波である。

 

 ガーディアンと言うのはいわばボディーガードであり、要人警護のプロだ。昔は俺についていたんだがそのあたりは割愛しよう。

 水波はプロ意識が高く、小町の背後に控えているがうちでは水波は家族同然と扱われている為いつもだったら小町が輪に入るように促すのに今日に関してはそれはない。どうやらそれすら忘れる程に小町の機嫌は悪いらしい。

 他は全員リビングのテーブルに腰かけている状態であり、このまま料理が運ばれれば食事がいつでも行える状況だ。と言うかそろそろ夕食の時間のはずなんだが・・・。

 

 で、現在の私はですね、比企谷八幡は現在リビングにてテーブルを囲みつつ居住まいを正し座っているわけですが・・・・・・。え?口調が気持ち悪い?こっちはそんなこと気にしてる場合じゃないんだよ。

 なんせあんなにロングな思考ができるほど場が静かでな。俺の記憶が正しかったらこの後の予定は小町主催、入学お祝い会なる企画だったはずなんだがな・・・。

 

「えっと小町さん?静寂のままそろそろ5分が立ちそうなのですが・・・?」

 

 え、まだ5分しかたってないのん!?自分で言っててビビったわ。この感じだといつものパターンなら俺が何かやらかしてるパターンが多いんだが。・・・・・・いやそんなパターンが多いのは誠に遺憾なんだがな。

 俺の声を聴いて話を前に進める気になったのか不機嫌オーラ冷めやまぬ我が妹様は閉じていた目を開いた。

 

「深雪お姉ちゃん。さっきの話は本当なんだよね?」

 

「ええ。私がこんな不快極まりない冗談、言うわけないじゃない?」

 

 と、こちらの妹様も相当に不機嫌のご様子。達也も無表情は変わらないのに不快感が消えていない。と言うか感情がほぼ“兄弟愛”しか持たない分こういう部分では相当敏感だからなぁ・・・。

 

「じゃあお兄ちゃんちょっと聞きたいんだけど、小町的に超々ポイント低いことがあったって聞いたんだけど出来れば詳しく聞きたいな?」

 

「は!?何で知って・・・・・・あ。」

 

 やばい、カマかけられた・・・。

 

「八幡様、やはりあの不敬な者たちがまたもちょっかいを?」

 

 水波さん?ちょっと目が怖いですわよ?

 と言うかどこから漏れたんだ?あの現場には関係者は誰もいなかったと思うのだが・・・。

 

「いやちょっとアレがコレでな・・・?

と言うかマジでそんな話出てきたんだ?」

 

と、目で達也に説明要求をする。

 

「それは私から説明します。」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 生徒会長と別れた後もともと帰る予定であった達也、深雪の両名はエリカ、美月とカフェでお茶をする話になった。

 この後、比企谷家にて入学お祝い会なるイベントに呼ばれているが、言ってしまえばちょっとした夕食会であるため、遅くなりすぎない範囲でなら問題は無いだろう。

 入学式直後のコミュニティを広げる会話ではあったがエリカの気さくさも相成ってなかなかいい雰囲気だった。

 

 招かれざる乱入者が現れるまでは。

 

「お久しぶりですね。司波深雪さん。」

 

 おそらく待ち伏せだろう。柔和な仮面を張り付け、気さくに話しかけてきたがどうにも胡散臭さがぬぐい切れていない

 

「葉山隼人か。ここに入学していたのか。」

 

「司波さん。そちらの方々は?」

 

 その達也の存在を完全にスルーした態度に深雪の雰囲気が変わる。

 

「葉山さんでしたか?何か御用でしょうか?」

 

「いえいえ、同じ学校に同級生として入学したので一応ご挨拶を、と思いまして。

 どうでしょう。この後お食事なd」

 

「そうですか。ありがとうございます。それではこの後予定がございますので、失礼いたします。」

 

 恐らく先ほどの意趣返しだろう。深雪は会話をぶった切って一方的に言葉を返した。

 エリカたちも深雪の態度から葉山が招かれざる客だと察したのだろう。深雪に続こうとする。

 

「そう急がなくてもよろしいではありませんか。

 先ほど結衣から電話がありましてね?またあの愚か者が分をわきまえずちょっかいをかけてきたと苦情を貰いましてね。」

 

「八幡さんに・・・・・・っ」

 

 深雪が食って掛かるのは相手の思うつぼなのは弁えているとは言え並々ならぬ凄味で葉山を睨む。

 

「親類の方にこのような事を申すのは気が引けますが、身の程を知るように伝えてやって欲しいのですよ。元同級生としては見苦しい限りでしてね?」

 

「お引き取り願おうか。葉山隼人。」

 

 そろそろ我慢の限界であろう深雪に代わり達也が矢面に立った。

 

「司波達也。暗に君とは話していないと伝えたつもりだったんだけど。伝わらなかったかな?」

 

「お前こそ伝わらなかったか?“八幡の入試成績が次席である”と言う事実のやっかみを深雪にぶつけるのはやめろと言っている。」

 

 余裕を保っていた葉山の顔つきが変わる。この程度で剥がれるとは程度が知れるというものだろう。

 

「一色家の力を使うにもいい加減にしろと言っているんだよ。あいつが次席なんてありえない。」

 

「穏やかじゃないな。一色家が入試の不正を働いたというのか?“事実だとしたら”大ごとだ。それは葉山家として調査した結果なのか?」

 

 その一言に葉山の顔色が変わる。そして注目され始めていると悟ったのだろう達也を睨み去っていった。

 

「二人とも。巻き込んですまなかった。この後のお茶はお詫びにおごらせて貰うから」

 

「なんなのよあいつは。見るからに胡散臭いし、さも「自分はエリートです~」な態度が鼻につくし!」

 

 エリカも介入こそしなかったものの見ていて気分のいいものではなかったらしい。美月も悪口は言いたくないのだろうが、それでも否定できないという心情のようで労りの目を深雪に向けていた。

 

「本当に巻き込んでごめんなさいね?入学式でまでふっかけてくる度し難い阿呆だとは予想できなくて。」

 

「詳しくは聞かない方が良い?」

 

 エリカが込み入った話なのだろうと察して尋ねてくる。

 

「悪いが本人に話を聞いてみない事にはわからない点もあるし詳しい説明は後日にさせてくれ。」

 

「なんというか災難、でしたね?」

 

 と美月が苦笑いしつつ話を流しエリカがチェックしておいたというお店に足を運んだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

・・・・・・と言うことがありました。」

 

 あいつはとことん面倒事しか生成しないな・・・。

 しかしなるほどそう言う経緯か。

 

「あの人ほんと屑いよね。小町的にポイント低すぎて殺意がわいてくるよ?」

 

「小町ちゃん?物騒よ?どこでそんな言葉覚えたの?」

 

 ギンッっと音が聞こえそうな目で小町に睨まれた。ダメ、それ人殺せる目線だから・・・。

 

「で、お兄ちゃんは?」

 

 これは話さないと殺されるな。しゃーないまぁ葉山の件程じゃないしな・・・。

 

「えっとな・・・・・・」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「小町様。今夜中には終わらせられるかと。ご許可をお願いします。」

 

「亜夜ちゃん達も呼んだほうが良いよね?私たちだけだとボロ出した時の始末がちょっと面倒だろうし・・・」

 

 案の定物騒な流れになってきたぞ?

 

「亜夜子達も出すとなると“実家”案件になるな。叔母殿に話を通さないといけないぞ?」

 

「真夜叔母さんならたぶん許可出すんじゃないかな?たぶん骨も残んないと思うよ?雪ノ下家と葉山家はこれでお取りつぶしだね。日本の魔法社会にも貢献出来るんじゃないかな?」

 

 

「だーーーーーー!ちょっとまてーーー!!!!!」

 

 

 お前らアグレッシブ過ぎんだろ!?まぁ、こうなる予感がしたから言いたくなかったんだが。

 因みに亜夜ちゃんこと亜夜子とは黒羽 亜夜子と言う俺たちの再従妹だ。ちなみに双子で弟は文弥という。

 うちの実家である“四葉家”で諜報なんかを扱っているマジ物のプロであり二人セットで任務をこなしてるらしい。

 四葉家と言えば日本の魔法関係者なら関わることをやめた方がよいと言われるほどある種の危険視をされた家で、アンタッチャブルなんて呼ばれているらしい。中二病臭ぇな。

 まぁ、危なっかしくて名乗れないからうちではトップシークレットになってる程度にはやばい家での諜報員とくれば、やばさも伝わるだろう。知ってるか?あれで俺より年下なんだぜ?

 

「お前ら戦争でも始める気か!葉山はバックに恐らく三浦がついてる。雪ノ下家はあの感じだと俺らが“八幡”だと気が付いている。四葉の話の隠蔽の餌にこっちの情報が掴めるようになってる以上まぁ当たり前だがな。」

 

 雪ノ下家と八幡家の因縁はこの際どうでもいいが。

 

「問題は雪ノ下家は一色家と敵対していてあの一色家が介入する気満々だって事実だ。

 この段階で場合によっては三浦と一色での戦争に発展しかねない。師補十八家同士の戦争に場合によっては実家が介入するんだぞ?

この紛争に他の十師族が静観してると思うか?」

 

 そうなれば泥沼化は避けられずどう安く見ても相当数の血が流れる。

 

「と言うか、それくらいわかるだろ達也。止めるの手伝ってくれませんかね・・・?」

 

「理性的な部分では確かにその通りだが深雪や小町、水波の言い分も十二分に分かるからな。正直、あの葉山は手が滑って雲散霧消(ミスト・ディスパージョン)してしまいそうになるくらいには見るに堪えなかったからな。」

 

 シャレになってねぇ・・・・・・。手が滑って人を殺すな。

 

「冗談じゃない。そういう人殺しは俺が殺してでも止めると前にも言ったはずだ。」

 

「分かっている。だからこそ、お前ひとりで抱え込むんじゃない。これは十二分に“俺たち”で話し合うべき概要だ。それは前にも言っただろう?」

 

 しばしの静寂。だが、それは先ほどの静寂とは違う寒々しいものじゃなかった。

 

「だーーー!俺が悪かったよ!!さて、そろそろ生産性のある話にしようぜ。明日説明するんだろ?えっとその千葉と柴田だったか?」

 

「そうだな。となるとその北山、と言う子と光井と言う子も呼んだ方が良いだろうな。」

 

 確かに巻き込んでしまってるしそうするべきか。まぁ、同じクラスだし何とかなるか・・・。

 

「後の話は飯を食いながらだな。水波の絶品晩御飯をこれ以上冷ますわけにはいかん。」

 

「八幡様、お世辞が過ぎます!直ぐに温めなおしますので、座ってお待ちください。」

 

 少し慌て気味だが綺麗なお辞儀で駆けていく水波。

 

「私も手伝うよ~。あ、水波ちゃん今日は無礼講だから遠慮は禁止だからね?と言うかもう永久に無礼講でもいいんじゃないかな?」

 

「その様な訳にはまいりません!と言うか座ってお待ちください小町ちゃん!?」

 

 さて、やっと夕食にありつける。

 




雪ノ下周りの説明は次回の皆さんへの説明と共に。(例のゴタゴタが長引かなければ、ですが。)

とりあえずは納得できる形に落とせると思うので過去に起こった事件を理詰めで捉えていっていただければたぶん伝わると思うんだけど・・・(きっと・・・めいびぃ・・・)

次回もよろしくお願いします。

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