やはり俺の相棒が劣等生なのはまちがっている。   作:読多裏闇

40 / 58
 ハーメルンでの投稿を始めて1年が経ちました。私はまだ生きております。読多裏闇です。

 昨日でジャスト1周年を迎え、投稿しなければ・・・と思って遅刻する程度の能力。やはりタコなのは相変わらず。

 少しあきましたのは、今回の内容を読んでいただけたら分かるかと思うのですが、内容が入りきらない問題が発生したためです。
 ですので、なんか尻切れトンボっぽい感じになってますが、お察し頂ければ幸いです。


九校戦編12

 

 

 パーティー。

 この言葉は社会の物差しである。

 例えば、だ。クラスメイトの一人が『今日、うちでクリスマスパーティーやるから参加したい人居ない?』と言ったとしよう。これならばおそらく社交的な人間だな、程度の印象を持たれるだけだろう。だが、これが『今日、うちパーティーなんだけど、来ない?』だとどうだろうか。

 なんか、”ちょっとうちはパーティー馴れてます”感というか、”わざわざクリスマスとかハロウィンとか理由付けなくてもパーティーとかちょくちょくやってますよ”的雰囲気が出てしまう。

 そして、こうした微妙な価値観の差がレッテルや疎外感を生み、結果として"あの人はそういうお家の子だから”といった遠慮という名の迫害を生むのだ。

  にも関わらず、そういった多数派正義の名の下に少数を虐げる人間は掌を回すのも得意だ。

 今まで迫害した側の人間であっても、逆に社交界的なパーティーなどに出る様な事態となれば手のひらを華麗に返してその迫害した人間を頼り始める。環境的なアウェーをどうにかするべく、自分から弾いた存在をさも自分の輪の中にいる人間かのように接し始め、この場において自分が不相応であるという現実から目を逸らす為に利用する。

 客観的に見ればどちらの方が大人の対応が出来てるかなど一目瞭然だが、割を食ってるのは得てして爪弾きにされた方という典型だ。

 この様にただの”パーティー”という言葉一つだけでも、格差という社会の縮図が浮き彫りになるのだ、これが実際のパーティー会場ならばどれほどのものになるか、俺は想像するだけでも恐ろしい。

 パーティー馴れした者は自分のフィールドだし、そうでないものは恥を忍んで強者の傘に収まるのも生き残る選択としてはありだろう。

 だが、この傘に入れるものもそういった強者にコネクションを持つカースト?上位に居る強者の特権であり、弱者にその術はない。

 この教訓から学ぶべきは、この様な催しは強者やカーストトップ集団の為にある物であり、弱者は近づくだけで火傷しかねない危険な場所であるという事だ。

 君子は危うきに近寄らないし、触らぬ神に祟りはない。

 先人の残したありがたいお言葉から我々は学ばねばならないのだ。

 故に弱者代表かつ、ボッチストでもある俺は同じ愚を犯してはならない。そう、絶対にだ。

 だからこそ・・・!!

 

「俺は部屋に・・・。」

 

「戻れません。諦めてください。」

 

 先人の教えは生かされなかったらしい。こうやって歴史は繰り返すのか・・・。

 

 九校戦の懇親会が始まり、各校の九校戦出場選手が続々と会場入りをする中でには当然のごとく一校生も居る。一校は前年、前々年の優勝校でもあり注目度はもっとも高い。リサーチや値踏みも多く、入った瞬間には会場の視線を全てかっさらったと言って良いだろう。

 中でも注目を集めているのは、十師族でもある七草会長を筆頭とした3年のエース達に加えてその容姿で男共の視線を独占している深雪だ。

 容姿淡麗、物腰も柔らかく、仕草は気品に満ちている。文句のつけようがない美少女が、同じくイケメンである達也の世話を焼いている。嫉妬の視線こそ達也に注がれるもののどちらかと言えば納得の光景故に羨望の視線の方が強い。

 因みにだが、俺はそのような視線から逃れるべく、端っこの目立たないベストポジションを獲得し時間つぶしを敢行したが、世話焼きの鬼である深雪はそれを許さない。落ち着いた頃に颯爽と世話を焼きに現れ、達也も俺のポジションに参加して端っこで深雪の世話焼き空間が完成した。更には専属ウェイトレスならぬ給仕員として何故かここでバイトしていたエリカが現れて世話焼きアイテムを供給し始めたため退路が完全に消失。

 結果として、美男美女と美人ウェイトレス(エリカは十二分に美少女として認識されている)+ぼっちによる顔面偏差値高過ぎ空間が生成されるに至った。・・・俺という不必要なおまけも付随しているのだが。

 お陰で目立つわ、見られるわ、"おめえ場違いだろ”ヘイトを全部俺がかっさらうわ。

 ・・・・・・八幡もうおうち帰りたい。帰れないけど。

 そんなこんなで俺は、”俺は貝だ。人知れず何も考えぬ貝なのだ。”などと視線を無視するべく悟りの境地に入らんとしていた。

 

「ヒキオ。」

 

 だが、注目度は収まるどころか増すばかり。一校生は深雪と話したいが達也とは間が持たないので近寄れず、他校の人間も深雪には流石に気後れするのだろう。

 

「ちょっと、ヒキオ。」

 

 結果として高嶺の花の様に遠巻きに眺めている構図が固定化され、むしろ注目度は増し増しである。更に、それは場違い故に目立ってしまってもいる俺も目立つと言うことになる訳だが・・・てかなんかさっきから目線が多くなってる気がする・・・。

 

「あの、八幡さん?呼ばれているのでは?」

 

「は?」

 

 マジかよ。俺だったのかよ。

 なんかさっきから目線に殺気混じってるなって思ってたんだよな・・・。

 

「いや、呼ばれてんの俺じゃないと思ったわ。

 ・・・ん?お前、あーしさんか?」

 

「・・・無視とか何様だし。

 てか、ヒキオとかあんたしか居ないでしょ。」

 

 居るかもしれないじゃんヒキオさん。

 なんて考えてたら靴を蹴られた。地味に痛かったです。

 ・・・というかなんであーしさんがここ居るんだ?

 

「確か、三浦優美子さん・・・ですよね?」

 

「そっちは司波さんだよね。話したこと無かったけど、去年の文化祭来てたっしょ?」

 

 それ、実質初対面じゃね?コミュ力高過ぎかよ・・・。

 

「貴方が比企谷八幡さんですね?」

 

「ひゃい!?・・・・・・えっと、どちら様です・・・?」

 

 三浦の隣に居た女子に話しかけられた。てか近い近い近い!!下から上目遣いでのぞき込むな!!

 

「一応、同じ学校に所属していた時期もあるのだけど、貴方にとってはほぼ初対面でしょうね。私は一方的ではあるものの知ってはいるのですけどね。」

 

 ・・・分からん。小学校だったら覚えてねえし、中学だとしても総武中学校はマンモス校だ。雪ノ下じゃあるまいし全員なんて覚えてられない。

 まぁ、ボッチだから覚える機会もねえけどな。あれ、なんか目から汁が・・・。

 

「私は一色愛梨。いろはの姉って言った方が伝わるかしら?」

 

 いろはの姉ちゃんかよ。雰囲気違い過ぎねえか?

 

「なるほどね。普段はおどおどした感じというのはコレね。」

 

「・・・あいつ、姉ちゃんにまで何チクってんだよ。」

 

 さっきの上目遣いわざとかよ。・・・間違いねえ、一色の姉ちゃんだわ。

 

「でさ、ちょっとヒキオ借りたいんだけど?」

 

「ヒキオ・・・というのは八幡さんの事ですか?

 でしたらはい、構わないですよ。」

 

 会話の切れ目を見計らって深雪に話を付けるあーしさん。

 え、俺の意志は・・・無視ですね、分かります。

 てか、三浦と一色の組み合わせ・・・なんか違和感あるな。

 

 

 

 顔面偏差値高過ぎによる高視聴率空間から脱した後、どの様な環境に置かれるか知っているか?

 ・・・高視聴率空間が待ってるんだ。

 それもそのはず、顔面偏差値が高い空間に容赦なく踏み込めるのはそれ相応の偏差値を持つ猛者、それも他校の生徒と来れば異質さはかえって増しているまである。

 結論として高視聴率なのは変わらないのに状況の異質さからかえって目立つ空間におかれる運びとなったのだ。

 てーか、一校は敵と話してるから視線が痛くなるのは分からんでもないが、赤い服の連中が一部殺気投げてくるのはなんでだ?

 あ、そういやあーしさんと同じ学校だったわ。

 ・・・俺、今日生きて帰れっかな。

 

「てか三浦、三校行ってたんだな。

てっきり葉山追っかけてくるのかと思った。」

 

「あーしもそうしようか考えてたんだけど、流石にパパに止められたんだよね。

 まぁ、家の事もあるし、魔法科高校には行くの確定だったから、実家に近いとこにしたわけ。」

 

 まぁ、娘が男追っかけて進学決めようとするのは父親の心証穏やかとはいかんだろうな。それに、現在進行形で世間評判がヤバい家の奴だし。

 

「で、一色さん?はなんの用ですかね?一色の関係で苦情っすか?」

 

「あら、いろはの貴方に対する印象は高評価よ?父も気に入っているみたいだし、見たところ私としても今のところ悪印象は無いわね。」

 

 初対面でガッツリ値踏みされてやがる・・・。てか、一色家って俺を過大評価するのが流行ってるのか?

 

「会って早々そんな事分かんのかよ。それに、良い印象持たれるようなことをした記憶ねえぞ?」

 

「確かに、終始脅えているというか腰が引けている感じがあるけれど、ほぼ初対面の女性と会話しているこの状況ならある意味正しい反応でしょう。貴方から見れば私は素性こそ分かっているものの、警戒するに値する存在でしょうから。変に馴れ馴れしい方より何倍も好感が持てるわね。」

 

 ポジティブシンキング過ぎねえか?

 

「はぁ、それはまぁいいんだが・・・。

 文句じゃないなら何の用があって来たんだ?」

 

「挨拶に。

 いろはがお世話になってるのだから、挨拶くらいはしておくのが筋でしょう?」

 

「あーしはその顔合わせお願いされた感じ。

 それに、あーしも話もあるから。」

 

 話、ね。まぁ三浦の話は内容がある程度想像つく。話しかけてくるのも分からなくはない。

 問題は一色さんか。妹が世話になっている程度でここまで目立つアクション取る理由が分からん。

 

「俺はなんもしてないぞ?

 むしろ、小町達がそっちの家じゃ世話になってるくらいだ。」

 

「それはいろはのお友達に対しての当然の対応です。

 最近話をするとよく話題に出てきてますから、仲良くしてもらっているのでしょう。

 特に水波さんと・・・貴方の話題が多いですね。」

 

 なんで俺なんだよ。どんな黒歴史暴露されてるか分かったもんじゃねえ・・・。

 だが、殺気から・・・いや、さっきから感じる赤い服を着た奴らからの殺気に気がついてない訳ではないだろう。というか俺が現在進行形で針のむしろだからマジ怖い。

 その中でわざわざ波風立てながら俺に話しかけるほど空気が読めないわけではないと思うんだが・・・。

 

「深く考えてるわね。

 ・・・本当にいろはが言っていた通り。本来疑問に思わない様な部分まで考察して与えられてない情報をさも最初から知っていたかのように導きだす。特に、相手の真意を読み解く事にかけては天才だと聞いています。

 今は、私の行動一つ一つを吟味して違和感がある部分を洗い出してるのかしら?」

 

「流石に過大評価過ぎませんかね?てか、誰だよその超人じみた奴。

 単純に空気読んでるだけだっての。ボッチなめんなよ?読めないと死ぬんだからな?」

 

 空気の読めないボッチはただのボッチだ。

 ・・・それってどっちにしろボッチじゃね?いや、ぼっちにも練度っていうものがな。

 訓練されたプロボッチは高い練度を持ち、本を読めば行間まで読める程の読み取り能力を・・・・・・なんか虚しくなってきたわ。

 

「そうかしら?ある種、ここまで関連性がある人間を相手に裏がある可能性を考え続ける慎重さは十二分に評価されるべきだと思いますけど・・・」

 

「あの、一色さん。少し良いかな?」

 

 話を少し遮る様に入ってきたのは一色さんと同じ赤い制服。おそらく先程から殺気をとばしていた輩のひとりだろう。葉山系のイケメンだな。

 

「あら、なんでしょうか?

 今、お話中なのが見て分かりませんか?」

 

「そのお話相手について少し、ね。

 何故一校生”なんか”と話をしてるんだい?

 ”うちの”エースである一色さんが敵に会いに行ったって”三校の”チームメンバーが動揺してるよ?」

 

 めっちゃ俺が部外者なの強調してくるな・・・。いや、部外者なんだけど。

 ていうかなかなかいい殺気飛ばしてくんな・・・。ブルっちまうぜ。

 

「確かに、この後競い合うライバルではありますね。ですが、敵ではないですよ?」

 

 いや、その理論はこいつには通らんだろ・・・。

 

「一色さんは優しいね。

 でも、そう簡単に割り切れるものではないと思うんだ。

 それよりもどうかな?あっちで話でも・・・。」

 

「貴方、十師族?百家?

 何かの優勝経験は?」

 

 え、えげつねぇ・・・。

 

「え・・・いや、特にそういったものでは無いですけど・・・。」

 

「では時間の無駄ね。

 今は見ての通り話し中なの。無駄話に付き合う気はないわ。」

 

 おそらく同級生なんだろうけど、名前すら覚えられてないな・・・。哀れ。

 てか、話してる内容は本質を突いてるが論点がズレてるせいで収拾がつかなくなってるな・・・。

 

「いや、ですから!」

 

「あーあのさ、多分勘違いしてると思うんだが。良いか?」

 

 誤解を解かねえと話にならん。

 

「俺と一色、と三浦もか。は、おまえらが考えている関係じゃねえから安心してくれ。

 昔、一色家に迷惑かけた事があってな、その件での報告しに来てくれたみたいなんだわ。多分だが勘違いした奴が結構いて、おまえが代表で聞いてこいって、貧乏籤引かされたんだと思うんだが勘違いだから気にするなって言っといてくれないか?」

 

「・・・そ、そういうことなら。」

 

 野次馬代表で来たはずが思わぬダメージを負ったが、致命傷になってないことを願うばかりだ。

 そして、気まずいながらも撤退の理由が見つかったイケメン君は、そそくさと三校の集まりに戻った。ご愁傷様である。

 

「あの手の馬鹿はウチの学校ではもう居ないと思ってたけど、まだ居たんだね。

 わざわざ罵倒されに来るとかマゾ?」

 

「気持ち悪い事を言わないでください、優美子。」

 

 マジか。これ平常運転なのかよ。この調子で男袖にしまくるとかガチ怖え・・・」

 

「ヒキオ、声に出てるから。」

 

 やっべまたやらかしてたか。心の声ダダ漏れ過ぎませんかね?俺。

 

「てか、あそこまで言わんでも良いんじゃねえか?流石に不憫すぎるって言うか・・・。」

 

「確かに、本来ならそうでしょう。それは私が”一色家”という立場でないならの話ですが。」

 

 地雷源はここだったか・・・。てか、その結婚観は流石にすれすぎだろ。

 

「・・・いや、今時政略結婚なんて時代錯誤過ぎないか?

 それに、その手の政略結婚は家のお偉いさんが決めることで自分で決める事じゃないだろ?」

 

 一色の親父さんがそんな事言うとは思えんしな・・・。今時あそこまで親バカな親も少ないし。

 

「魔法師家系なら珍しい事じゃありませんよ?貴方の言い分も確かにその通りでしょう。父も結婚相手にとやかく言うことはないと思います。

 ですが、私は自分の成長のために家の力を容赦なく利用して生きてきています。それについては一切後悔はしていませんが、家を離れることも多かったので家族には心配も迷惑もかけたと思っています。」

 

 あぁ、成る程。

 

「何より、これほど研鑽を重ねた上で、私の能力では”それなりに優秀な魔法師”となるのが限界だと考えれば、後私がこの魔法師社会に貢献できることは私の血を次世代へと繋ぐことでしょう。

 であるならば、私にとって重要となるのは優秀な魔法師の血筋である事や、一色家を将来魔法師社会に貢献できる家に出来る力を持つ相手となります。

 一色家としての優秀な魔法師はいろはが居ますからね。」

 

 こいつは確かに一色の姉ちゃんだわ。何かを決めたときに芯の鋭さがマジでそっくり。流石は姉妹って感じだわ。

 

「それより、先程の発言はなんですか?一色家に迷惑?冗談じゃありません。

 これ以上の諍いは貴方に迷惑がかかるためこらえましたが、現実はまるっきり逆ですよ?

 これが、いろはが言っていた自己犠牲をいとわない解決手段ですか?」

 

 じとーーーって見てらっしゃる。

 

「いや、ああでも言っとかないとこっちにヘイトが増えるからな?俺、闇討ちに遭っちゃうからな?

 リスク分散だ。

 ダメージコントロールだ。」

 

「ヒキオ・・・。あんた、まだそんな感じなんだね。いろは達の苦労が伺えるし。」

 

 いや、なんで一色が出てくんすかね・・・。

 

「確かに彼の周りの人は心労に絶えなさそうですが、私としては評価が上がりました。

 貴方は守るものの為に土壇場で命をベットする事を躊躇わない人なのでしょう。

 姉としても安心して妹を任せられます。」

 

 任せるって何をだよ。

 

「買いかぶりの見本市見てる気分だな・・・。

 聞けば聞くほど俺とはかけ離れていくぞ。」

 

「別に、手放しで高評価を出しているわけではないのよ?

 自己評価の低さは改善すべき点でしょうし、他にも改善すべき点もあるでしょう。

 それでも、評価すべき点は評価されるべきです。

 九校戦での活躍を楽しみにしていると言うことですよ。」

 

 なんで対戦相手の学校に応援されてんの俺・・・。

 

「いや、あんた敵だろうが。他校の応援してて良いのかよ。」

 

「構わないわよ?どうあれ正々堂々とした試合なら構わないの。

 どうせなら妹の将来の旦那様になるかもしれない人なのだから、強いほうが嬉しいわね。

 残念ながら男女が対戦する機会はないから、私自身がそれを確かめることが出来ないのが残念ですけれど。」

 

 やる気満々かよ、怖えよ。

 ・・・てか、さっき不穏な言葉が聞こえた気がする。

 

「ちょっとまて、旦那ってなんだ。」

 

「そのままの意味よ。一色家は恩を忘れるほど恥知らずではないの。いろはが受けた恩は確かなもの。あの子が受けるかもしれなかった心の傷から救ってくれたのはほかでもない貴方。

 であるならば、そういった形での恩返しもあって良いと思いませんか?

 貴方の生い立ちのから考えても一色家という後ろ盾は有益に働くと思うし、あの子も自分を助けてくれた王子様を憎からず想ってるでしょう。」

 

 いやいやいやいや。話の展開ぶっ飛びすぎかよ。

 

「王子様とかあり得ねえよ。てか、俺はほとんど何もしてねえっての。

 それに、一色の気持ちとか色々無視しすぎだろ!!」

 

「いろはなら問題ないと思いますよ?

 それに気持ちを蔑ろにするつもりはないけれど、姉として妹の幸せのための道をつけるためにその幸せのメリットを示すくらいはしても良いでしょう?それが一色家としての恩を返す機会になるなら尚良しね。」

 

 ちょっと暴走してね!?三浦助け・・・って笑ってやがる。味方無しか。いつも通りだわ。

 ・・・いつも通りだわ。

 

「貴方も九校戦に参加しているということは魔法資質も十二分ということ。家柄も本来ならば十二分だったのだし、一色家としても十二分に有益な話です。出来れば前向きに考えてくれると嬉しいわね?」

 

 おかしい。何がおかしいって唐突に妹をどこかの馬の骨にくれてやるお嬢様がいらっしゃることだが、そもそもこの話になること自体がおかしい。

 まぁ、一色家が雪ノ下関係の状況をややこしくした要因であるのは否定しきれないし、責任を感じてくれてるんだろうが、いかんせんやりすぎだ。まぁ、一色が嫌がったらおじゃんの話だし気にしなくて良いか。

 

「ですので、いろはと婚約者の立場になってみてはどうかしら?父へは私から話を通しておきますよ?」

 

「いや、だからちょっとおちつk・・・」

 

 

「ねぇ、八幡。今の話、どういうこと?」

 

 

 後ろで制服の裾を摘まんでる誰かが居る。

 とても軽く。そう、とても軽く摘ままれてる筈なのに身動ぎしたら首を取られるような錯覚を覚えるのは何故だろう?

 ・・・てか、なんでただのパーティーでこんなに寿命が縮まなければいけないんだよ。

 

 

 

 




 7000字越えててこの尻切れトンボ感。

 あーちゃん大暴走回ですら8000でまとまったのに・・・。
 次話については早めに投稿しようと思います。(尻切れトンボはなんとかしたい。


 さて、話は変わりますが、一周年記念と言いますか、そろそろ書きたい欲の限界を越えてきましたので、近々新作を投稿しようかと思っております。
 読んでやろうじゃあねえか、という心の広い方がいらっしゃいましたら是非読んで頂けたらと思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。