いっちょ前にスランプ拗らせたタコが居るらしいな?読多裏闇です。
恐ろしいほど文章が形にならず時間がかかりました・・・。(忙しかったのもありますが、時間を作ってもまとまらず・・・。
如何せんスランプのようなものは初体験なので戸惑っておりました。
ですので煮詰まってる可能性がなきにしもあらずですが、その際は感想にて容赦なくご指摘をば。
~いろはside~
無自覚な天然ジゴロほど傍迷惑な存在はなかなか居ません。何故ならば、それに振り回された被害者が量産された挙げ句、全員が幸せになる手段が存在しないからです。これが意図的なものならば改善を促したり、状況を利用すればライバルを減らすことも可能ですが、無自覚な人は改善も難しく、無自覚なのは”女子から見たら分かりやすい”のでジゴロであることを暴露してもそもそも知っているので嫌って離れたりもしません。結果、被害者は増えるばっかり。
ですが、その程度ならば案外居ます。ええ、その程度ならば!!
言ってしまえば”もの凄い鈍い人”でしかないこういった人は大なり小なり居ますし、後から考えてみれば思わせ振りな台詞を誤って言ってしまっている、なんて事は集団生活をしていたら全く起きないと言える程ではないので、程度の差はあってもそこまで稀少な人ではありません。
ですがその傍迷惑を超えて尚、更に迷惑この上ない人種が居ます。それが。
自分に好意を向けられていると”認識した上”で、それを純粋な好意ではなくなんらかの意図を持っての物(例えば悪意的何かとか)や好意を向けている行為ではなく偶然やってしまった内容で、自分の自意識過剰だと自己完結してアプローチに気がつかないんじゃなくて自分に向けられているものではないと勝手に納得する。
なんて思考を標準装備した天然ジゴロです。
まぁ、先輩なんですけど。
これがもう”難攻不落の城が如き”なんて物じゃ生易しい代物で、暖簾に腕押しは押さなかった事になり、糠に釘を差しても意味がないどころか穴すら消失してしまっている勢いなので、洒落になりません。
まぁ、このレベルまで行くと概ね脈なしって諦めるのが普通なのでしょうけど、何故か先輩は諦めが悪・・・・・・いえ、もう素直に言いましょう。愛が重い人に好かれやすい体質のようで、諦めも悪ければ油断もならない人が多いです。
・・・まぁ、かく言う私もその一人なのですが。
現在、私が知る限りライバルになりうる、と言うか好意を寄せてるのは"例の2人”を除けば小町が言ってた先輩のクラスメイトさんと、生徒会長さん、それと油断ならない後輩でしょうか。
水波も小町も妹の範囲超えてる感じするけど、多分重度のブラコンで通る範囲内だと思う・・・・・・・・・多分。
第一高校の人は分からないけど、私的要注意人物だと思っているのが後輩の鶴見留美。去年・・・具体的には雪ノ下先輩達と一悶着あった後の1年で一番の脅威だった新入生。
今では2年生となって先輩が卒業したためそこまで諍いは起きていませんが、先輩が居たときは水面下での勢力争いに気が抜けませんでした。
留美の怖いところは行動力と思い切りの良さ。
先輩と同じ学校に行くために両親を説得して中学受験をパスしてくる程の行動力はそこらの小学生ではなかなかみせられないでしょう。
この行動力はとてつもない脅威で、私が踏もうとしていた段階を勢いで突破されたことが何度あったことか・・・。
そう、それ程の脅威だと知っていたのに・・・!
「油断したね、いろは。」
水波に私の心情を正確に当てられ後悔による現実逃避から帰還する。
現在私達は九校戦見学の自由行動中。よって予選にあたる競技を見に班にて移動中です。
メンバーは私、小町、水波と2年の特別参加枠で参加している鶴見留美の4名。このメンバーは事前に決めた班でこの合宿では常に行動を共にする予定です。なにせ、部屋まで一緒なので。
そして面子が面子なので見る競技の偏りもお察し。まぁ、先輩目当て100%と言っても過言ではないですから必然的に見に行くのは一校関係。
今回も一校関係者の試合ならもしかしたら先輩と会えるかも、くらいの考えでここに見に来ています。
結果から見たら先輩はあっさり見つかりました。
問題は先輩の隣に居る2名の女性でしょう。
片方は深雪先輩なのでまぁ順当です。従兄妹ですしあの方のブラコンさは小町からよく聞いてますし、小町のブラコンさを見ればこの状況は想定範囲内です。
問題は”先輩と手をつないで歩いている方”。
おそらくは前に小町が言っていたクラスメイトとか言う危険人物でしょう。見たところクール系の美少女で、あの先輩のガードを崩して手をつないでいる所から見てもかなりの強敵。
贔屓目に見ても洒落になっていません。
救いがあるとすれば後輩こと留美ちゃんとキャラが被ってる感じがする事かな?
などと悠長に戦力分析していたのが運の尽き。この光景に不快感を持つのがもう一人いるのを完全に忘れていました。
気がついたら隣に居たはずの留美ちゃんが先輩に向けて突撃を敢行している。出遅れた・・・!!!
隣の小町はこの状況を楽しんでいで、分析に勤しんでいます。水波は先輩のフォローが出来るように構えているのでしょう。・・・味方が居ませんね。このままでは不味いです。
「なんでルミルミがここに居るんだ?」
「ルミルミじゃない、留美。
合宿だよ?」
なに抱き合ったまま普通に会話してるんですか。まぁ、妹に構ってるのと同じ感じなので先輩のガードが甘いです。
しかも、あの感じは先輩分かってて抱きつかれてますね。死角から飛び込んだ留美ちゃんを真正面から受け止めるって後ろに目でもついてるんですか?しかも驚いてなさそうだし。深雪先輩達は驚いて固まってますが、多分”見えなかった”からびっくりしてるんでしょう。
ってそんな悠長な事してる場合じゃなかった。
「先輩なににやついてるんですか、キモいです。
中学生に抱きつかれて鼻の下伸ばすとか犯罪ですよ?通報しましょうか?」
「はっ!?い、いや落ち着け。人をさもロリコンの様に扱うんじゃねえ!!」
慌てすぎですよ、ロリコン先輩。
にしても後ろから見てたからこそ分かることですが、明らかに死角から意識の隙間を縫うように飛び込んだ留美ちゃんをどうやって察知したんでしょうか・・・。
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~小町side~
留美ちゃんもなかなかやるなぁ。お兄ちゃん相手だとそれくらい押せ押せじゃないと気にもしてくれないから有効だけど、妹カテゴリに一度はめられちゃうとそれを理由にかわしちゃうから見かけよりも前途多難なんだよね。
それはともかく。
隣でわちゃわちゃやってるところに、クラスメイトさんが参戦する前にちょっと視察が必要だよね?
「はじめまして!!比企谷小町と言います!!
兄がお世話になってます。」
「八幡の妹さん・・・?
こちらこそはじめまして。北山雫です。」
凄く丁寧に挨拶された。所作もすごく綺麗だし良いとこのお嬢様なのかな?
「さっき兄と手をつないでましたけど、もしかしてお付き合いしてたりします・・・?」
「っ!?ま、まだそういう関係じゃないよ。
さっきのは八幡を逃がさないように連行してただけで・・・。」
結構可愛らしい人だったよ・・・。見た目クール系だからギャップ凄いなぁ。
それに”まだ”ってことはかなり好意を自覚してて、アプローチもそこそこやってる感じっぽい。これは本格的にいろはちゃんピンチかな?
「連行って、まーた部屋にでも籠もろうとしてたんですか・・・?。ほんとごみいちゃんなんだから。」
「説明しなくても分かるんだ。流石妹さん・・・。」
「あ、妹さんとか他人行儀なんで是非とも小町と呼んでください!!
私も雫さんって呼んでも良いですか?」
「うん。よろしく小町ちゃん。」
よし、概ね分かったかな。時間稼ぎして貰ってた深雪お姉ちゃんに合図だけして、と。
そういって性格診断を打ち切る。
今やってた事はお兄ちゃんのお姉ちゃん候補になりそうな人全員にやっています。深雪お姉ちゃんと話し合って”二度と失敗しないように”するために。今回は突発的だったけど深雪お姉ちゃんが気を利かせて時間を稼いでくれた感じ。あんなでもうちのお兄ちゃんだからこれ以上失敗するのは妹として見逃せない。
とりあえず雫さんは問題なさそう。後々観察は必要かもしれないけど、当座お兄ちゃんの敵にはならないと思う。
にしても、また美人釣り上げてきたね・・・お兄ちゃん。刺されないか心配だよ・・・。
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~留美side~
「渡辺先輩にかかってるベクトルが全部固定値になってるな、全体を一つのオブジェクト扱いで移動魔法かけてるのか。」
「ボードを含めた全体を一つのオブジェクトとして成り立たせてるのは、硬化魔法を利用した相対位置の固定か。なかなかおもしろい使い方だな。」
八幡の解説は目的と理由があってなんのための魔法なのか分かりやすいし、結果から話をしてくれるから観戦しながら聞くのに必要な部分に注目しやすくてとても助かる。
目下の問題は八幡の隣を油断ならない人達が占拠してる事だけど。
「そんなに羨ましそうに見るなら抱きついた勢いのまま隣に座れば良かったんじゃない?」
うっ・・・。
小町先輩は、相変わらず私の考えを見透かしたような発言をする・・・。
というのも、今バトルボードの競技を見ている席は3列に分かれていて、前列に八幡とその両隣にいろは先輩と手をつないでた雫さんって人、それと深雪さんと達也さん。その後ろに私達を含めた数人が分かれて座ってる。私は八幡のすぐ後ろで隣に小町先輩が座っています。
この席順に座るにあたって、八幡はなんの疑問もなく後ろの端っこに座ろうとしたけど、周りがそれを許さず、解説役としていろは先輩と雫さんが強制的に引っ張り出し、中央に連行しました。この際、八幡の隣に座るポジション争いに似た水面下の攻防が発生する筈だったのですが、エリカさん?と言う方が私を雪ノ下先輩の妹と勘違いしてきました。私的には馴れてますが、正直不快この上ないのと、諸事情により”ポジション争いに参加できそうにない”ので全力で軽蔑の眼差しと文句、ついでに殺気もぶつける等を口実に逃げてきました。
「まぁ、恥ずかしいのは分かるけど、ここまで押したんだったら勿体ないよ?」
つ、追撃が痛い。
なんでここまで見透かされるのかな・・・。
まぁ、指摘の通り私は逃げるというか、クールダウンの為にポジション争いを辞退しています。理由は簡単、今日八幡に不意打ちで抱きついてしまった事についてです。
むかっとしてやったとはいえ、普通に奇襲して抱きついただけならここまで恥ずかしい事はなかったんだけど、奇襲したはずが何故かバレて、しかもスピード的にかわしたら私が怪我する可能性を考えた上で受け止めて貰って。バレて地味に恥ずかしいのを会話で誤魔化してたのに、最後には「てか、いきなり飛び込んで来たら危ないっての。てか、縮地の応用か?何教えてんだよあの坊主・・・。」とか言いながら頭ぽんぽんするのは反則だと思う。いろは先輩が介入してきてきた時は不本意ながら少し助かった。
おかげでイニシアチブ取るとか以前の問題で落ち着くのに時間がかかっちゃった。
「・・・もう冷静になったから大丈夫。さっきのは不意打ちだったから。」
「不意打ちしにいったのに返り討ちにあってるから不意打ちなのかは微妙だよね。
にしても、妹ポジション脱却は遠そうだね。」
小町先輩の指摘はなんでこう的を正確に射抜くのだろう?
八幡は基本的に女の人と接触することから全力で回避する。接触せざる得なくてもそれが好意的な行動では絶対無いと言い切る。あくまでも必要性にかられて仕方なくだと信じて疑わないし、しなくて済むなら裏技を使ってでも回避する事が"相手側の女の人にとっても望ましい”事だと本気で思ってる。
だから、女の人が抱きついてきそうになったら逃げる
なのに私は受け止めた。
これは怪我の防止もさることながら、八幡にとっての妹ポジションの人はそういった邪な考えが起きる範囲外って扱いだからだと思う。
要するに女として見られてない。凄く不本意ながら。
「去年はまだ小学校卒業からすぐって扱いで逃げられたけど、今年からはその言い訳は通用しない。
近いうちに絶対ぎゃふんと言わせてみせる。」
そもそも2歳しか変わらないんだから子供扱いは失礼だよ。
頭抱えるくらいなら上げちまえ精神で完成してます。
一回上げてしまえばなんとかなると信じたい。