やはり俺の相棒が劣等生なのはまちがっている。   作:読多裏闇

46 / 58
新人戦が遠いのですが、九校戦って前座長すぎませんか?(設定盛りすぎマンのせいですねすみません。

とは言っても日程的にはもう2日切ってるのでなんとか・・・。


九校戦編18

 

~雫side~

 

 

 

 七草真由美先輩は私が通う第一高校の生徒会長で、実家も十師族の中でも有力な“七草家”。家や肩書きだけでなく実力も全国随一のもので、九校戦では2競技優勝を確実視されている文句なしのエース。

 また、優秀な魔法師は比較的整った顔立ちになりやすい傾向がある、とされるこの社会の例に漏れず美人かつメリハリのある体つきで、正直羨ましいと思ってないとは口が裂けても言えない。胸も、大きいし。

 美人度合いだけで見ても七草会長以上の人は深雪くらいしか思いつかないし、深雪に至っては美人すぎて気後れするレベルだから考慮に入れるだけ無駄だと思う。

 そんな容姿端麗、文武両道を地で行く一校きっての美少女生徒会長が名指しでエンジニアに指名したのが八幡だって昨日深雪に聞いたときには純粋に八幡の凄さを再認識した。(深雪はピンチヒッターの件を七草会長のメインエンジニア扱いと伝えている)

 前々からその実力は認められているものの、今回はピンチヒッターとはいえ名指しの起用。

 メインエンジニア代行かつ昨日の今日で任されたともなると、そういった問題に対処できるだけのポテンシャルを認められたも同然。

 こういったピンチヒッターはベテランが任されるのが一般的。そこに一年生が呼ばれてる段階で間違いなく凄いんだけど・・・。

 なんかこの指名、実力以外の部分が凄くある気がする。

 決まったとき同じく達也さんもオフだったのに話題にも出ず七草会長の一存で決定しちゃったみたいだし、やっぱり八幡狙いなのかな・・・。

 

「あの、雫先輩。真由美さん・・・七草会長って学校ではどうなんですか?」

 

 そう言って話しかけてきたのは一色いろはさん。昨日は八幡の関係で色々あったけど、一応は知り合いだったのもあって昨日のうちに打ち解けた。

 そう言えば今はみんなで七草会長のクラウドボールを見に来てるけど、なんか道中百面相してたっけ。

 

「どう、と言われてもすごく優秀な生徒会長だけど・・・?」

 

 質問の意図がよくわからない。

 百面相してた理由に関係してるのかな?

 

「すみません。言葉が足りなかったですね。

 真由美さんと先輩がなんか仲が良いって聞いたんですけどその辺りを詳しく聞きたくて・・・。」

 

「仲・・・は良いのかな?

 なんか会長の玩具にされてる感じなのはよく見るよ。

 お気に入りの後輩って感じかな。」

 

 「イヤな予感的中・・・。」ってうめきながら若干空を仰いでるいろは。まぁ、何となく気持ちは察せられる、というか私も危機感はあるんだけど、私の想定より嘆き方のレベルが高い・・・。

 多分一色家だから、以前から知り合いなのかな?

 まぁでも、そんなことよりも重要なことあるよね。

 

「いろははいつから八幡が好きなの?」

 

「・・・ストレートに来ますね。」

 

「もはや今更かなって。

 それに、いろはは腹芸得意そうだからこうした方がイニシアチブとれると思った。」

 

 ちょっと明け透け過ぎたかな?でも、これくらいの方がいろはの微妙な堅さがとれると思うし、このままいこう。

 

「なんか余裕があって羨ましいです。

 それに、結構大胆なのもびっくりしました。先輩とよく手とか繋げましたね?」

 

「手をつなぐ・・・?あ、昨日の八幡を連行したときの事?

 あれは手をつなぐって言うよりは逃げられないように捕獲してただけで・・・。」

 

「それでも先輩相当逃げると思うんですけど・・・?どんな手品使ったんですか?」

 

 ずいーーっと詰め寄ってくるいろは。

 別に手品どころか種も仕掛けもなく、逃げないように捕まえてただけなんだけど・・・。

 こうやって詰められると言い訳し辛い。・・・言い訳なんて必要ないんだけど。

 

「それより、質問の答えがまだだよ?」

 

「むぅ・・・。分かりました。

 私も話すのでさっきの話は後で詳しく聞かせて貰います。

 そうですね、どこから話せば良いんですかね・・・。」

 

「八幡に雪ノ下さんの事を聞いたときに選挙の話は聞いたけど、関係ある?」

 

「え、先輩そんな事もう話してるんですか!?

 先輩あんまり自分の事とか語らないのに・・・。」

 

 自分の事を語らない・・・。言われてみれば確かに八幡の話って雪ノ下さんの話以降ほとんど聞いてない気がする。でも、雪ノ下さんとかの話はあっさり話してたよね・・・。何でだろう?

 

「この話は私達全員の前で話してるから、八幡の友達はほぼ全員知ってるよ?」

 

「先輩の・・・友達?しかもこの話しぶりはそこそこ人数居そうですね・・・。

 というか、先輩がみんなの前で過去話って・・・。

 何ですかその恐ろしく違和感ある図は・・・。」

 

 ここまで懐疑色に染まりきった目線も珍しいよね。

 ここまで言わせる八幡って・・・。

 

「そんなに変なことなの・・・?」

 

「そんな事出来るなら万年ぼっちぼっちって連呼してないと思います。

 あ、もしかして最近自分の事ぼっちって言ってないんですか?」

 

「いや、言ってるけど・・・少なくとも今の八幡は友達は多いほうだと思うよ?

 よく話す人だけでも私、ほのか、深雪、達也さん、レオ、エリカ・・・8人?

 それに、同じクラスだったら実習の時、質問とかよくされてるよ?

 ・・・話しかけられるのは苦手そうだけど。」

 

 未だにクラスメイトでも、名前呼ばれたらビクッってしてるから苦手なんだなって思う。

 

「私の知ってる先輩じゃない・・・。

 ・・・・・・・・・・・・違いますね。先輩の周りが悪すぎなんです。理解しない拒絶する吊し上げる地獄絵図でしたし、影響力も凄かったですしね・・・。それに、先輩も悪くなっても改善する気がないから・・・。

 まぁでも、今の先輩目の腐り方が少しマシになったので裏が取れたのは結構安心しました。」

 

「なんか端々に不穏な言葉が混じってたけど、そんなに凄かったの?」

 

「それはもう色々と・・・。」

 

 それからいろはが話した総武中学での出来事は今の八幡からは想像を絶する酷い物がいくつもあった。中には雪ノ下家との抗争という名の一方的な攻撃なんかもあったみたいで、当時の怒りもあってかいろはの言葉の熱も強い。

 それと同時に一校での八幡の話にも話が飛んで、私の話に興味を持ったのか中学生が話に入ってた。ぼっちだったかもしれないけどモテてはいたんだね、八幡。

 

「・・・あ、真由美さん出てきましたね。」

 

 この発言を期に話は中断になってみんなの視線が会場に向けられる。

 

「準備体操始めたね。クラウドボールは体を結構動かすし納得だけど・・・なんで八幡が背中とか押してるんだろう?私の手握るのにあんだけ嫌がったのに・・・。」

 

 終始にこやかな七草会長とたどたどしくも準備体操のお手伝いをしてる八幡。普通、気になってない男の子にそんなことは頼まないし、頼まれても断ると思うんだけど。

 

「・・・あの感じは嫌がってるけど結局やらされてるパターンですね。先輩、断固拒否とかする割には押しに弱いんですから。

 これ、間違いなく真由美さんの術中じゃないですか・・・。」

 

 などと愚痴る私達に知ってか知らずかそのまま順調に準備体操を終えて始まる第一試合が開始。

 七草会長の試合運びは文句無しで、相手を圧倒。フルセットどころかまともにゲームを終わらせる前に食らいつくのに精一杯だった対戦相手はサイオン枯渇で途中棄権。

 見るからに絶好調と言わんばかりの会長は終始笑顔。休憩中はずっと八幡と楽しそうにお喋りをしていた。

 ・・・なんか会長のファンと思われる団体の辺りから殺気のような目線が送られてる気がするけど、八幡無事に帰れるかな?

 クラウドボールのインターバルは15分なので直ぐに次の試合があるけど、余力は残ってるのはありありと伝わってきてるし優勝は間違いなしだと納得出来る試合だった。

 問題が発生したのは第二試合。

 第一セットが終わった後、七草会長が血相変えて八幡に詰め寄っている光景が見られた。

 試合運びは順調そのものだし、むしろ調子が出てきたのかさっきの試合よりも魔法が速いような感じがした程。詰め寄っている理由がよくわからない。

 

「七草会長どうしたんだろう?問題があるようには見えなかったけど・・・。」

 

「そうですね。強いて言うなら調子が良すぎる感じがしたような気がしますけど、あんなに切羽詰まった詰め寄り方をする理由はよくわからないですね・・・。

 水波、何か知ってる?」

 

 水波さんは確か八幡の再従妹だったっけ。いろはは詰め寄られた理由が八幡にあるって決めつけてるから聞いたみたいだけど、必ずしも八幡が理由とは・・・限らないと言えないのには八幡も反省すべきだと思う。

 

「えっと、多分ですけど、競技が進むにつれて疲れて調子が落ちることはあっても上がることはない筈なのですが、七草会長の魔法は第一試合に比べて明らかに効率が良かったです。

 第一試合の後に八幡兄様がCADを調整なさって、調子が落ちるどころか効率が上がったので驚いたのではないかと?」

 

「あ、そっか。今日いきなりの調整だったから起動式を変更したりすると競技に支障が出るだろうし、最低限の調整しかしてないのかな?

 となると先輩、アレンジしちゃったとか?」

 

「流石にそこまではわかりませんけど、八幡兄様ならアレンジせずに処理効率を上げる方法をご存知なのかもしれません。」

 

 アレンジせずに魔法の発動効率や速度を上げる・・・。

 確かに八幡や達也さんが調整したCADは同じ魔法でもしっくりくるし効率もスピードも段違い。

 あの差を初見で体感したのなら起動式をアレンジしたと勘違いしても不思議じゃない。

 

「多分それで間違いないと思う。実際に八幡や達也さんが調整したCADを使ってみれば違いがはっきりと分かるよ。

 プロと遜色ない・・・達也さんに至ってはプロよりもしっくりくる仕上がりになって手元に帰ってくるから。」

 

「聞けば聞くほど高校生である事に疑問を感じますね・・・。

 あ、でも調整に関しては達也先輩の方が凄いんですね。

 最近先輩の話題って人間離れした内容が多かったのでなんて言うか・・・ちょっと安心かもです。」

 

 何となく、いろはの意見も分かる。気を抜いたら置いて行かれるんじゃないかってとても心配になるし。

 だけど、八幡が調整が苦手なんじゃなくて達也さんが異常に得意なだけな気がする。八幡本人にスキルの高さの自覚がないのと、八幡の普通は高校生の普通の域を逸脱してるから・・・。

 これで、自称”得意分野じゃない”扱いなんだもんね。

 

「八幡のメインはハード方面だよ。実際、九校戦の為だけにCADを自作してたから。

 だけど、調整分野でもエンジニアチームではトップクラスだと思う。」

 

「・・・自作の競技用CADをハードからって、高校行事の域を越えてないですか?」

 

「その疑問はこの一ヶ月でどこかに行っちゃったよ?

 いちいち驚いてたらキリがない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




3日目はスルッと終わる筈なんだ。(フラグ

お気に入り3000件とか現実に起こるのですね。正直ありがたすぎて未だに実感沸きません・・・。
相変わらずの不定期投稿ですが楽しんでいただけたら幸いです。

質問含めていつでもお待ちしております。設定盛りすぎて伝わりきってない説は多分にございます。是非是非。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。