やはり俺の相棒が劣等生なのはまちがっている。   作:読多裏闇

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お・・・そく・・・なりました・・・。(がくっ

いつも通り言い訳につきましては後書きにて。(いつも通りになっててすみません。


九校戦編23

~エイミィside~

 

 

 

 女が群れる動物なのはいつの時代でも変わらない。

 集団が形成されればグループが出来るのは当然の摂理だし、基本的に単独行動を好む女子は少数派だと思う。

 私自身も誰かしらと話をしながら行動したいし、一人で居ると・・・なんかそわそわするのは分かる。まぁ、例に漏れず私も普通の女子ってことなのかな。

 だから、新人戦1日目が終了しての夕食時に本日出場選手で好成績な人達に女子が群がるのはもはや予定調和と言って良いと思う。そして集まっていく人間もセンセーショナルな人に集まりワイワイ騒ぐのが目的である以上集まる先はある程度決まってくる。

 見渡せば深雪を筆頭にほのか達を囲んだグループと雪ノ下さんを中心のグループが形成されて、みんなでワイワイやっている。深雪はまだ競技に出てないのに中心になってる辺り流石の求心力って感じだけど、今日に関してはほのかは九校戦全体注目の的だったから、ほのかが深雪と一緒にいる以上輪に拍車がかかってる。

 雪ノ下さんも危なげなく勝ち進んでたし、普段はB組では中心人物。人が集まってくるのもよくわかる。

 私としてもこのワイワイに参加して喜びを分かち合ったりして明日への活力にしたい・・・と思ってるんだけど・・・。 

 ・・・現実は少し外巻きに眺めてる私。

 

「どうしたんだい、お嬢さん?浮かない顔だね。」

 

 そんなおりに気取ったように話しかけるのは里美スバル。

 サバサバした性格で空気も読めるある種のムードメーカーな彼女は少し孤立した様に映る私に気を使ってくれたのだろう。

 

「ちょっとね・・・。

 ねぇ、なんで深雪達と雪ノ下さんって仲悪いのか知ってる?」

 

 この問いで全てを理解したのかスバルは苦笑いしつつあの"不自然なほどに"二分化された集団に目を向ける。

 女は群れる。基本的は小グループがあちこちに形成される形で。

 今回の様に今の話題の中心人物が居る場合も、それら全員を中心に大きな集団を作るのが一般的なんだけど・・・まれにそう言う形にならない場合がある。

 それが、複数の中心人物同士が仲が悪い場合。

 確かに規模が大きいパーティーではあちこちで集団が形成されるけど、今此処にいるのは一校の九校戦関係者だけ。それも全員ではないので人数もたかがしれてるのに、その状況での二分化。

 これは立ち位置をミスると後々ややこしくなるのは明確だよね・・・。

 

「いや、直接的な理由までは分からないかな。

 基本的には比企谷君を雪ノ下さんが毛嫌いしててそれに怒ってるって言う構図だけど・・・それは知っているだろう?」

 

「そうだけど、昨日まではここまでじゃなかったよね?」

 

「それについてはさっき聞いてきたよ。なんでもほのかの競技前に一悶着あったみたい。

 比企谷君の対応に問題提議してエンジニア担当を外す提案をしたとか・・・。」

 

 そこまで毛嫌いするって凄いなぁ・・・。

 でも、細かい点で比企谷君にツッコミ入れたい事があるのは分からなくないし、何よりアンチ多いんだよね・・・。うちのクラスは特に雪ノ下さんと仲が良い人多いからヘイト高いし。けど、深雪はともかく雫やほのかは基本的に公平だし比企谷君のダメな部分もしっかり指摘してるのは知ってる。

 あぁもう。正直何信じたらいいのか分からない。

 

「・・・スバル。一人ご飯は寂しいから付き合って。」

 

「ハハハ・・・。了解。」

 

 

 

 

 

 

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 物事における"通称"はその物の体を表す上で有益なものだ。

 そもそもが伝わりにくかったり、名称が長く不便な場合に使用され、コミュニケーションを円滑に導く便利なツールでありそれはパンピーの会話を円滑なものへと変えるだろう。

 では、何故円滑な名称が必要なのだろうか?

 それは世の中のパンピーが多数ある会話を少しでも多く話共有するための最適化が産んだものに他なら無い。常に誰かしらと会話し、コミュニケーションを図り情報を共有する彼らにとって分かりやすく伝わりやすい事は必要不可欠なのだろう。

 だが、その円滑さを必要としない人間も居るのだ。

 そう、ぼっちである。

 我々ぼっちはそもそも円滑さを求める程会話をしない。コミュニケーションも取らないし、省略しなければ話しきれないほど話す話題もない。

 

 よって"ぼっち"にとって”通称”は不要だ。

 

 重ねて言うようだが、会話の円滑さなど考えるまでもなく不要である事など確定的に明らかであり、コミュニケーションなんか何それ食えるの?を体現するぼっちには無用な文化形態と言っても過言ではないのだ。

 故に通称を使用しない事も含め通称に踊らされる様な、「ここではこうも呼ばれてるから・・・」等のレッテル張りに踊らされる事態も勿論あってはならない。そう、あってはならないのだ。

 

「だからこそ、いいか?俺は制服で出る。」

 

「諦めて着て下さい。

 八幡さんの和装姿なんて滅多に見れないのですから、ほら早くなさって下さい!!」

 

 現在の種目。男子アイスピラーズブレイク予選第一試合。

 その通称を"ファッションショー"と名付けた人間は夜道を歩くときは気をつけろ。

 そんな呪詛を唱えながら控え室では深雪による強制着付けによって試合に出るはずだった制服を引っ剥がされ何故か紋付き袴に換装されつつある俺は現実逃避に忙しい。

 本来ならば断固拒否のこんなコスプレに袖を通す羽目になったのは今日の朝、試合の一通りの準備を終わらせた俺に大荷物を抱えた深雪が現れた。中には紋付き袴と筆跡に見覚えがある手紙。

 

「ピラーズブレイクに着る衣装がないと伺ったので送っておきます。

 試合、楽しみにしているわね?

 貴方の叔母より。」

 

 ナニユウトリマスノン・・・。

 何故、衣装の話が出たのか、犯人を見ると・・・やだ、良い笑顔。

 手紙をみる感じからして、リアルタイムで見ているであろう親バカ丸出しの叔母に着ていないのがバレればどのような反撃が来るのか分かったものではない。何故かこういうときに手段を選ばない人なのだ。

 こうして完全に退路が断たれたのである。

 

「さて、着付けが終わりました!!」

 

 げっそりとしている俺に何故かテンションMAXな妹様はいつの間にか取り出したカメラで激写を開始した。

 ・・・いや、ちょっとまて。

 

「うぉおい、何撮ってんだよ。ぼっちの写真になんの価値がある!!」

 

「叔母様に送らなければいけませんし、小町ちゃんにも送らないと・・・。

 というわけで、必要なんです。ほら、シャキっとなさって下さい!!」

 

 強く言われると反射的に従うぼっちの性がここまで憎くなったのは初めてである。

 

 その後、撮影会は深雪が満足するまで行われ、終わって出てきた頃には俺は灰のようだったと後から雫に言われた。

 

 

 

 

 

 

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~真由美side~

 

 

 

 新人戦アイスピラーズブレイクは今年の九校戦でも全試合見ようと思っていた種目で、個人的に凄く楽しみにしていた。私自身はピラーズブレイクに出場したことはないけれど、戦略や魔法技能、技術がしっかりと浮き彫りになる非常に難しい競技なのは分かっているつもり。

 そこに何故か私が注目している人間が一気に集中しているのだから見ないわけには行かないでしょう。

 深雪さんは見るまでもなく優勝は確実だと思うけれど、それでも彼女は一魔法師としても目が離せない。それをあの達也君が調整している。もう何が飛んできたって不思議じゃないと思ってる。そして同じく達也君がエンジニアとして入っている他選手や八幡君がエンジニア担当をしている雫さん。これに至っては達也君以上に何が出ても不思議じゃない。

 既に一発派手な事をバトルボードでやらかしてるのもアレだけど、八幡君にとってピラーズブレイクはエンジニアだけじゃなく”自分が出る種目でもある”。種目への理解度に深さは折り紙付きでしょう。

 そんな波乱を孕むアイスピラーズブレイク予選。トップバッターはその波乱その物の八幡君な辺り、運が良いというか、持ってるというか・・・。

 ほんと、何してくれるのかしらね。

 

「そう言えば会長、比企谷君の練習は見に来ていませんでしたよね?」

 

 そう言って話しかけてくるリンちゃんとはピラーズブレイクを摩利と共に見に来る約束をしていた為今は摩利を含めて3人で八幡君の予選を見に来ている。

 試合はもうすぐ開始。遠からず八幡君も入場してくるでしょう。

 

「忙しかったのもあるけど、何回かチラッと見てはいたのよ?でもタイミングが悪くって一回も試合風景が見れてないのよ。」

 

 八幡君のピラーズブレイクはどうなるのかとてもとても気になった。けれど、ネタバレの様な気がするからあんまり深くは見なかったのもあってついぞ試合風景が見れない結果になってしまった。

 

「内容を把握していないのでしたらそうなるのも当然でしょう。」

 

「随分と勿体ぶるな。なんだ、そんなに凄い事やらかすのか?」

 

 リンちゃんがいたずら好きの子供のように勿体ぶるのは、相当面白いか虫の居所が悪い時。

 長い付き合いなので結構茶目っ気があるのは知ってるけれど、ここまで勿体ぶるのは初めてかもしれない。

 

「おそらく、アイスピラーズブレイクの歴史に大きな変革がもたらされるでしょう。

 ついでではありますが、会長が練習を見れなかった理由も同時に分かるかと。」

 

 そんな不穏さしか増えない雑談は会場の歓声でかき消された。選手が入場してきたみたい。

 八幡君は・・・あら。

 

「あれは・・・紋付き袴か。目つきも相まってどっかのヤクザかと思ったぞ。

 あいつがあんなものを着るとは思わなかったな。」

 

「ふふっ・・・くっ・・・っ。

 あれ、絶対深雪さんに着せられたのよ。八幡君が自発的に着るなんて有り得ないもの・・・ふふっ・・・。」

 

「まぁ、変なものを着るよりは似合っている・・・と言っていいのでしょうか?

 趣味が分かれそうではありますね。」

 

 八幡君は終始苦虫を噛み潰しきった顔をしているせいでヤクザ度がどんどん増してるし、リンちゃんも若干近付きがたいといった感想みたいね。と言うか普通に怖いもの。

 まぁ、挙動不審だから私はそこまで怖く感じないけれど。

 

「もう、これ見れただけで十分満足したけれど、ここからが本番ですものね。」

 

「はい。試合が始まります。

 ですから会長、委員長。試合から絶対目を離さないで下さい。」

 

「え、それはどういう・・・」

 

 その質問の答えは試合開始のブザーにかき消されて帰ってこなかった。

 いえ、実際には同時に返す必要すらも失った。

 何故なら答えはもう既にあったから。

 

 会場に響く試合終了のブザーという形で。

 

 




主人公が動いてるのに主人公自身をほぼ描写しないタコが居るな?←

遅くなりました。タコ作者です。
今回の遅くなった原因なんですが・・・びっくりするほど忙しくて・・・。(就活関係が。
とりあえず構想はあるのに書く前に死ぬ状態でした。私は、元気です。(遠い目

久々ですので訳分からんわ!とかツッコミとかツッコミとか、とかとかをお待ちしております。
お待ち、しております。

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