やはり俺の相棒が劣等生なのはまちがっている。   作:読多裏闇

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私は、帰って来たーーー。(土下座

長らくお待たせしました。進路関係諸々片付けて新生活準備してたら灰になりました。
これが雑魚です。←


九校戦編27

 

 

~栞side~

 

 

 

 

 認められたい相手と”対等である”のには、どうすればいいのか。

 その相手と同じ事が出来る事を証明し続ければいい?

 それとも相手に出来ないことを出来るようになればいい?

 

 そんな馬鹿なことばかり考えて、自己嫌悪に潰れて自滅したのが昨日の事。

 自分の人生を呪って、自己嫌悪して。絶望に打ちひしがれて悲嘆にくれて、いろんな人に心配と迷惑をかけながらもなんとか潰れずに戻ってこれた。

 私が抱く”一色愛梨”への依存度の高さが滲み出てる・・・は流石に自虐が過ぎるわね。

 少し整理してみましょう。

 まずは私が折れかけたのは私の弱さ故のものだとしても、それ程の衝撃を生み出したのはもちろん第一高校。

 本戦の成績から首位を獲得し独走するのは例年通りではあり、諦めの中にも納得を伴った物だった。

 その流れが大きく変わったのは新人戦。

 全体的な順位が高めなのはそれこそ例年通り。むしろ成績だけ見れば男子は不振気味だった事を鑑みて本来なら他校にとってのチャンスと認識されるが・・・女子側は悪夢そのものだった。

 スピードシューティング女子表彰台独占。

 バトルボード予選のフラッシュ戦術。

 ”楽観的な思考”なんて言葉脳の片隅にも浮かばないほど主導権を奪われた各校は対応に奔走することを強いられる。スピードシューティングは終わってしまった競技故に最悪無視で良いとは言え、分かる人間には分かる明確なエンジニア格差。これはエンジニアの能力である以上他の競技に影響する。

 私は実力の差に絶望したけれど、実際に対面する選手の心理的負担は身を持って実感した。出来ればチームメイトには同じ轍を踏んでほしくないわね。

 また、バトルボードは本戦が残ってる以上、更に悲惨。

 常識というものを投げ飛ばしたかのような戦術に対面していない他校ですら浮き足立っていたみたい。

 結果として第一高校がもたらした衝撃は非常に大きく、私同様自滅する選手が見受けられるほど。まぁ、私の様な精神的に追いつめられてしまうのは流石に稀でしょうけど。

 その反響が収まらないまま迎えた新人戦2日目。

 

 昨日の型破りがインパクトの強い初見殺しではなくこの学校のデフォルトである事を知る。

 

 クラウドボールこそ比較的平和で順調に愛梨が勝ち上がったものの、ピラーズブレイクはそうはいかなかった。女子バトルボードのエンジニア担当があろう事か男子ピラーズブレイクに出場したかと思えば、大会最速記録で決勝に駒を進めた。

 エンジニアが出場しているのも非常識だけど、結果はもっと非常識。それに女子側も危なげ無く駒を進めている。内容も脅威で、司波深雪選手の優勝は恐らく揺るがないでしょうね。

 こうして2日目を終えてみれば第一高校の一年選手達がいかに非常識かが伺える。

 ”一校の脅威は一個人で対応出来るレベルを越えている。俺達が一丸となって対処しなければならない”。

 これは昨日の最終ミーティングで一条君が強く主張した言葉だけど、その言葉の重みを噛み締めさせられるわね。

 

 まぁ、今目下の問題は別にあるにだけどね。

 

 自己考察からしても今年の第一高校は他校への悪影響が酷すぎる。

 事実私も痛い目を見たし、大なり小なり意識せざる得なくなっている状況とは言え、愛梨すらも影響を受けてしまっている。・・・いえ、愛梨故に、かしらね。

 対面した選手が戦力差や結果を受け止められず、視野狭窄に陥る中で私や他校のその他大勢とは違い愛梨は第三高校のエース。強者のプレッシャーで臆するタイプじゃないし、不調でもない。だけれど愛梨は”ある人種”に遭遇するとどうにも浮き足立ってしまう悪癖がある。

 彼女の妹がそうであって、どうやらその思い人もそれに類する人種で、あの司波深雪さんも同類でしょう。

 愛梨は天才に影響されやすい。

 正確には過剰にリスペクトしがち、なのだけどどうにもそわそわしてしまうことが多い。今回は比企谷選手の試合と司波深雪選手の試合、この2試合を見て以降どうにもらしくない表情をしている。

 元々「天才の思考を考察し、もたらされる恩恵を読み取って人類の発展に生かすのは凡人の義務」という座右の銘のような発言をしていた辺り天才への想い?は強い。

 いつもだったら私がフォローを入れたり、私との会話をして平静を取り戻すけれど、どうにも昨日の今日だから気を使われているみたいね・・・。

 九校戦が始まる前までの私にとって、愛梨は私の人生の恩人であり、私を地獄から救ってくれた英雄でもあった。だから、フォローしていると言うよりは補佐のイメージが強かったし、私自身は愛梨が望む高みへの努力に必死だった。実家という枷を壊して連れ出してくれた愛梨に報いて、二度と同じところに戻らないっていう脅迫観念に突き動かされる生活をしていたけど、今は愛梨を対等の友人として愛梨の力になりたいと思う。

 それが自分自身に絶望する悲劇のヒロイン気取った馬鹿な私を、直接ではないけれど”友達でライバル”だと言ってくれた愛梨に出来る精一杯の誠意でしょうし。

 

「愛梨、大丈夫?」

 

「・・・大丈夫よ。クラウドボールだって優勝したでしょう?」

 

「愛梨はポーカーフェイスは得意だけど、嘘は下手ね。

 気を使ってるのでしょうけど、無理に取り繕う必要はないわよ。

 それに"苦もなく"氷炎地獄(インフェルノ)が撃てるような相手に勝てるって言うほど自信家じゃないからそこまでのメンタルダメージはないもの。」

 

 気を使う理由は何となく察してる。

 昨日の私の状況もさることながら、私はアイスピラーズブレイクの選手でもあるから変な気負いをさせたくないという事なんでしょうけど、まぁあんな反則みたいな存在を意識してもなんの価値もないもの。

 

「・・・彼女は確かに別格ね。本当の化け物よ。

 天才ではなく、化け物。ただの才能の押しつけでしかないわ。

 勝てる、なんて無責任な事は言わないけれど、貴女なら一矢報えると私は信じているわよ?」

 

「過剰評価、ではあるけど私も何もせずに殺されるつもりは無いから安心して?

 それよりも問題なのは貴女よ、愛梨。

 貴女がここまで思い詰めるなんて尋常じゃないと思うのだけど?」

 

 聞いてる体はしているけど理由はほぼ明確。

 

 一校のおかしすぎる戦法の数々や常軌を逸した魔法力。

 到底高校生とは言えない技術力やそれを平然と駆使する同い年の高校生。

 

 この全てはとある人物達に直結する。あのエンジニア担当でしょうね。

 片方は選手でもあるけど。

 

「失礼ね。私にだって悩み事くらいあります。

 ・・・では気を使わず聞くけれど、自分の競技とエンジニアとしての調整、この2つを1日のうちに繰り返す事って可能だと思う?

 同じ、両立をしている栞としての意見が聞きたいわ。」

 

 普通の神経ならば才能の差を自覚して諦めるけれど、愛梨は天才に対して真摯に向き合うし挑むことを諦めない。だからこその疑問で、だからこその問い。

 なにより、愛梨は天才と言う存在に敏感すぎる。今回は整理しきれないほど色々なものを視てオーバーヒート気味なんだと思う。

 なら、話を聞くべきなのはライバルたる私の仕事ね。

 

「論外・・・と言いたいところだけど、そうね。絶対に不可能、とは言わないわ。

 事前のCAD調整に絶対の自信があって、当日も不測の事態が起きないと言い切れて、競技にも影響がでないほどの圧倒的な実力を”調整する余力を残した上で”やってのける。そんな存在だったら出来ると言って良いんじゃないかしらね。

 後、補足しておくけれど私の両立と彼の両立は完全に別物ね。」

 

「・・・本戦のエンジニアと両立するだけでも十二分に凄いはずなのだけれどね。

 それですら先輩方に止められたのを実力で認めさせたのだし。」

 

 実際に私は彼と同じエンジニアと選手の両立をしているけれどそれは、私の競技が前半であらかた片付くことと本戦の、それもほぼ最終日に近いミラージバッドのエンジニア担当でかつ1人だけという制約があっての事でこれでも少し無理気味だと私自身は思っている。

 この段階であの比企谷選手が常軌を逸した離れ業に近い無茶をやっているとしか常人の目には映らないのがはっきりと分かるでしょう。

 

「私個人から言わせて貰えばこのスケジューリングをした一校の人間は無能だと言いたいところだけれど・・・。

 一概にそうとは言い切れない実力が示されてるから難しいところね。」

 

「あの魔法発動速度、ね。

 うちは一条君の発破もあってかそうでもないけれど、全体的に浮き足立ってるから本来の実力を半分も発揮出来ていない選手が多数出ていたみたいだから完全に第一高校の術中ね。

 ギャンブルに近い戦術だけど、これによって第一高校全体の勝率が数割上がった・・・少なくとも今日中は確実に勝ちにいけるようになったのだからその成果は計り知れないわね。」

 

 前向きに話そうとしたけれど想定以上に状況が酷すぎて上手くいかないわね・・・。

 考えの整理にはなったから前には進んだでしょうけど・・・そもそもこう言うことはあまり得意ではないし・・・。

 

「二人そろって何を暗くなっておる?

 今度は愛梨にも御祓いが必要かの?」

 

「空気悪くなってるからもう少し楽しそうに食べな。

 てか、ほとんど手、つけてないし。」

 

 そういえば食事中なのを忘れていたわね・・・。

 そんな私の心を見透かしたような四十九院沓子と三浦優美子の二人が食事のトレーをもってあきれた声でコメントしつつ同じテーブルに合流した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

~沓子side~

 

 

 

 第三高校に入学して出来た友人は真面目が過ぎて肩の力の抜き方が下手な人間を寄り集めたかの様なメンバーで今でこそ見慣れたものの、最初はずいぶんと偏屈じゃのう、と半ば呆れることも少なくなかった。

 けどまぁ不器用なりに可愛げもあるしちょこちょこガス抜きさえしていれば良き友人になるのは間違いない、と半ば保護者気取りで居ったのじゃが想定外の事態で栞が折れてしまった。

 とは言え重傷とまではいかないと思ったし大丈夫かと思ったら栞の復帰と同時に愛梨も不調と来た。

 保護者気取りは荷が勝ちすぎだったかのう・・・?

 とは言えこのまま放置するのも・・・と考えて居ると栞が愛梨を慰め始めた・・・が、一緒に暗くなってどうするんじゃ。

 

「いろはにかっこつけてしもうた手前、どうにかせんといかんしのう・・・。」

 

「沓子、いろはにあったし?

 そう言えば来てるって聞いてたし。どうだった?」

 

 心の声が漏れておったか。

 

「今日のピラーズブレイクを一緒に観戦しとったのよ。

 愛梨が言う天才的なオーラは確かに感じんじゃが・・・いろはの友達周り全員大概じゃったぞ?

 特に小町、あやつは特級でヤバい。あくまでも私の勘じゃがの。」

 

「私的にはただのブラコンって印象なんだけど、ヒキオがアレだし沓子の勘は馬鹿に出来ないっしょ。

 で、いろはに愛梨がどうにかするって見栄でも張った?」

 

 全力であさっての方向を見たけどまぁお察しじゃろうな。

 

「・・・てか、ここでぐだってても向こうどんどん煮詰まるだけっしょ。」

 

 そう言って愛梨のテーブルに向かう優美子。仕方ない、腹をくくるとするかのう。

 

「二人そろって何を暗くなっておる?

 今度は愛梨にも御祓いが必要かの?」

 

「空気悪くなってるからもう少し楽しそうに食べな。

 てか、ほとんど手、つけてないし。」

 

 本当にろくに手をつけとらん・・・。

 

「して、愛梨よ。比企谷とかいうのは直接対戦するわけでなし、エンジニア担当として相手するのはむしろ私なんじゃが何でそんなに唸っとるんじゃ?」

 

「ブロック表見る限りピラーズブレイクもヒキオの担当に当たるのあーしじゃん。

 決勝の事はあがってから考えればいいっしょ?」

 

 その指摘通り優美子はピラーズブレイクに出場しており、明日は比企谷選手がエンジニア担当の北山雫さんと当たる事になる。優美子は今日も危なげなく勝ち上がっているため、明日の予選最終戦は目下話題の人物と対戦となる。

 優美子抜きにこの話をするのはある意味お門違いとも言えようか。

 

「実際のところ、エンジニア相手に出来ることはあまりないのだから気にするだけ無駄・・・ではあるけれど、どうしても気にはなってしまうわね。」

 

「考え過ぎ・・・と言うよりかは考えんでいい事を考えすぎじゃの。

 後、コレは勘に過ぎないんじゃがの。あの比企谷とかいうの、危なっかしい何かを感じるのよ。」

 

 私の勘はよく当たるものの、過程が中抜けになるから上手く説明が出来ないのが難題じゃのう。

 

「ヒキオが何かやらかす、ってこと?」

 

「いや、どっちかというとなんかしくじりそうな予感がするんじゃ・・・。

 なんでじゃろうな?」

 




期間があいてるのに新キャラ描写で難しくてグダついたタコがおります。
私です。

本当に長らくお待たせしました。

タイミング悪く新キャラ描写でしたが、内容的に3校ポジションからの今の九校戦が描写できたので整理は出来たかと。
出来てるよね・・・?

私がわちゃわちゃしてる間に魔法科高校のアニメ2期の話が出て(正直諦めてたのでうれしい限り)俺ガイル終わって、最終章アニメ決定して・・・とイベントだらけですね・・・。いや、めでたい。(いや書けよ俺

さて、長くなりましたが何が言いたいのかと良いますと。

「一色いろは誕生日おめでとうございます!(1日遅刻)」


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