9人の少女と生き別れた姉弟   作:黒 雨

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皆さんこんばんは、黒雨です。
スクフェスのスペシャルBOXを頑張ってるのですが、なかなか激推し称号が来ないです(泣)。
それではどうぞ!


花丸ちゃんとの負けられない戦い

「え・・・鞠莉が戻って来た?」

 

 

家に帰ってきた僕は今日あった事を姉さんに伝えた。姉さんは大きく動揺していた。

 

 

「うん。浦女の理事長として千歌ちゃん達のスクールアイドル活動をダイヤさんに邪魔されないようにするためとか言ってたかな」

 

 

「鞠莉は千歌達のスクールアイドル部を承認したの?」

 

 

「まだ承認されたわけでは無いけど、体育館を満員にしたら人数問わず承認するらしいよ」

 

 

「ふ~ん、そうなんだ」

 

 

姉さんはそれを聞いて窓から見える淡島の海を見つめていた。

 

実は、姉さんには言ってないけど僕は鞠莉さんに浦女に戻って来た本当の目的を聞いていた。

 

 

~~~

 

 

「鞠莉さん。1つ聞いていいかな?」

 

 

「何かしら?」

 

 

「鞠莉さんが浦女に戻って来た本当の理由ってなに?千歌ちゃん達のスクールアイドル部のサポートするためだけじゃないよね?」

 

 

「・・・・・・相変わらずユウには隠し事は通じないわね」

 

 

「隠しているなら無理して言わなくてもいいよ」

 

 

「ユウになら話してもいいわ。私が戻って来た本当の理由は果南とダイヤとの時間を取り戻すためよ」

 

 

「・・・そうだったんだ。でも今の状態だととても難しいと思うけど。」

 

 

「えぇ。でも、たとえ難しくてもあの時の時間を取り戻せるなら私は何だってするわ。もちろん、この事は2人には内緒よ」

 

 

~~~

 

 

「何だってする・・・・・・か」

 

 

僕の中にはその言葉が強く残った。

 

 

次の日、そろそろ新しい本が欲しいと思った僕は沼津の本屋に来ていた。面白そうな本が無いか探していると、今読んでいる作家の新作が発売していた。それを手に取ろうとすると、僕の手と僕じゃない違う人の手が同時に本に触れた。

 

 

「やっぱり祐さんもこの本を手に取るズラね」

 

 

と横から声が聞こえたので顔を横に向けると、花丸ちゃんだった。

 

 

「だって僕の中では最近ハマっている作家の新作だからね。これは買わざるを得ないよ」

 

 

「それはマルも同じズラ。でもこの本は1冊しか無いみたいだから、ここはマルに譲って欲しいずら」

 

 

「いやいや。流石に花丸ちゃんのお願いでも譲る訳にはいかないよ」

 

 

僕達が1歩も引けない状況の時、

 

 

「花丸ちゃ~ん。もう本は決めたの?ルビィは決めたよ!」

 

 

とルビィちゃんが買う本を持ってやって来た。でもルビィちゃんは、今の僕達の状況が分からず困惑していた。

 

 

「え?花丸ちゃん。それに祐さんも。これは一体どういう状況なの?」

 

 

「僕達は今、絶対に負けられない戦いを始めようとしているんだ」

 

 

「そうズラ。だからルビィちゃんはここから少し離れた場所で待ってるずら」

 

 

僕達にそう言われ、ルビィちゃんはこの場から少し離れた。

 

 

「じゃあそろそろ始めようか、花丸ちゃん。僕はいつでもいいよ」

 

 

「こっちも準備OKずら。絶対この本はマルが買って帰るずら」

 

 

「・・・じゃあいくよ。ジャーン!」

 

 

「ケーン!」

 

 

「ポン!」

 

 

僕達はこの本が欲しいという思いを手に込めてジャンケンをした。結果は・・・・・・花丸ちゃんが勝利した。

 

 

「マルの勝ちずら♪」

 

 

「・・・そうだね。悔しいけど、この本は花丸ちゃんに譲るよ」

 

 

「ありがとズラ。この本が読み終わったら祐さんも貸してあげるずら」

 

 

「ありがとう」

 

 

こうして本をかけたジャンケンは花丸ちゃんの勝利で終わった。

 

 

本屋を出て帰ろうとすると、

 

 

「花丸ちゃ~ん!祐君~!」

 

 

と千歌ちゃんが大きな声で呼びながらやって来た。

 

花丸ちゃんの隣を歩いていたルビィちゃんは後ろに隠れてしまった。

 

 

「どうしたの?千歌ちゃん」

 

 

「ライブのお客さんを呼び込む為に、チラシ配りをしてるの。はい、3人にも」

 

 

と言って千歌ちゃんは、持ってるライブのチラシを僕達にくれた。

 

 

「ライブ?」

 

 

「うん。花丸ちゃん達も来てね」

 

 

「ライブやるんですか!?」

 

 

隠れてしゃがんいたルビィちゃんが急に立ち上がった。でも、人見知りだからすぐにまたしゃがんでしまった。

 

すると千歌ちゃんは、

 

 

「絶対に満員にしたいんだ。だから来てね。ルビィちゃん」

 

 

とルビィちゃんの正面に回ってチラシを渡した。

 

 

「じゃあ私、まだ配らなきゃ行けないから!」

 

 

と言って戻ろうとすると、

 

 

「あぁぁ、あの!グループ名は何て言うんですか?」

 

 

とルビィちゃんが勇気を振り絞ったかのように質問した。

 

確かに、渡されたチラシを見ると日時と場所が書いてあるだけで、肝心のグループ名がどこにも書いていなかった。

 

 

「グループ・・・名?」

 

 

「まさかグループ名を決めてないの?」

 

 

僕が尋ねると、千歌ちゃんは自分が持ってたチラシを見て、

 

 

「アハハ・・・忘れてた。当日までには決めるから!」

 

 

と言って曜ちゃんと梨子ちゃんの元へ戻っていった。

 

 

「2人はどうするの?日曜日、ライブ見に行くの?」

 

 

僕は花丸ちゃん達に尋ねた。

 

 

「ルビィは行くよ!」

 

 

「ルビィちゃんが行くならマルも行くずら。祐さんはどうするの?」

 

 

「僕も行くよ。この日で千歌ちゃん達スクールアイドル部の承認の結果が決まる日だからね。おっとそろそろ帰る時間だから。またね、花丸ちゃん。ルビィちゃん」

 

 

と言って僕は花丸ちゃん達と別れた。




ありがとうございました。
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