春休みが終わり、また学校が始まると思うと憂鬱な気分になりそうです。
それではどうぞ!
来る日も来る日も2人は少女の家を訪ねた。だが、少女は2人の前には姿を現さず、
「帰って下さい」
と冷たく言われて追い返される日が続いた。
おっとりとした子は、
「もう辞めよう。私達が何回行ったって( )ちゃんはもう家から出て来ないよ」
と諦めるように言うが、天真爛漫な子は、
「ダメだよ。私達で絶対に( )ちゃんを家から出すよ」
と前向きに答えた。
そんなある日、2人は少女の部屋の前で名前を呼びかけると、初めて部屋のドアが開き、少女が姿を現した。
少女は部屋に引きこもってからまともに食事も取っていなかったのか、その体は最後に会った時よりひどくやつれていた。
そんな姿に、2人は驚きを隠せずにいた。
「帰って下さい。私は1人になりたいのです」
と少女は、ドアを閉めてる時と同じように答えた。
「そういう訳にはいかないよ。( )ちゃんのそんな姿を見て放っておけるわけないよ」
「そうだよ( )ちゃん。早く何か摂らないと」
「私の事はご心配無く。自分の体の事は自分が一番分かっています」
と少女は答えるが、2人には少女が強がっているようにしか見えなかった。
すると、少女の体が急にふらつき、膝をついて座り込んでしまった。天真爛漫な子は急いで少女の元に駆け寄った。
「大丈夫( )ちゃん!?」
と心配するが、
「ご心配無くと言った筈です。だからもう私の事は放っておいて下さい!」
と少女は突き放すように答える。
「大丈夫な訳ないじゃん!そんな状態じゃ( )君が悲しむに決まってるよ!」
と亡くなった少年の名前を挙げると、
「貴方に・・・・・・貴方に弟の何が分かるというのですか!分かってるかのような口ぶりで言わないで下さい!」
と少女は今まで溜めていた感情を爆発させたかのように声を荒らげた。そんな少女にドアの近くにいたおっとりとした子は驚いて涙を隠さずにはいられなかった。
「弟は・・・・・・( )は私を助ける為に自らを犠牲にしたのです。もし私があの時速く避難していれば弟はこうならずに済んだのかもしれない。私のせいで弟は・・・・・と思うと自分自身が許せなくなるのです・・・」
自分自身を責める少女の目には涙が浮かべてあり、少女はその場で泣き崩れた。
2人は少女の元に寄り添い、そっと静かに抱きしめた。
「ごめんね。( )ちゃんがそんなに大きな事を抱えてるなんて知らなくて。でも大丈夫。もう1人で抱え込まなくていいんだよ。だって私達は友達なんだから。悩み事や考え事があるなら相談にのるよ。だからさ、もっと私達を頼ってよ」
「私達だけじゃ力不足かも知れないけど、その時は周りを頼ればいいよ。だからもう1人で考え込まないで」
「二人共・・・ありがとうございます・・・」
と少女が言った途端、少女はその場に倒れてしまった。
長い間食事を摂っていなかったため、栄養失調となり病院へ運ばれた。
後日、病院から退院した少女は、引きこもりを辞めて元通りに学校へ登校していた。学校へ向かう少女の顔には笑顔が戻っていた。
すると辺りが真っ白になり、何も見えなくなったところで僕は目を覚ました。
「・・・・・・何だか随分長い夢を見ていた気がする」
僕はそう感じた。握ってる手を見ると、やはりその手にはペンダントがあった。
「いつもそのペンダント持ってるよね」
と急に横から声がした。顔を横に向けると、姉さんの姿があった。
「うん。でも僕には分からないんだ。どうしてこれを持っているのかを」
「ふ~ん。まぁとにかく、早く朝ご飯にするよ。祐も早く学校行く準備して降りてきてね」
と言って姉さんは下へ降りていった。
「は~い」と答えた僕は準備した後、さっきまで見てた夢をノートに書き留めて、下へ降りて朝食を済ませ、学校へ向かった。
放課後、僕は図書室にいた。理由は対決に勝利した花丸ちゃんが買った本が読み終わったらしいので僕はその本を借りに来ていた。
「はい、約束通りずら」
「ありがとう花丸ちゃん。早速帰ったら読むとするよ」
と言って帰ろうとすると、
「やっぱり部室出来てた!スクールアイドル部承認されたんだよ!」
ルビィちゃんが走って図書室に入ってきて嬉しそうに花丸ちゃんに伝えた。
「良かったね~」
「うん!あ~またライブ見られるんだ~」
「ルビィちゃんはスクールアイドル部に入らないの?」
僕はルビィちゃんに聞いてみた。
「でもルビィは・・・」
と言おうとすると図書室のドアが開き、ルビィちゃんが反応して隠れてしまった。
「こんにちは~」
と言って千歌ちゃん達が大量の本を持ってやってきた。
「あ、祐君に花丸ちゃんと、ルビィちゃん」
ルビィちゃんは扇風機の後ろに隠れていたが、すぐに千歌ちゃんに見つかってしまった。
「よく気づいたね~」
と曜ちゃんは感心していた。
「これ部室にあったんだけど、図書室の本じゃないかな」
と言って梨子ちゃんは本の山を花丸ちゃんに見せた。
「多分そうです。ありがとうございます」
と言おうとした瞬間、千歌ちゃんが急に花丸ちゃんとルビィちゃんの手を掴んで、
「スクールアイドル部へようこそ!」
と勧誘を始めた。
「千歌ちゃん・・・・・・」
「また始まったよ」
後ろで僕達は呆れたように言った。
「結成したし、部にもなったし、決して悪いようにはしませんよ~」
「その発言から悪いような気がする・・・・・・」
「え~!ちょっと祐君、それどういう意味~!」
「そのまんまの意味だよ」
「私的にはちゃんとした勧誘なんだけど、あっ、そんな事より花丸ちゃん。ルビィちゃん。2人が歌ったら絶対キラキラする。間違いない!」
と千歌ちゃんの勧誘に2人は戸惑っていた。
「千歌ちゃん。強引に迫ったら可哀想だよ」
「そうよ。まだ入学したばかりの1年生なんだし」
と曜ちゃんと梨子ちゃんが止めた事で何とか千歌ちゃんが引き下がった。その後、千歌ちゃん達は練習があるので、図書室を後にした。
「スクールアイドルか・・・・・・」
ルビィちゃんがそう呟くと、
「やりたいんじゃないの?」
花丸ちゃんがルビィちゃんに尋ねた。
「でも・・・・・・」
「ダイヤさんでしょ?」
僕はルビィちゃんにそう聞いてみた。
「・・・・・・はい。そうなんです」
「ダイヤさん?」
花丸ちゃんが僕達に尋ねた。
僕は花丸ちゃんに話した。ルビィちゃんの複雑な心境の理由を。
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