スクフェス感謝祭の情報を見てると、現地に行きたくなってしまいます。
それではどうぞ!
千歌ちゃん達Aqoursが東京へ行ってから次の日、僕と姉さんはいつもと変わらず、家の手伝いを終えてテラスで休憩をしていた。今日は千歌ちゃん達がイベントを終えて東京から戻ってくる日。どんな顔で戻ってくるのかとても心配だ。するとそこへ、1つの人影が近づいてきた。僕達はそっちへ振り向くと、ダイヤさんだった。
「こんにちわ。果南さん」
「ダイヤじゃん。今日はどうしたの?」
「少し顔を見に来ただけですわ」
「あはは、まぁゆっくりしていきなよ」
「ならそうさせていただきます」
ダイヤさんはそう言って席に座った。
しばらく経った後、ダイヤさんが口を開いた。
「・・・今日はあの子達が戻って来る日ですね」
「・・・そうだね」
「結果はどうなると思いますか?」
「どうだろうね。成功したらいいけど、失敗したらもう後戻りが出来なくなるかもね」
「・・・そうですね。あの子達には私達と同じようになって欲しくはないのですが。ではそろそろ皆が帰ってくる時間なので私は迎えに行ってきます」
「ねぇダイヤ。お願いがあるんだけど、もし千歌達が戻ってきたら私達のことを話してほしいの」
「分かりましたわ。ではさようなら」
ダイヤさんはそう言って、帰っていった。
帰っていくのを見た姉さんも立ち上がって何処かへ行く準備をしていた。
「祐。私、夜になったら用事があるからちょっと外に出るね」
「いいけど、何処か行くの?夜から雨が降る予定なのに」
「・・・鞠莉の所へ行ってくる」
「・・・分かったよ。雨が強くなる前に戻ってきてね」
「ありがとう。じゃあ行ってくる」
と言って姉さんは走っていった。
陽も沈んでいき暗くなる頃、僕に電話が入った。相手は善子ちゃんからだった。
「どうしたの?」
「・・・何で今まで隠してたのよ。祐が生徒会長達のスクールアイドルを手伝っていた事」
声からして、少し怒ってるように感じた。
「・・・ごめんね隠してて。僕がその事を話したら、きっと千歌ちゃんは僕を勧誘しにくると思ったから言わなかったんだ。僕にはもう手伝える資格なんて無いから」
「じゃあ私達が東京へ行くと聞いていて何で止めなかったのよ」
「本当は止めたかったよ。でも、心のどこかで成功するんじゃないかと思う自分がいたんだ」
「・・・そう。ごめん、いきなり問いただして」
「善子ちゃんが謝ることないよ。悪いのは僕さ。こうなる事を考えてたなら、早く止めるべきだったよ。じゃあもう切るね」
僕は善子ちゃんとの電話を切って家に飾ってある写真に目を向けた。姉さんとダイヤさん、そして鞠莉さんが笑顔で一緒に写ってる写真だ。それを眺めて姉さん達のスクールアイドルを振り返っていた。
確か始まりは・・・
~~~~~
「ねぇ祐。実はね私達スクールアイドルを始めようと思うんだ」
「スクールアイドル?」
「うん。それでね、スクールアイドルになって学校の廃校を阻止したいんだ」
「へ~そうなんだ。頑張って姉さん。僕は姉さんの事を応援してるから」
「ありがとう。あと祐にお願いがあるんだ」
「お願い?」
「私達のスクールアイドル活動の手伝いをして欲しいの」
「手伝いなんて僕やった事ないよ」
「大丈夫だよ。きっと何とかなるから」
「何とかなるって言われても・・・できる限りなら手伝うよ。でも、スクールアイドルって何?」
「まさか祐さんはスクールアイドルを知らないんですの!?では今から祐さんと鞠莉さんにその素晴らしさを教えて差し上げますわ!今すぐ私の家に変更です!」
「え~私このままbackhomeしたかったのに~」
「何を言っているんですか!スクールアイドルをするには知識も重要です!」
~~~~~
そしてあの後、ダイヤさんの家でひたすらμ'sのライブDVDを見てたんだっけかな。今思えばあの頃はスクールアイドルの厳しさなんて何も知らなかった。それはまるで右も左も分からず海を渡っているようだった。そして辿り着いた場所はとても波が荒れていて、3人はそれを渡りきる事が出来ずに沈んでいった。僕はそれを見ているだけで何も出来なかった。いくらでも手を伸ばす事が出来たのに。
「結局、僕は逃げているだけか・・・」
そう思いながら僕はテラスに出た。外は、雨も降っていて風も強い。そのせいで海も少し波が高くなっている。
その時、それを見ていた僕にある事が頭に浮かんだ。
「荒れる海・・・・・・沈んでいく船・・・・・・瓦礫で身動きが取れない少年・・・・・・少年を助けようとする少女・・・・・・」
何でその夢が急に頭に浮かんだのか分からないが、次の瞬間、
「うっ!?」
急に頭痛が起きて、その場にしゃがみ込んでしまった。
その状態の時に何故かは分からないが、ポケットに入れていたペンダントを握り締めていた。
やがて頭痛が治まり、僕には額からの汗と疲労感が強く残った。
「はぁ・・・はぁ・・・何でいきなりあの夢が・・・」
しゃがみ込んだまま考えていると、
「祐!」
僕の名前を呼ぶ大きな声が聞こえた。顔を上げると、姉さんが走って帰ってくるのが見えた。姉さんは家に着くと、すぐに僕の元へかけ寄ってきた。
「姉・・・さん・・・」
「祐!どうしたの!?」
「ちょっと・・・疲れてめまいがしただけだよ」
「嘘言わないで!」
姉さんがそれを言った時、僕は一瞬驚いた。
「私は今とても怒ってるの!祐が今まで隠していた事に!私達が今までどれだけ一緒に過ごしてきたか分かるでしょ!祐が1人で悩んでいる事を私が分からないとでも思った!?」
姉さんは怒っているが、その目には涙があった。
「私はもっと祐に頼られたかったの・・・。知らないと思うけど、祐はいつも夢にうなされてるんだよ。そんな祐を私は心配で仕方なかった・・・」
知らなかった。姉さんがそんな事を思っていたなんて、
「もう1人で抱えないで周りを頼ってよ・・・」
姉さんは最後に消えそうな声でそう言った。こんなにも姉さんを心配させていたなんて・・・それに気づかない僕は大馬鹿者だな。
「今まで自分の問題だと思って姉さんには言わなかった。それが逆に姉さんを不安にさせていたなんて思わなかった。本当にごめん」
それを聞いていた姉さんは僕を抱きしめ、
「それを聞けて、私は嬉しいよ」
静かにそう呟いた。その顔には笑顔が戻っていた。
ありがとうございます。
コメント、評価、誤字などがありましたらお願いします!