9人の少女と生き別れた姉弟   作:黒 雨

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こんばんは、黒雨です。
ついに始まりますね3rdLIVE。
現地参加は出来ませんでしたが、ライブビューイングで参加する事が出来ました!
それではどうぞ!


衝突

「離して!離せと言ってるの!」

 

 

「いいって言うまで離さない!強情も大概にしておきなさい!」

 

 

3年生の教室の周りには人だかりが出来ていて、教室内では、姉さんと鞠莉さんがもみ合いの大喧嘩な状態となっていた。

 

 

 

「ダイヤさん。どうしてこうなったのですか?」

 

 

「実は、鞠莉さんが果南さんの衣装を持って来て勧誘をしていたのですが、果南さんがその衣装を外へ投げ捨てた事から始まりました」

 

 

「・・・なるほど、鞠莉さんも強引過ぎますよ・・・でも、このままだとどんどん下級生が見に来てここの周辺が混乱しますよ」

 

 

「そうですわね。早く2人を止めないと・・・」

 

 

「とにかく、まずは2人を引き離しましょう。ダイヤさんは鞠莉さん、僕は姉さんを」

 

 

「分かりましたわ」

 

 

話がまとまった僕とダイヤさんは教室に入った。

 

教室内ではまだ姉さんと鞠莉さんの喧嘩は収まっていなかった。

 

 

「たった1度失敗したくらいで、いつまでもnegativeに!」

 

 

「うるさい!いつまでもはどっち?もう2年前の話だよ!大体今更スクールアイドルなんて!私達、もう3年生なんだよ!」

 

 

2人は喧嘩で周りが見えていなかったため、僕とダイヤさんは作戦通りに、後ろに回って2人を引き離す事が出来た。

 

 

「姉さん。少し落ち着いて」

 

 

「祐!離して!」

 

 

「姉さんが落ち着くまで離すつもりは無いよ」

 

 

「鞠莉さんもおやめなさい!みんな見ていますわよ!」

 

 

「ダイヤだってそう思うでしょ!?」

 

 

「やめなさい!いくら粘っても果南さんは再びスクールアイドルを始めることはありませんわ!」

 

 

「どうして!?あの時の失敗はそんなに引きずることなの?千歌っち達だって、再スタートを切ろうとしてるのに!なんで!」

 

 

「千歌とは違うの!」

 

 

「姉さんも静かに!」

 

 

いくら引き離しても、2人は口喧嘩をして一向に収まる気配が見えない。すると、そこへ3年生の人混みを抜けてきた千歌ちゃんが目の前に出てきた。

 

 

「千歌?」

 

 

姉さん達が気づいた時には既に遅し。千歌ちゃんは大きく深呼吸をして、

 

 

「いいかげんに・・・しろーーー!」

 

 

と大声で叫んだ。その大声は周りのざわついていた声を一瞬で静かにさせた。

 

 

 

「もう!何かよく分からない話を!いつまでもずっとずぅっとずぅーっと隠してないで、ちゃんと話しなさい!」

 

 

「千歌には関係な・・・」

 

 

「あるよ!」

 

 

「いや・・・ですが・・・」

 

 

「ダイヤさんも!鞠莉さんも!祐君も!4人揃って、放課後部室に来てください」

 

 

「いや、でも・・・」

 

 

「いいですね!?」

 

 

「・・・はい」

 

 

千歌ちゃんがまとめた事で、この場は収まった。

 

放課後、部室に行く途中で姉さんと出会った。

 

 

「・・・一緒に部室へ行こ?」

 

 

「・・・うん」

 

 

僕の誘いに姉さんは静かに頷いた。部室に向かう途中で、

 

 

「祐、朝の事はごめん・・・」

 

 

姉さんは静かに謝った。

 

 

「別に気にしていないよ。あの状況だと周りが見えてないのが普通だからね」

 

 

そう話しているうちに部室へ着いた。姉さん達は2年ぶりに入ることになる。既に僕と姉さん以外の皆は集まっていた。

 

 

「だから、東京のイベントで歌えなくて・・・」

 

 

「その話はダイヤさんから聞いた。けど、それで諦めるような果南ちゃんじゃないでしょ?」

 

 

「そうそう!千歌っちの言う通りよ!だから何度も言ってるのに」

 

 

「何か事情があるんだよね!ね?」

 

 

「・・・そんなものないよ。さっき言った通り、私が歌えなかっただけ」

 

 

千歌ちゃんの問いにも姉さんは1つも答えない。

 

 

「う~イライラする!」

 

 

「その気持ちよ~~く分かるよ!ほんっと腹立つよねコイツ!」

 

 

「勝手に鞠莉がイライラしてるだけでしょ?」

 

 

「でも、この前弁天島で踊ってたような・・・」

 

 

ルビィちゃんが花丸ちゃんと朝の事を思い出してると、姉さんは急に顔を赤らめてルビィちゃんと花丸ちゃんを睨んだ。

 

 

「え?もしかして姉さん、全然気づいてなかったの?」

 

 

「そりゃ後ろから追いかけられてるなんて気づかないよ!それに踊ってるところを見られてたなんて・・・」

 

 

「おお!赤くなってる!」

 

 

「うるさい!」

 

 

鞠莉さんの茶化しに姉さんは顔を隠しているところを、ダイヤさんは微笑ましく見ていた。

 

 

「やっぱり未練あるんでしょ?」

 

 

鞠莉さんがそう言った瞬間に姉さんが立ち上がり、

 

 

「うるさい!未練なんてない!とにかく・・・もう嫌になったの!スクールアイドルは・・・絶対にやらない!」

 

 

そう鞠莉さんに言い放って部室から出て行った。それを言われてとてもショックだったのか、鞠莉さんはずっと顔を下に向けていた。

 

 

「ダイヤさん。何か知ってますよね?」

 

 

静かに最後まで聞いていた梨子ちゃんがそう尋ねた。

 

 

「え!?私は何も・・・」

 

 

ダイヤさんはそう言いながらも梨子ちゃんから顔を逸らしているので、隠しているのがバレバレだった。

 

 

「じゃあどうしてさっき、果南さんの肩を持ったんですか?」

 

 

梨子ちゃんの追求に他の皆もダイヤさんに目を向けだした。

 

 

「ダイヤさん。どうやらこれ以上は隠す事は出来ないみたいですね」

 

 

「いえ、それでも私は・・・」

 

 

そう言った瞬間、ダイヤさんは立ち上がり逃げ出そうとしたが、

 

 

「善子ちゃん!」

 

 

千歌ちゃんがそう言うと、部室のすぐ近くで善子ちゃんによって捕まっていた。

 

 

「お姉ちゃん・・・」

 

 

「さすが姉妹ずら・・・」

 

 

花丸ちゃんの言葉からして、ルビィちゃんも捕まったんだなと僕は思った。

 

 

「わかりました!言いますから、早く離してください!」

 

 

とうとうダイヤさんは隠す事を諦めた。

 

 

善子ちゃんに離してもらった後、

 

 

「祐さん。私は皆に私達の事を話すため、皆を家に連れて行きます。・・・果南さんの事を・・・頼みましたわよ」

 

 

ダイヤさんは僕にそう言って皆を連れて部室をあとにした。

 

 

「姉さん・・・3人の問題を今日で終わらせるよ」

 

 

1人になった部室で僕はそう呟いて、部室を出た。

 




ありがとうございます。
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