3rdLIVEはLV参戦でしたが、いつかは現地参加をしたいと思いました。
それではどうぞ!
今日は沼津に多くの人が来て賑わっていた。何故なら今日は年に一度の花火大会。毎年行われる沼津の大きなイベントの1つだ。そして今日はその最終日、何とゲストとしてAqoursがステージでライブをする事に決まった。やはり急上昇中のスクールアイドルだからか、今年は例年以上に人が集まっている。
僕は本来、一般の席から見る予定だったのだけれど、鞠莉さんの粋な計らい?のおかげか、関係者の席で見ることになった。
ライブが始まるまでまだ時間があるから、僕は席に着いて、ステージから見える海を眺めていた。するとそこへ、姉さんがやって来た。
「海を見ていたの?」
「うん。始まるまで時間があるからね。姉さんこそどうしたの?皆はもうライブの準備をしているよ」
「私はもう後衣装を着るだけだから、隣いい?」
姉さんはそう言って僕の隣に座った。そして2人で同じ景色を見ていた。
「ありがとね祐。背中を押してくれて。本当に私は祐に助けられてばっかりだね」
姉さんは僕の肩に寄り添ってそう言った。
「感謝をするのは僕の方だよ。もう見れないかと思ってた姉さん達の歌って踊る姿をまた見れるのだから」
姉さんの顔が少し赤くなっていた。
「・・・もう//祐ったら//お世辞でも私は嬉しいよ」
「お世辞じゃないよ。僕はスクールアイドルで歌って踊っている姉さんが大好きだよ」
すると、姉さんの顔がさっきよりもどんどん赤くなっていって頭が茹で上がっているようだった。
「じゃ、じゃあ//そろそろ時間だから私はもう行くね!」
と言って姉さんは逃げるように控え室へ戻っていった。
~~~~~
本番前、お客さんがステージに集まりだした。それをAqoursの皆はステージの端から顔を出して見ていた。
「うわ~、凄い数のお客さんだよ」
「ホントだ。私、大丈夫かな・・・」
「ル、ルビィ・・・緊張してきた・・・」
「ルビィ。深呼吸しなさい。そうすれば緊張もほぐれていきますわ」
「す~・・・は~。ありがとうお姉ちゃん」
「さぁ!気を強く持っていきますわよ!」
「そうだよルビィちゃん。ダイヤさんの言う通りずら」
「お姉ちゃん・・・花丸ちゃん・・・うん!」
「ククク・・・ヨハネの魅力に惹き付けられてリトルデーモン達が集まって来たようね」
「お客さんはリトルデーモンじゃないずら」
「ちょっと!そこはノリに乗りなさいよ!」
「嫌ずら」
「は~いそこまで。善子も花丸もcooldownよ♪」
「・・・ふふっ」
「どうかしたの、果南?」
「いや・・・賑やかだな~って」
「・・・そうね。あっ、そういえば果南。さっき外から戻ってきた時、凄く顔がburningだったけど何かあったの?」
「・・・特に何も」
「ホント~?まさかユウにburningな言葉でも貰ったの?」
「ち、違うから//!」
「別に隠さなくてもいいじゃない。ユウってば意外と鈍感なところがあるのだから」
「みんな~。そろそろ私達の出番だから円陣組もう!」
千歌ちゃんの言葉に他の8人が集まって円を組んだ。
「それじゃ行くよ!私達9人での初めてのステージ!Aqoursーー」
「サーンシャイーン!!」
~~~~~
ついにAqoursのステージから始まった。曲は2年前に姉さん達が作った曲だった。お互いを思いやって1度は離れ離れになってしまったけど、こうして再び戻ってきて同じ夢を新しい仲間と一緒に追いかけている姿を見ていると、僕の眼からは涙が落ちていた。
「・・・良かったね、姉さん」
僕は静かにそう呟いた。そして、Aqoursのステージが終わると、新しいAqoursを祝福するかのように特大の花火が打ち上がった。
花火大会が終わり、道は帰る人でいっぱいのなか、僕はステージ裏へ向かっていた。ステージ裏に着くと、
「祐~!」
と言いながら姉さんがハグをしてきた。いきなりの事だから支える事が出来ず尻餅をついてしまった。
「お疲れ様、姉さん。凄く良かったよ。ステージ上での姉さん、楽しそうだった」
「ありがと」
「姉さんはどうだったの?今日のライブ」
「私はとても嬉しかった。もう一度、こうして鞠莉やダイヤとスクールアイドルをやれた事が。もう出来ないかと思ってたから」
姉さんは涙ぐんで答えた。
「それに、祐のお願いも叶える事が出来たから。聞いたよダイヤから」
「ダイヤさん・・・。姉さんに言ってたのか・・・」
「ねぇ祐。私は祐のお願いを叶えた訳だから、祐も私のお願いを叶えてくれるよね?」
「余り無茶なお願いは無理だよ」
「分かってるよ。じゃあ言うね」
姉さんはそう言って僕から少し離れた。
「私の願いは、祐にもう一度私達のスクールアイドル活動を手伝ってもらうこと」
姉さんのお願いに、僕は一瞬考えてしまった。2年前に、あの事が起きるかもしれないことは分かってたかもしれないのに、それでも僕は何もする事が出来なかった。そんな人がもう一度すると同じ過ちを繰り返してしまうかも知れない。
「・・・どうして?」
「祐が私の歌や踊りを見て嬉しかったように、私も祐に歌や踊りを見てもらえて嬉しかったの。それに聞いたよ。1年生の3人がスクールアイドルに入ったのは、祐が後押ししてくれたからって。だから、Aqoursにとって祐は必要不可欠な存在なの」
「・・・姉さんは僕の事を買い被りすぎだよ。あの時だって危険だと分かっておきながらも僕は止める事が出来なかった。その結果、姉さん達を離れ離れにしてしまった。そんな僕にもう一度Aqoursのスクールアイドル活動を手伝う資格なんて無いよ」
「過去の事を引きずるつもり?」
「え・・・」
「祐は私に今を楽しめと言ったのに、自分は過去に囚われるの?」
「それは・・・」
「今度は私が祐を前へ後押しする番。だから、この先の未来を楽しもうよ。私達と一緒に」
そう言って姉さんは手を差し伸べた。
よく考えたら、1番前に進めてなかったのは、姉さん達ではなくどうやら僕だったみたいだ。いつまでも過去の過ちに囚われ逃げていた。でも、姉さんの差し伸べられた手を見て僕は決心した。もう過去には囚われずに前に進もうと。
「・・・また迷惑をかけるかもしれないけど、そのお願い承りました」
そう言って僕は姉さんの手を握った。
「これからもよろしくね、祐」
僕の答えに姉さんは笑顔で返した。
こうして僕は、Aqoursのマネージャーとなった。
ありがとうございました。
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