9人の少女と生き別れた姉弟   作:黒 雨

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こんにちは、黒雨です。
知らない間に、4thLIVEの一般抽選が終わっていたので後悔してます・・・。
それではどうぞ!


悩みと占い

絵馬を買った僕は椅子に座って願い事を書いていた。

 

 

「(Aqoursがラブライブで優勝出来ますように)っと。こんな感じでいいかな」

 

 

書き終えた僕は、本堂で御参りをしてから絵馬をかけた。自分で絵馬に書いたAqoursの文字を見て、

 

 

「皆は元気にしてるかな・・・。何の了承も得ずに自分の意思だけでこうやって来ているから」

 

 

といった心配が頭に浮かべながら絵馬の前で佇んでいた。

 

 

すると、

 

 

「お困りのようやねぇお嬢さん。よかったらその悩みをウチに聞かせてくれないやろか?」

 

 

後ろから声が聞こえた。お嬢さんと言っていたから自分の事じゃないと思って無視していた。

 

 

「えぇ!?ちょっと無視やん!そこで絵馬を見てるお嬢さん!君や君!」

 

 

「まさか・・・お嬢さんって僕!?」

 

 

僕は思わず後ろを振り向いて心の声が漏れてしまった。後ろでは、紫色の長髪をした女性が立っていた。

 

 

「やっぱ海未ちゃんや~ん。もう酷いわ~ウチの事を無視するなんて~」

 

 

僕はこの人を知っている。でもこの人は僕を海未姉と間違えている。

 

 

「あの~希さん?僕は海未姉じゃないんですけど・・・」

 

 

「え、嘘やん?でも顔は海未ちゃんやし・・・あれ?でも海未ちゃんは自分の事を僕なんて今まで一度も言わへんかったし・・・じゃあ君は誰?」

 

 

ようやく希さんは僕が海未姉じゃない事に気づいてくれた。

 

 

「僕の名前は園田青夜です」

 

 

「園田青夜・・・あ~!もしかして君が海未ちゃんの弟?穂乃果ちゃんとことりちゃんから君の事を聞いていたけどホンマに海未ちゃんと瓜二つなんやね~。でも、君は確か行方不明な筈やけど」

 

 

希さんはそう言って僕の周りをまわりながら僕をマジマジと見ていた。これは、色々話さないと理解されそうもないなと思ってこれまでの経緯を話した。

 

 

「ふむふむ、なるほど~。つまり君は最近まで記憶を失っていてそれをようやく思い出したという訳やね」

 

 

「まぁそういうところですね」

 

 

話し終えると希さんが急に疑問を僕に問いかけた。

 

 

「最初に君に言ったことを覚えてる?」

 

 

「僕を海未姉と間違えた事ですか?」

 

 

「違う違う。その後の言葉や」

 

 

「えっと・・・確か(よかったらその悩みをウチに聞かせてくれないやろか?)でしたっけ?」

 

 

「そうそう。ウチは君を海未ちゃんと間違えたけど、君が悩んでいる事は当たってると思うんやけど」

 

 

「どうしてそう思ったんですか?」

 

 

「ウチにも分からんよ。カードが教えてくれたから。ウチに隠し事なんて通じんよ」

 

 

そう言って希さんは持ってたカバンからタロットカードを取り出した。希さんには何も隠せないと確信した僕は全てを打ち明けた。

 

 

「・・・ここに戻って来る前は既に自分の意思は決まっていたんですよ。でもいざ戻って来ると、昔とは大きく変わっていた。結局、止まっていたのは自分の時間だけなんだと思いました。そんな僕に7年分の時間を埋めれる自信が無くて・・・」

 

 

「今の周りの現状が受け入れられないと」

 

 

「そう言うことですね・・・」

 

 

「本当に君ら姉弟は見ためだけでなく中身も同じやね」

 

 

希さんが急に変わった事を言い出した。

 

 

「僕が海未姉と同じ?」

 

 

「そうやで。これは穂乃果ちゃんとことりちゃんから聞いたことやけど、海未ちゃんは君が行方不明となってから今の君と同じように周りの全てを受け入れる事が出来ずに家から1歩も出て来なかったらしいんよ」

 

 

「あの海未姉が・・・」

 

 

「でも2人が手を差し伸べたから海未ちゃんは今もこうして君のいなかった時間を過ごせたと思うよ。海未ちゃんにとって2人は大切な親友やね」

 

 

希さんはそう言って穂乃果ちゃんとことりちゃんを褒めていた。僕にはふと疑問が浮かんだ。

 

 

「希さんはあの2人からどれだけ僕や当時の海未姉の事を聞いたんですか?」

 

 

「それはな~実はここだけの話やけど。ウチが昔の海未ちゃんや君の事を気になったのはある曲を作ってた時なんや」

 

 

「ある曲?」

 

 

「そう。それもウチら9人だけが知っていて、当時の音ノ木の生徒やファンも知らない曲、ウチら1人ずつの個性で出来たソロ曲があるんや。その中にある海未ちゃんの曲がなんというか、自分ともう1人の誰かに向けたような歌やったんや。海未ちゃんに聞いてみたけど何一つ教えてくれんかったから幼馴染の2人に聞いて海未ちゃんの過去と君のことを知ることが出来たんや。はい、これが海未ちゃんの曲が入ったCD」

 

 

そう言って希さんは鞄からCDを取り出して僕に渡してきた。何か凄い情報を聞いたような感じがした。まさかのダイヤさんも知らない情報を得るとは思わなかった。

 

 

「どうしてこれを僕に?皆の秘密なんですよね?」

 

 

「この曲は君にも聴いて欲しいな。それを聴けば君の悩みも解決するかも知れへんし、当時の海未ちゃんの思いも分かるかもやから。ウチに出来ることはここまで。後は自分の手でやるだけや」

 

 

希さんはそのまま帰路へと向かっていって帰る間際に、

 

 

「あと、ウチは応援してるよ。君がサポートしているスクールアイドル」

 

 

と言い残していった。

 

 

「・・・僕がAqoursのサポートしてるなんて、さっきの会話で一言も言わなかったのに・・・。占いの力凄い・・・」

 

 

僕は希さんの占いの凄さをしみじみと感じた。




ありがとうございます。
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