ライブ映像などを見てると自分もブレードが欲しいなと思ったりしています。
それではどうぞ!
海未姉の歌詞の意味を理解出来ずのまま、僕は家に着いた。もう一度曲を聴きたいが海未姉がいるから途中で止められるかも知れない。それだと知ることが出来ない。どうすれば・・・
「おかえりなさい、青夜。家の前で立ち尽くしてどうかしたのですか?」
ふと顔を見あげたら海未姉が目の前にいた。
「あ、ごめん。ちょっと考え事してて」
「・・・そうですか。考え事もいいですが、それは家の中でも出来るじゃないですか。とにかく夕飯も出来ているので早く上がって下さい」
そう言って海未姉は奥へと進んで行った。
「バレてはない・・・かな」
僕はそう思い聞かせて家に入った。
夕飯を終えた僕は部屋に戻ってこれからどうするの考えていた。そして考えた結果、
「こうなったら、本人に直接聞くしかないか・・・」
と決まって、海未姉に会いに居間へ向かった。だが、居間には海未姉の姿は何処にもなかった。
「あれ・・・?いつもならこの部屋にいたけどな・・・」
僕はそう思いつつ辺りを見回す。すると、居間の近くにある廊下の縁側で夜空を眺める海未姉の姿があった。すると海未姉がこっちに気づいた。
「青夜。もしよければこちらで話をしませんか?」
「・・・うん」
その言葉に僕は少し頷いて海未姉の隣に座った。
午前中の蒸し暑さとは違って涼しい風が吹く夜。僕と海未姉はそんな夜風にあたりながら縁側から雲ひとつない夜空に浮かぶ月を眺めていた。そんな僕らを月が照らしていた。
「こうして貴方と一緒に夜空を見るのはいつぶりなのでしょうか・・・」
「まぁ・・・随分と長い時間が経ったからね」
「今思い出すと、青夜が生まれた日もこんな綺麗な夜空だったんですよ。生まれたばかりの貴方を見た私は自分がもう1人いると思いましたよ。そして成長していく度に私と似てきているから周りからは双子と勘違いされたり、私を青夜と間違えられたりしたのですから」
「僕だって海未姉と間違えられたよ。それにしても双子と言われた時はびっくりしたよ。僕達は7才も年が離れてるのに」
昔を思い出しながら僕は海未姉と談笑をしていた。談笑しながらも僕はいつ聞こうかとタイミングを伺っていた。すると、
「青夜。何か言いたげな顔をしていますが何か聞きたいことでもあるのですか?」
タイミングを探っていたはずなのに海未姉に見破られた。何故いつも直ぐにバレるのだろうか・・・
「実はね・・・今日、神社に行ってたら希さんに出会ったんだ」
「希に・・・ですか」
「うん、そこで僕と海未姉は見た目だけでなく中身まで似ていると言われてね、希さんから色々な話をを聞いたんだ」
「そう・・・ですか」
「それでこれを貰ったの」
僕は持っていたCDを見せた。
「これは・・・私の曲、まさかもう内容は・・・」
「うん、曲は聴いたよ」
そう言うと、海未姉は顔を隠してしまった。こうなる事は何となく予想していた。
「海未姉、僕が聞きたいのはここからなんだ。この曲の歌詞ってどういう意味を込めて作ったの?」
僕は率直な疑問を海未姉に聞いた。海未姉は少し考える仕草をした後、静かに話し出した。
「・・・希から聞いた通り、私は貴方がいなくなってから全てを失ったように過ごしてきました。私にとって貴方はたった1人の大切な弟です。そんな貴方を失った私には生きる理由がない。そうして自暴自棄となっていった私は自分の部屋からも出なくなり、両親や穂乃果達にも顔を合わせなくなりました。そんな日々を過ごしていたら、いつの間にか不思議な夢を見るようになりまして」
「夢・・・?」
「はい、それはまるであの日の続きを見るような夢でした。船が沈み、離れ離れになった2人の少年少女。少女がどうなったのかは分かりませんが、少年は船の沈んだ後に浮かんだ漂着物で海を漂流し続け、無事に島に流れ着き、そこで助けられた人と過ごしていくといった内容でした」
それを聞いて、僕は自分が見た夢を頭の中で振り返った。
「待って、それって僕が今まで体験してきた事じゃ・・・」
「はい。そして貴方が見ていた夢は私が今まで現実に起きた出来事です。記憶が戻る前にあなたが言っていた話を聞いた時は内心とても驚いていました。穂乃果やことりにこの事を話すと、2人共自分の弟ように泣きながらも私を後押ししてくれました」
「つまり僕達は・・・」
「私達はお互いの未来を夢で見ていたのです。たとえ離れ離れになろうと夢で繋がっていたのですよ。そして私はこの事を詩に書き留めておいていたのですが、μ'sでソロ曲を作ろうと決まった時に、私は貴方が生きていることを信じてこの詩を歌にしました」
海未姉がこんなにも僕の事を思っているなんて想像しなかった。
「・・・ありがとう、海未姉。歌詞通りに咲いたと思うよ。未来の花」
「ふふっ、そうですね」
「じゃあ僕はそろそろ寝るね。おやすみ、海未姉」
「えぇ、おやすみなさい」
そう言って僕達はそれぞれの部屋へと戻った。部屋で僕はカレンダーを見た。明日は内浦へ戻る日。僕には決断を迫られる時間がすぐそこまで近づいてきていた。
ありがとうございました。
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