9人の少女と生き別れた姉弟   作:黒 雨

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こんばんは、黒雨です。
ラブライブ9周年おめでとうございます!
自分がラブライブを知ったのは2年半前なので、もっと早く知りたかったと思っています・・・。
それではどうぞ!


輝き

ついにこの日が来た。今日はラブライブ地区予選当日。Aqoursのみんなと僕は会場の入口前にいた。

 

みんなの顔を見てみると会場に来る前の前向きな気持ちと違って不安そうな心境が伝わってきた。それは仕方ないことか。

 

数分前、会場の近くで僕たちはある待ち合わせをしていた。それは昨日の練習終わりにAqoursの練習を見ていた同じクラスのむっちゃん達が自分たちに何かできることはないかとたずねてきた。それで千歌ちゃんが当日に皆で一緒にステージ上で歌おうと提案したが、調べてみたらステージ上に上がれるのは事前に登録した人数だけで、他の人達はステージ上に近づくことすら禁止されていた。無論、僕もステージ上に近づくことはできない。それを聞いた千歌ちゃん達は不安そうな顔になっていた。むっちゃん達も励ますように客席から応援するからと言って千歌ちゃん達を見送った。千歌ちゃんも見送りに笑顔で応えて後にしたが、振り向いたときには先程の不安そうな表情に戻ってた。

 

 

そして入口前、皆が会場へ足を進めようとした時に僕は声を掛けた。

 

 

「みんな、頑張ってね。僕もステージ上には行けないけど、ちゃんと応援してるから。それに、きっとみんななら0から1にできると信じてる。だからライブ、楽しんできてね」

 

 

今、声を掛けたら逆にみんなの更なるプレッシャーになるかもしれない。それを恐れたが、

 

 

「ありがとう祐君!行ってくるよ!」

 

 

「ちゃんと私達のステージ見ててね!」

 

 

「ステージが終わったら感想を聞かせてね」

 

 

「祐さん、行ってくるずら!」

 

 

「ありがとうございます!行ってきます!」

 

 

「フッ、ステージのヨハネを目に焼き付けなさい!」

 

 

「勿論ですわ!浦女魂を見せつけてあげますわよ!」

 

 

「ありがとね、祐」

 

 

「YES!シャイニーなライブにして見せるわ!」

 

 

Aqoursのみんなは僕に一言ずつ残して会場へ走っていった。みんなが会場へ入った数分後に僕も会場へ入った。会場の客席からステージを見ると、360度の客席に囲まれた中心にステージがあった。

 

 

「さすが地区予選決勝の場所…今までのライブとは比にならないほどの規模だね。みんな大丈夫かな…」

 

 

何故かステージに上がらない僕が緊張してしまうほどの会場だ。決勝戦のアキバドームはいったいどんな景色なんだろう。そんな心配事をしていると、ライブの準備をしているはずの姉さんが近づいてきた。

 

 

「準備が終わったの?」

 

 

「うん、だから本番の会場を見に来たんだよ」

 

 

姉さんは僕の隣に立って二人で同じ会場を見ていた。

 

 

「姉さんは緊張してる?」

 

 

「そうだね、でもそれ以上に楽しもうと思ってるよ。鞠莉やダイヤとまたスクールアイドルが出来て、千歌たちが新しいAqoursを作ってくれて、そして祐が私たちを助けてくれたから私も頑張ってこれたんだと思うよ。だから祐、ありがとう。見ててね、私たちのステージ。あとこれを祐に持っててほしいの」

 

 

そう言って手に持っていたものを僕に渡してきた。

 

 

「これは…シュシュ?」

 

 

「うん、それは梨子ちゃんが東京に行ってた時に地区予選に出る私たちにそれぞれの色で送ってくれて、私のは緑色で、今持っているその藍色は祐のだよ。祐が眠っている間に地区予選で私のと一緒に着けて出たんだ」

 

 

「そうだったんだ、ありがとう姉さん」

 

 

「ふふっ」

 

 

すると姉さんがふと笑みを見せた。

 

 

「どうかしたの?」

 

 

「ちょっとね、祐はもう記憶が戻ってるのにまだ私のことを「姉さん」と呼んでくれるのが嬉しくて。私と祐は血が繋がってなくて、それに祐には本当の姉がいるって祐もわかってるのにね」

 

 

「そう?僕は姉さんと海未姉、二人とも大切な姉だよ。たとえ姉さんと血が繋がっていなくても僕の姉だったことには変わらないよ。だから姉さん、これからも松浦祐をよろしく。姉さんたちAqoursが決めた道を僕はついていくから」

 

 

僕が話し終えて姉さんを見ると、姉さんの目元から涙がつたっていた。

 

 

「あははは…おかしいね、涙が止まらないよ…ライブ前なのに泣かせないでよ…」

 

 

「ごめんね、でも姉さん。前より何だか涙腺が緩くなってない?」

 

 

「もう…祐のバカ」

 

 

姉さんはそう言いつつも、僕の隣から離れずに涙を拭っていた。僕も拭い終わるまで待っていた。やがて、姉さんが泣き止み、

 

 

「じゃあ、私ももう行くね。あの時おいてきたものをもう一度取り戻しに行ってくるよ」

 

 

「いってらっしゃい、姉さん」

 

 

「うん、行ってきます」

 

 

姉さんはそう言って控え室に戻っていった。

 

数分後、Aqoursのステージが始まった。

 

 

「今日は、皆さんに伝えたいことがあります!それは、私たちの学校のこと!町のことです!」

 

 

それからAqoursの皆がこれまでに歩んできた道のりとこれからの自分たちだけの道を歩んでいくことを浦女の全校生徒とお客さんに演技で伝えた。

 

そして最後に披露した曲では、皆の持っていたペンライトが集まってまるで光の海ように、海が恐怖に感じる僕も思わず、

 

 

「綺麗…」

 

 

とつぶやいてしまうほどの景色だった。

 

すると、

 

 

「みんな!一緒に輝こう!」

 

 

千歌ちゃんの叫びが会場中に響き渡ると、その言葉に心を動かされた浦女の生徒たちがステージ近くでAqoursの皆を応援して、Aqoursのパフォーマンスは終了した。

 

 

「自分たちだけの道へ進んでいくために必要なもの…まさしく(MIRAI TICKET)だね」

 

 

僕はそう考えると席を立って会場前に戻ろうとすると、

 

 

「あの、もしかしてAqoursのマネージャーをされている方ですか?」

 

 

と後ろから声が聞こえた。

 

振り向くとそこには、眼鏡をかけて帽子を深くかぶっていた人がいた。

 

 

「はい…そうですけど」

 

 

と単調に答えると、

 

 

「Aqoursのステージ感動しました!地区予選の動画を見てからファンになりました!もしよろしければ、取材させていただけませんか!?」

 

 

といきなりの取材を申し込まれそうになったが、ぼくが答えをだす前に、会場を離れようとする人ごみによってインタビュアーの人が流されてしまった。

 

 

「あっ、ちょっと、待って、ダレカタスケテーーーーー!」

 

 

 

流される人ごみの中からインタビュアーさんの声が聞こえていたがどこかに行ってしまった。

 

 

「…何だったんだ?」

 

 

色々ありすぎて追いつかなくなった僕はその人を諦めて、結果発表される場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございます。
次回からは2期に入っていく予定です!
評価、コメント、誤字などがありましたらお願いします!

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