9人の少女と生き別れた姉弟   作:黒 雨

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お互いを知る方法

姉さんの案でドッジボールをしてみたが成果はあまりなかったので、少し図書室に集まって休憩することにした。そして花丸ちゃんが仲良くなる方法として読書を提案した。

 

 

「は~。やっぱりここが一番落ち着くずら」

 

 

「うん。そうだね!」

 

 

「フフッ。光で汚された心が闇に浄化されていきます!」

 

 

ドッジボールから少し時間は経過したが、善子ちゃんの顔に残ったボールの跡はまだ消えていないので、1年生の2人はまだ笑いをこらえずにいた。

 

       

「何よ!聖痕よ!スティグマよ!てか、アンタたちはいつまで笑ってるのよ!」

 

 

「だって善子ちゃん。まだ跡が残っているから」

 

 

そう言って僕は保健室にあった手鏡を善子ちゃんに見せた。それを見て善子ちゃんは大きくため息をついた。しかし、そのため息は善子ちゃんだけでなく、後ろの机にいた3年生の方からも聞こえた。

 

 

「あ~…退屈…」

 

 

「そうだよ~海行こう海~」

 

 

「海なら直ぐにでも行けるでしょ?姉さんはあんまり図書室に行かないんだし、これを機に本を読んでみてもいいんじゃない?家には僕の読んでる本もあるわけだし」

 

 

「え~。でも祐の読んでる本難しいじゃん」

 

 

「これではどちらが年上かわからなくなりますわね…」

 

 

普段あまり本を読まない姉さんと鞠莉さんにはこの時間がすごく退屈なようだ。2人の読書に対する退屈さを解消するため、花丸ちゃんは読書の良さを伝えることにした。

 

 

「読書というのは、一人でももちろん楽しいずら。でも、皆で読めば本の感想が聞けて、互いのことが知り合えるから、もっと楽しいずら。それから…」

 

 

「ごめん花丸ちゃん。せっかく読書の良い点を伝えているところ悪いけど、もう姉さん達には届いてないかな」

 

 

花丸ちゃんが話している途中なのだが、2人は既に机と一体化してすでに夢の中だった。

 

 

「…寝てるの?」

 

 

「2人は長い話が苦手ですので…」

 

 

こうして、花丸ちゃんの案も成果があまりなく終わってしまった。これからどうすべきか、僕とダイヤさんとルビィちゃんで小さな会議を開いた。

 

 

「いうわけで、これらのことから分かったのは、アウトドアな3年生とインドアな1年生に大きく分かれてしまっているということですわね」

 

 

「これは、思ったより難航しそうですね。何とか曲作りを始められるようにしないと千歌ちゃん達を待たせることになってしまいますから」

 

 

「どうしようお姉ちゃん…」

 

 

「…こうなったら仕方ありませんわね」

 

 

「なにかいい案見つかりました?」

 

 

「お姉ちゃん?」

 

 

「ここはひとつ、お互いをさらけ出すべきですわ!」

 

 

ダイヤさんの大声。それは、会議に参加していない4人も視線をダイヤさんに向けた。

 

 

「さらけ出す?」

 

 

「そうですわ。そのために皆さんは私についてきなさい」

 

 

と言って、ダイヤさんは図書室を出ていった。それに続いて僕たちも図書室を後にした。

 

ダイヤさんの案、それは銭湯での裸の付き合いというものだった。皆は温泉に入っていったが、男の僕は当然無理なため、休憩室で皆の帰りを待つことにした。果たして3年生と1年生は仲良くなることができるのだろうか…

 

 

 

 

 

~温泉内~

 

 

「ダイヤ~。退屈だからもう上がろうよ~。それに裸の付き合いと言っても、温泉入ってるだけで他に何するの?」

 

 

「貴方は少し我慢なさい!それなら話題を挙げてお互いに会話したりするのはいかがですか?」

 

 

「ガールズトークというわけね。……それなら善子の恋愛事情とかはどうかしら?」

 

 

「どうしてそうなるのよ!」

 

 

「いいじゃな~い。もうマリー達は知ってる訳だし」

 

 

「はぁ!?何でそれを…。さては果南!アンタが言いふらしたのね!」

 

 

「言っとくけど私は何も言ってないよ。鞠莉は私が善子ちゃんに教えてもらったときより早く気づいてたみたいだし」

 

 

「マルは善子ちゃんと話してて何となく気づいたよ。だって善子ちゃん。祐さんの話題でマル達と話してると普段の会話と反応が違うから分かりやすかったずら」

 

 

「ルビィも…」

 

 

「アンタ達まで…」

 

 

「それで?どうなの善子?ユウにはいつ告白するの?」

 

 

「…一度告白しようとはしたわよ。でも…//」

 

 

「ユウの鈍感さと無自覚な行動で出来なかったというわけね」

 

 

「!?…そうよ」

 

 

「…祐さんも罪な人ずら」

 

 

「これはもう善子さんに同情しますわ」

 

 

「きっと果南に普段からのスキンシップを受けてるから、ユウもすっかりこういったことには慣れてるのかしら?」

 

 

「え?私のせい?違うからね。祐はどちらかと言えば初めて会った時から今のままだったし」

 

 

「じゃあどうすればいいのよ…」

 

 

「だったら善子も果南みたいに思い切ってユウにアタックしてみたらいいんじゃない?」

 

 

「果南みたいに?」

 

 

「何で私?」

 

 

「ほら、ユウは果南と一緒に過ごしているんだから。普段の2人を見て善子が果南みたいな行動をとれば、あの鈍感も少しは気付くかもしれないわよ?」

 

 

「…それよ!それならいける!感謝するわマリー!」

 

 

「Yes!Happyな結果を待ってるわ!善子!」

 

 

「ってことはこれから私はずっと善子に見られてるってこと?それはちょっと恥ずかしいな…」

 

 

「…3人で盛り上がるのは構いませんが、肝心の曲作りがまだ始まっていませんわよ?」

 

 

「あっ…」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~

 

 

数十分後、皆が温泉から戻ってきたが反応を察するにどうやらまだ困難が続きそうだ。さて、これからどうすべきか。今は雨が降っていて外で曲作りはできそうにない。何処か場所を確保することができないかと考えていると、花丸ちゃんが近くに知り合いのお寺があり、そこを貸してくれるとのこと。僕たちはそのお言葉に甘えて雨宿りも兼ねて向かうことにした。




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