9人の少女と生き別れた姉弟   作:黒 雨

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やがて一つに

曲作りを始めるにあたって1年生は歌詞を、3年生は音楽を決めて作ることにした。

 

 

「…とりあえず曲作りを始めるとして、歌詞は進んでいますか?」

 

 

「善子ちゃんがちょっと書いてるの、この前見たずら」

 

 

「何勝手に見てんのよ!」

 

 

「へ~やるじゃん!」

 

 

「Great!」

 

 

「フフフッ。良かろう、ではリトルデーモン0号よ。そなたが持ってるヨハネ様の聖書を他のリトルデーモン達に見せてやりなさい!」

 

 

「あーはいはい。えーっと確かこれだったかな」

 

 

ヨハネ様の命令?が下りたので、僕はカバンから善子ちゃんの歌詞ノートを取り出して開いた。それに皆が集まって見ていたが、何故か皆がノートを見て首をかしげていた。実は僕も歌詞ノートの中身を見てはいないので、皆が首をかしげてる理由がわからない。

 

 

「皆どうしたの?」

 

 

「なんて書いてあるのかわからないずら」

 

 

花丸ちゃんがそう指摘したので僕も中身を見ると、確かに文字は書いてあるのだが、善子ちゃんの好きそうな単語が並べてあり呼び方が分からない単語が多くあった。

 

 

「う、裏離聖騎士団(うらはなれせいきしだん)?」

 

 

「裏離聖騎士団(りゅうせいきしだん)!」

 

 

「この黒く塗りつぶされている所は何ですの?」

 

 

「ブラックブランク!」

 

 

「読めませんわ」

 

 

「ふん!お前にはそう見えているんだろうな!お前には!」

 

 

「誰にでも読めなきゃ意味ないずら」

 

 

「まぁそうなるよね…」

 

 

善子ちゃんの書いた歌詞を解読するのに苦労する中、ダイヤさんが妙な言葉を発した。

 

 

「そういえば、このブラックブランク。動きますわよ?」

 

 

「えっ?動く?」

 

 

すると、目の前の床を走ってるブラックブランク?が僕の視界に入った。

 

 

「あー…。ダイヤさん、それブラックブランクじゃなくて」

 

 

「お姉ちゃん。それ…!」

 

 

ルビィちゃんがブラックブランク?の正体を答えたとき、ダイヤさんの悲鳴が寺中に響き渡った。その瞬間、仏間を照らしていたろうそくの火が消えて辺りは何も見えない暗闇状態となってしまい、今度は皆の悲鳴が響き渡ることとなった。

 

暗闇から数分後、花丸ちゃんが再度ろうそくに火をつけたので灯りが戻りはしたが、皆は今日一日を振り返っているのか少し雰囲気が重い空間になっていた。

 

 

「一体私たち、どうなっちゃうの?」

 

 

「全然嚙み合わないずら…」

 

 

「このままだと、曲なんか出来っこないね…」

 

 

「So bad…」

 

 

「そんなに違うのかな…?ルビィ達」

 

 

「…違うと言われたら皆違うかな」

 

 

ルビィちゃんの一言に僕が答えた。すると皆が一斉に僕の方に向いた。

 

 

「別に大きく違うことが悪いと僕は思わないよ。だって皆はそれぞれ個性や良さを持っている。確かに色々と違うかもしれないけれど、やがて皆が集まって一つの個性になる。それがAqoursのいいところなんじゃないかなと僕は思ってるよ」

 

 

僕が話し終えると、どこからか水滴の落ちる音がした。

 

 

「雨漏りずら!」

 

 

「どうするの?」

 

 

「こっちにお皿あった」

 

 

姉さんが見つけたお皿を水滴の落ちる位置に置いてしのいだが外の雨はまだ止まないため、寺中の至る所に雨漏りが発生し始めた。

 

 

「今度はコッチ!」

 

 

「鞠莉さん。こっちにお茶碗がありましたわ」

 

 

「こっちにも頂戴!」

 

 

「善子ちゃん。これ使って」

 

 

「こっちも落ちてきたずら!」

 

 

「花丸ちゃん。お皿持ってきたよ!」

 

 

皆で対応に奮闘した結果、全ての雨漏り箇所に食器類を置くことで自分たちが濡れることの阻止はできた。すると天井から水滴が下の食器に向かって落ちてきて、その音が寺中に響き渡った。音は一つだけでなく食器を置いている至る所から色々な音が発生していた。落ちてくるタイミング、置いてる食器もバラバラだからか、それぞれ違った音が集まってまるで一つのメロディーを奏でるように僕たちには聴こえていた。

 

 

「テンポも音色も大きさも」

 

 

「一つ一つ。全部違ってバラバラだけど」

 

 

「一つ一つが調和して」

 

 

「一つ一つが重なって」

 

 

「一つの曲になっていく」

 

 

「マル達もずら」

 

 

そして皆は円陣を組んでお互いに笑顔を見せたあとに再スタートを切るかの如く、曲作りを始めていった。

 

 

「…これで二組のわだかまりも無くなったかな。今なら絶対ラブライブ予選を突破する曲が出来上がると僕は思っているんだけど、どう思う?」

 

 

そう言って僕はお寺に入ってから現在にかけて一連に起きていたことをずっと端から見ていた黒猫を抱きかかえて頭を撫でながら問いかけた。当然ながらそのことは猫に通じておらず、「にゃ〜」との鳴き声でしか返って来なかった。

 

こうして曲作りは次の日の朝日が昇り始める時間に完成して、僕たちはすぐさま千歌ちゃん達の待つ旅館へ走って向かい完成したことを伝えた。そして学校説明会とラブライブ予選、二つの曲が揃い練習を再開しようとしたその時、鞠莉さんの携帯に一本の電話が届いた。それは今のAqoursが乗り越えようとしてる問題に大きな影響を与えるものだった。

 

 




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