次の日、Aqoursの皆は抽選会場で抽選してる間、僕は淡島の頂上に登ってお参りをしていた。
「…Aqoursが予選で1番で歌えますように。そして、予選を通過できますように」
そう神頼みをして、頂上を後にした。そして姉さんから抽選が終わったとの連絡を受けて僕は集合場所である沼津駅のショッピングモールに向かった。そこのカフェでAqoursの皆を見つけたが、遠くから見てもわかるような重たい雰囲気が伝わっていた。どうやら神様は願いを聞いてはくれなかったようだ。
「えーっと…何番だったの?」
「…24番」
「1番から大きく離れているね…」
「どうするの!?24番なんて中盤じゃん!ど真ん中じゃん!」
「こればっかりは仕方ないね。抽選で決まったわけだからどうすることもできないし」
「でも、こうなった以上本気で考えないといけないね」
皆が抽選結果に悔やむなか、姉さんとダイヤさんが話を先に進むべく、皆が触れようとしなかった議題の核心に触れた。
「説明会かラブライブなのか」
「…どっちかを選べってこと?」
「そうするしかありません」
「そうなったら説明会ね」
「そうですね。Aqoursに興味を持って説明会に来てくれる人たちもいますから、その人達に披露した方が良いかと」
「学校を見捨てるわけにはいかないもんね」
僕と姉さんと鞠莉さんは説明会を、
「それはそうだけど…」
「今必要なのは入学希望者を集めること。効果的にはラブライブではありませんか?」
「たくさんの人に見てもらえるし」
「注目されるし」
「それもそうずら」
ダイヤさんとルビィちゃんと花丸ちゃんはラブライブ予選を選んで意見が二手に分かれた。
「じゃあどうするのよ?」
「学校説明会に出るべきだという人は?」
姉さんは多数決で決めようとするが、両方とも大切なことだから誰もが決められずにいた。
「…はぁ、どっちかだよ」
「姉さん…。催促したら余計に皆が答えられなくなるよ」
「でも早く決めないと時間もあまりないんだから」
「分かってるけど…」
「決められないずら」
「そうだよ。だってどっちも大切なんだもん。どっちも…とても…」
こうしてAqoursは説明会と予選、どちらかを選んでどちらかを切り捨てなければならない状況に陥ってしまった。しかし、どちらも皆にとっては大切な事だからどちらか1つだなんてすぐには決められない。そして答えが出ないまま今日は解散となった。
家に帰ると僕はリビングのテーブルに着いて説明会の原稿の続きを、その向かいの席で姉さんはダンスのフォーメーションや練習計画をノートにつづっていた。
「進捗はどう?確か説明会でスピーチするんだったね」
「う~ん…、まだいいものが出来たという感じではないかな。やっぱり僕自身から見た浦女の良さがうまく伝わってない感じがする…」
「祐から見た学校の良さか~…。それは私にもわからないかな」
姉さんもお手上げの言葉を言ったとき、僕がふと思った疑問を聞いてみた。
「姉さんはさ、どうして僕を共学化テスト生に誘うことを決めたの?」
「祐を誘った理由?……廃校から救うためかな。最初は学校が募集をかけていたんだけどなかなか集まらなくて。それに急だったからどんな人が来るかもわからないから不安っていう在校生からの意見もあったから先生たちは募集をやめようとしていたらしいんだよ。でもこのままだと廃校になるかも知れない。だから私は学校を救いたくて祐に勧めたんだよ。ほら、あの時の祐って自分のやりたいことが見つかっていなかったじゃん。それを浦女で見つけて欲しいと思って」
「なるほど…そうだったんだね。でも、不安の声をあげていた生徒たちはどうやって納得したの?体育館で自己紹介した時は反対してるような生徒がいなかったように見えたけど」
すると姉さんは言いづらそうに答えた。
「あー…。それはね、祐が男装している女の子に見えたんだって」
「えっ…。つまり自己紹介していた時は男の子じゃなく女の子だと思われていたってこと?」
「そうみたいだね。確かに初めて見た人は祐を女の子と間違えてもおかしくはないかも。だって祐と海未さん、二人共よく似てるもん」
「海未姉といた時はよく間違えられてたけど、まさか浦女でも同じことがあったとは…」
「入学前にもあったじゃん。小学生の時に。今でも思い出すと…フフフッ」
当時を思い出したのか、姉さんは笑いを隠さずにはいられなかった。それは小学生の頃にあった出来事で、姉さんたちが外で遊んでる中、僕と女の子の二人で遊んでいたのだが、どうやらその子は僕を姉さんの妹と勘違いしていたらしく、
「祐ちゃん、妹同士仲良くしよう」
と僕に言ったことが姉さんたちの耳に聞こえて、それを聞いていた姉さん達が大笑いし、真実を伝えたことで僕と女の子が赤面するという公にしたくない思い出だ。
「姉さんたちにとっては笑い話だけど、僕たちにとっては黒歴史みたいなものだから忘れて欲しいんだけど…」
「それは無理。少なくとも私とダイヤと鞠莉は絶対に忘れないからね」
姉さんに絶対忘れないと念を押されたことで、この話が永遠に語り継がれるのかという悩みが増えつつ僕はまた原稿を再開させていった。
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