「二つに分ける?」
「うん。5人と4人、二手に分かれてラブライブ予選と説明会、両方で歌う。それしかないんじゃないかな」
次の日になって千歌ちゃんから出た案は二手に分かれて歌うという内容だった。しかし、今までやったことがない挑戦と9人でないと説明会でAqoursの良さが伝わらないかつ予選が突破できないかもしれない不安から昨日と同じく全員の同意が得られずにいた。
「別れて歌ったらそれはAqoursといえるの?」
「それに5人で予選を突破出来るか分からないデース」
「嫌なのは分かるけど、じゃあほかに方法はある?」
梨子ちゃんの言葉に皆は返す言葉がなく、こうしてAqoursはラブライブ予選に千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃん、ダイヤさん、ルビィちゃんの5人、説明会に姉さん、鞠莉さん、善子ちゃん、花丸ちゃんの4人に分かれて歌うことに決めた。その一方で僕は生徒会室でスピーチの内容を考えていた。
「二手に分かれると決めてたものの、何だか全員の納得が得られていないような感じだったな。大丈夫かな当日…」
という不安を考えつつ作業をしていると、生徒会室の扉をノックする音が聞こえた。
「はい。どうぞ」
返答するとドアが開き、やってきたのは同じ2年生のよしみちゃん、いつきちゃん、むっちゃんの3人だった。
「3人共どうしたの?生徒会室に来るなんて珍しいね」
「実はさ、生徒会にお願いがあって来たんだけど」
「お願い?今はダイヤさんいないからすぐに通るか分からないけど、どんな内容?」
聞いてみたところ3人が生徒会室に来た理由は、説明会の準備を手伝わせてほしいとのことだった。
「僕は嬉しいけど3人はいいの?説明会は日曜日で生徒たちは休みだけど」
「いいのいいの。千歌たちが学校のために頑張っているのに、ただじっとなんてしていられないよ」
「そうそう。それに私たちだけじゃないから」
そう言っていつきちゃんが一枚の紙を僕に渡した。中を見てみると、一部生徒たちの名前が書かれてあった。
「これは?見たところ、全校生徒の半分ぐらいいるけど」
「私たちと同じように手伝いの参加を希望している子たちの名前。前の地区大会の時と同じように呼びかけて皆が集まったんだよ」
「凄い…!。こんなにもたくさん…!」
その数に思わず驚きが言葉に出ていた。初めは生徒会とAqoursの皆だけで説明会をするつもりだったが、これだけの人数が学校のために力になりたいと言ってきていることから、まだ全員が学校の存続を諦めてないんだと思い嬉しくなった。本来なら終わってから伝えようと考えていたが、すぐさま了承を得るべく、僕は練習中のダイヤさんに電話をかけた。そして用件を伝えたところ、
「もちろん構いませんわ!。是非ともよろしくお願いいたします!」
とのことで了承を得ることができ、それを3人に伝えると凄く喜んで生徒会室をあとにしていった。3人が出ていった後、すぐさま原稿用紙を取り出してスピーチの内容を書き進めていった。2学期が始まってすぐに伝えられた統廃合の知らせ、それに抗っているのはAqoursだけではなかった。ほかの生徒たちも学校を存続させるために力を貸してくれていることで、学校の皆で廃校から救おうとしている。そうして生徒たちが一つになって協力しあっていることに僕はこの学校のいいところだと感じた。それを説明会で来てくれる人たちに伝えるべく用紙に書き留めて、終わる頃には既に下校のチャイムが学校中に鳴り響いていた。すると生徒会室の扉が次はノックの音もなく開いた。
「祐いる?もう下校の時間だから帰るよ」
「せめてノックはしようよ姉さん」
「いいじゃん。どうせここにいるのは祐かダイヤだし。それに私も生徒会を手伝ったりしてるんだから」
「まぁそうだけど…。とりあえず迎えに来てくれてありがとう。準備するからちょっと待ってて」
そう言って帰る準備をして生徒会室を出て帰路についた。その帰り道でAqoursの両チームの状況を聞いてみた。
「姉さん達は今の所どうなの?説明会までには間に合いそう?」
「う~ん…。歌や振り付けは大丈夫そうだけど、やっぱり4人での不安が大きいかな。千歌達もそれは同じみたい。祐は?説明会で色々とやることが多いみたいだけど」
「僕の方はもう準備万端。学校の皆が手伝ってくれるおかげで当日は問題なく進行ができそうだよ。もちろん姉さん達のステージも最後にセッティングしてるから」
「ますますプレッシャーだね…。でも頑張らなくちゃ」
「流石の姉さんも緊張してる?」
「そりゃあね。二手に分かれるってことは、そこにいない子たちの分まで私たちが頑張らないといけないから。本当は9人で歌えれば良かったんだけど」
姉さんは少し不安そうな顔をしていた。やはり近くなるにつれ、この不安は大きくなっている。当日は皆大丈夫かなと僕自身も不安になっていくが、学校の皆も助けてくれるから失敗はできないと自分を奮い立たせる。各々が不安を乗り越えようとする中、当日である日曜日が少しづつ近づいていた。
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