双角猛る砂漠の暴君 その一
ラー「今日の依頼は?」
スーラと一緒に買い出しに行ってたラーはジョーから仕事がきたと連絡を受け、仕事の内容についてジョーに聞こうとしている。因みに連絡をとっているのは遠くの者と会話できる魔術道具、要するにそちらの世界でいう携帯電話である。
ジョー「あぁ、それなんだかよ…」
いつもの覇気のあるジョーの声ではなく、疲れきった様な声でラーに応対するジョー。
ジョー「暴走した獣宿しを倒してくれだとよ…気が進まねぇな同胞相手じゃ。」
ラー「お前笑いながら商人の獣宿し達をボコボコにしてたじゃねぇか。」
何言ってんだお前といった表情でそうラーは言う。
ジョー「今回は殺さなきゃ駄目なんだとさ。獣宿しの力は野蛮で危険だーとか言ってやがったぜ。」
覇気の無い声でジョーはそう言う。
ラー「その獣宿しに俺らけしかけて共倒れさせようとしてんじゃねぇの?その人。反獣宿し派の人だな確実に。」
疲れたような声でラーはそう言う。
ラー「依頼だっていうんだから仕方ねぇか。それでその場所って?」
ジョー「東大陸のナナシ砂漠にいるってさ。」
その言葉にラーは疑問を感じる。
ラー「何故そんな人里から離れたところにいるんだ?移動したからか?」
ジョー「さぁ?」
本当に必要最低限の事しか知っていないジョーに呆れつつ、一旦店に大陸を渡る準備をすることになった。因みにスーラは仕事の話に口を突っ込むなと言われているので黙っていた。そして今回は大陸を渡るという遠出なのでスーラも連れていくことになり旅行みたいな雰囲気で東大陸に向かった。依頼人から移動費をジョーが貰っていたのでラーも安心して出発した。
大陸と大陸の間は海で隔たれており、船を使って移動するのだが、ジョーは速攻で船酔いしていた。船の上で数時間過ごし、東大陸に到着。スーラははしゃいでいたがジョーはぐったりしており、ラーも獣宿しを殺さなければならないということで表情が暗かった。
ラー「それじゃあ行こうか…」
スーラ「おー!」
ジョー「おー…」
東大陸 ナナシ砂漠
ラー「着いたぜナナシ砂漠…」
ジョー「おー…」
スーラ「何で二人ともそんなにテンション低いの!?折角なんだから楽しもうよ!」
二人のあまりのテンションの低さにおろおろしながらスーラはそう言う。その言葉に二人は顔を見合せ、「そういやこいつにはまだ内容話してなかったな。」といった感じの会話を二人でして、スーラに今回の仕事の内容を話した。内容を聞いたスーラは表情が暗くなり涙目になっていてラーとジョーは困っていたが数分後に再び元気な表情に戻り、行動を再開したがそれはただの空元気だとラーとジョーは見抜いていた。しかし、だからと言って自分たちに出来ることはないので何も言わなかった。そんなことをやっている内にナナシ砂漠の中心辺りに来たラー一行。その視線の先には頭から一対の大きな角を生やし、両腕が翼に変化していて、ハンマーのような形状の尻尾を生やした人形の生物だった。
人型の生物「キィェェァァァァァァァァァ!!!」
人型の生物は聴いたことも無いような声、いや、咆哮を発した。
ラー「これは中の獣が体を乗っ取って本能のままに暴れている証拠だな。肉体が大分侵食されてる。」
スーラ「何であの人(?)はああなっててラー達は人間の姿のままなの?ラー達も獣宿しの体を乗っ取った獣なんでしょ?」
ジョー「俺達は宿主の知性と知識を利用して理性的に活動しているから人間としての肉体のままなんだ。」
そんな話をしているとこちらに気づいたのか人型の生物改め暴走した獣宿しはこちらに威嚇する。ラーは意にも介さず威嚇を無視すると眼の魔術で暴走した獣宿しを分析する。
ラー「肉体を乗っ取られる前は魔術を使えないただの一般人だったが8日前に獣宿しの術を使用し自分の身の丈に合わない獣を宿して即乗っ取られた訳か。飛竜種型か…特徴からしてディアブロスに間違いないな。ハァ、獣宿しの術はちゃんとした手順でやれば魔術の才能が無い奴でも後天的に宿せるからな…こういうことが増えて困るぜ…」
こちらに対して突進の構えをとっているディアブロスの獣宿しに対してラーはそう言いながら臨戦態勢に入り、ジョーはスーラを抱えて安全な場所へ連れていった。ラーはジョーがスーラを抱えて安全な場所へ行くのを見届けた後、改めてディアブロスの獣宿しに向き直った。
ラー「お前には悪いがこれも仕事だからな…殺しても恨むなよ…!」
そう言いながらラーは闘気硬化で腕を硬質化させディアブロスの獣宿しに向かって走り出す。一方ディアブロスの獣宿しもラーに向かって全速力で突進を行った。獣宿し二体の本気の闘いが始まる。
続く