朝…四人は村の入口にいた。
ラー「ハァ…仮説が衝撃的過ぎたな…」
ラーはあまり眠れなかったせいか少し疲れ気味でそう言った。
ジョー「真実とは限らねぇだろ。そんな簡単に獣宿しの謎が解明するわけがねぇ。」
同じくあまり眠れなかったせいでかなり不機嫌になっているジョーがそう返す。ジョーの言葉にラーもそれもそうかといった感じで納得していた。
スーラ「私はラー達みたいに暴走している訳じゃないけど…私はどうなるんだろう?」
ラー「あぁ…お前に宿っているバサルモスは飛竜種だがその中ではお世辞にも強いとは言えねぇしな。普通のガキであるお前が乗っ取られない理由はそれだが、わからんな…殺されても生き返るのは暴走している獣宿しだけなのか…それとも暴走していない獣宿しも復活するのか…何しろ前例がないからな。」
ジョー「そういやお前暴走していた頃の記憶は完全にないんだよな?」
元ディアブロスの獣宿し「はい…。」
ジョー「もうディアブロスの力は使えねぇのか?」
元ディアブロスの獣宿し「そのようです…獣が消滅したから当たり前かも知れませんが…」
ジョー「じゃあお前は魔術も使えん一般人に戻ったわけか。」
元ディアブロスの獣宿し「そうですね…」
ジョー「ふーん…」
と、そんな二人の会話を聞いたことで暫く考え込んでいたラーはいきなり肩を叩かれ少し驚いたようなリアクションをして振り向く。そこには明らかにイライラしているジョーがいた。
ラー「…どうした?」
なぜ彼が怒っているのか分からないラーはそう聞いた。それを聞いてジョーは一回舌打ちをして答えた。
ジョー「お前が考え込んでンのか何だか知らねぇけど呼び掛けに何の反応も示さなかったから俺たちだけで手続きとかやってきたんだよコノヤロウ。」
何だかんだラーは10分以上考え込んでいたようだ。
ラー「す、すまん。」
ジョー「お前そういうワケわからん事たまにするよな。」
あきれ顔のジョーがそう言いラーは少し恥ずかしそうにしていた。ジョーはそれをガン無視してラーを急かしていた。
ナナシ砂漠
炎天下の中、ラー、ジョー、スーラ、元ディアブロスの獣宿しの四人で荷車を押しながら歩いていた。
ラー「暑い…くそ、村の中はまだマシだったのに…」
ジョー「外に出てから急に暑くなったなぁ…」
スーラ「そうだね…あっ!」
ラー、ジョーと同じく暑がっていたスーラが急に大きな声をあげる。元ディアブロスの獣宿しは急に大きな声を出したスーラに少し驚き、暑がっている二人はうっとおしそうな顔をした。
ラー「今度は何だよ…暑いんだからあまり大声出さないでくれ。頭に響く。」
スーラ「あれ見て!あれ!」
スーラが少し興奮気味に空を指差す。
ジョー「あ?今俺らに熱波を浴びせてるクソ太陽はもう見飽きたっての。」
スーラ「そうじゃないよ!いいから見て!」
ジョー「ンだよ…」
ジョーは面倒くさそうにスーラが指差した方向を見る。そこには赤い彗星が飛んでいた。
ジョー「…何だありゃ…」
ラー「彗星…だなどう見ても。しかし、ここまで大きくハッキリと見えるとはな。あの彗星はこの砂漠の近辺に落下するな。」
元ディアブロスの獣宿し「彗星…ですか。珍しいことも有るものですね。」
ジョー「だな。」
そう言いながら歩を進める一行だが暫くするとあることに気づく。
ラー「なぁ…あれこっちに向かってきてねぇか…?」
ジョー「気のせいだろ…と、言いたいところだが…明らかに近付いてきているな。」
そんな話をしていると赤い彗星は異常なほどのスピードで突っ込んできてラー達一行のすぐ手前に着陸…というよりも激突した。その衝撃で多量の砂が巻き上がりラー達にかかる。
ラー「何なんだよ一体!?」
ラー達が前方を確認できる様になったとき、ラー達の目の前には異様な姿の生物が立っていた。
全身銀色の鱗の様なもので覆われていて上半身は裸、下半身は鱗と同じ銀色のズボンを履いている。頭には後頭部に向かって生える角の様なものがあり、背中には一対の翼を生やしていた。いや、翼というよりは何かの噴射機だろうか、普通の翼とは似ても似つかぬ形だった。
ラー「飛竜種型…いや…飛竜種型は飛行するとき腕を翼に変化させて飛翔する。四肢に翼…古龍種型か…!」
古龍種型の獣宿し「…。」
古龍種とは、道すがらの生態系を変え、地形を変え、存在するだけで人類に大打撃を与えるほどの災害を引き起こし、その戦闘力は一匹で小さな国を一つ滅ぼせるほど強力。まさに、生態系から外れた絶対的な存在。それが古龍種、伝説や古代の歴史にも名を残す謎の生物の総称。古より存在する怪物の総称。
古龍種型の獣宿しはその青い目でラー達をまるで品定めするかのように見つめた。そして…
古龍種型の獣宿し「キィィィィイイイイ!!!」
大型の鳥類の様な、しかし声量は比べ物にならないほど大きな咆哮をあげた。
ラー「眼(アイ)…獣宿し古龍種型…バルファルク…!」
砂漠三度目の…しかし前の二つよりも圧倒的に強大な相手との闘いが始まる。
続く