ナナシ砂漠
炎天下の砂漠で激戦が繰り広げられていた。
ラー「ぐぉあ!?」
吹き飛んだラーは地面の砂に激突する。しかし、すぐさま体勢を立て直して前方を見る。赤黒いエネルギー弾が飛んできたのが見えたので大きく横に飛んで回避する。その数瞬後、先程までラーが居たところに赤黒いエネルギー弾が着弾し、爆発した。
ラー「ちっ…スピードだけじゃねぇってか。」
爆発により発生した砂煙を払いながらラーはそう愚痴るように呟いた。そこへジョーが砂煙を払いながら走ってくる。
ジョー「よう、無事か?」
ラー「無事だけどこれから無事じゃ無くなりそうだな…こっちは病み上がりだっていうのによ。」
茶化すような口調で話しかけてきたジョーにラーは不機嫌そうにこたえた。
ジョー「にしても、どうする?古龍種なのにあの野郎俺の龍ブレスが効かなかったぞ。何なんだよあいつ。」
ラー「バルファルクってモンスターだ。超高空を縄張りにしてる古龍種らしいぜ。しかし、参ったな。龍属性が効かねぇのか。」
そう言いながらラーは前方を見つめる。そこには人型の姿をしているが、人間とは似ても似つかない存在が、こちらを見つめていた。その存在の両目は狂気に満ちていた。
ラー「とりあえずスーラ達の逃げる時間を稼がねぇとな。いけるか?」
ジョー「足止め位は余裕だが…問題は倒せるかどうかだな。」
そう言いながら二人とも構えをとる。
バルファルクの獣宿し「キィィィィイイイイ!!!」
バルファルクの獣宿しは甲高い鳥の様にも、何かの機械の様にも聴こえる咆哮を挙げ、背中に生えている何かの噴射口のような翼から赤黒いエネルギーを噴出させ、その推進力で此方に一直線に突っ込んできた。ラーとジョーは左右に別れてこれを避ける。バルファルクの獣宿しは翼の向きを逆方向に変え、自分の突進の勢いを殺して着地する。バルファルクの獣宿しは二人は何処に行ったのか確認するために後ろに振り向く。そこには赤いオーラを纏った拳がバルファルクの視界を埋め尽くしていた。思いきり顔面を殴られたバルファルクの獣宿しは数メートル吹き飛び大量の砂を巻き上げ地面に激突した。
ラー「…闘気硬化した拳の一撃。果たしてどのくらい効いたのか…」
ジョー「ま、あの一撃で終わるんなら苦労しないんだけどな。」
砂煙からシルエットが見えてくる。シルエットはどんどん鮮明になり、そして砂煙からバルファルクの獣宿しが何事も無かったかのように出てきた。姿を見る限り、特にダメージを受けてる様子はない。
ラー「…やっぱ一発当てた位じゃ大してダメージにはなんねぇか…」
ジョー「…しかし、龍属性が効かない古龍種とはな。」
ラー(龍属性は効かないか…なら他の属性はどうだ?雷属性が効いてくれると有りがたいんだが…)
ラーが思考を巡らせているとバルファルクの獣宿しが赤黒いエネルギー(龍気)を推進力にして二人に猛スピードで突っ込んできた。二人はそれぞれ逆方向に跳躍しこれを避ける。それを見たバルファルクの獣宿しは今度は翼の向きを変え、噴射口のような部位の先を二人へ向ける。
ラー「!!」
噴射口のような翼の先から龍属性エネルギーの弾が放出される。放出された龍属性エネルギーは弾丸のような速度でラー達に向かっていく。ラーは咄嗟に後ろに跳躍しギリギリこれを回避する。しかし、一瞬理解が遅れたジョーは直撃してしまう。
ジョー「ぐぁああああ!!!」
ジョーは数メートル吹き飛んだ後砂上に倒れる。
ラー「ジョー!!くそっ!」
ラーはバルファルクの獣宿しを睨み付ける。バルファルクの獣宿しはラーを見ながらまるでバカにしたようなにやついた顔をしていた。その顔を見たラーは怒りの表情を浮かべ、バルファルクの獣宿しに飛び掛かった。バルファルクの獣宿しは龍属性エネルギーを連射し、ラーを撃ち落とそうとする。しかし、ラーはその全てを闘気硬化した拳で叩き落とす。バルファルクの獣宿しは近付いてきたラーに翼を叩き付けようとする。ラーは自分に降り下ろされた翼に自らの拳を叩き込む。ラーの拳の直撃を喰らったバルファルクの獣宿しは一瞬仰け反った。ラーはその隙を逃さない。ラーは仰け反ったバルファルクの獣宿しに大雷弾による追撃を喰らわせ、その反動で後ろに後退し距離をとる。
ラー「…どうだ。」
その次の瞬間突然龍属性エネルギーが飛んできてラーに直撃する。
ラー「うぐぁあ!!」
吹き飛ばされそうになったラーだが空中で体勢を立て直して着地する。前を見ると、そこには目を血走らせながら此方を睨み付けるバルファルクの獣宿しの姿があった。
ラー「どうやら雷は結構効くみたいだな。」
少し笑みを浮かべながらラーはそう呟く。バルファルクの獣宿しはもう一度此方に龍属性エネルギーを放とうとしたが、それは横から飛んできた岩に阻止された。岩が飛んできた方向を見るとそこには口からドス黒い煙のような何かが出ているジョーが蹴り飛ばした物だった。
ラー「ジョー、生きてたか。」
ジョー「そう簡単に死ねるかっての。いや死ぬかと思ったけどさ。」
バルファルクの獣宿し「キィィィィイイイイ!!!」
ラー「おーおー、メチャクチャキレてるな。」
ジョー「恐い恐い。」
「おーい!!あそこだー!!!」
ラー「あ?」
突然聞こえた謎の声の方向を探すとそこには多数の人間がいた。全身鎧を着た者。身軽そうな服に杖を持っている者等様々である。ジョーはいきなり現れた者達にはてなマークを浮かべていたが、ラーは知っていた。
ラー「まぁそりゃあこんだけ大暴れすりゃあ来るよな軍の兵達が。」
ラー「おーい!!!今こいつがいきなり襲いかかってきて困ってんだ!!手伝ってくれ!!」
軍の兵「元よりそのつもりだ!!獣宿しを始末しろと言う命令で来たからな!!」
ラーの大声での呼び掛けに軍の兵も大声を出して答える。
ラー(俺達にディアブロスの獣宿しの討伐を依頼してきたババアは軍の兵達を動かせるほどの権力者だったか…。ディアブロスの獣宿しを俺達に殺させ、消耗した俺達を軍の兵達で始末する気だったのだろうが、今この状況一番獣宿しの様な見た目をしているのはあの銀色野郎だ。軍の兵も都合よく勘違いしてくれたぜ。利用させてもらおう…。)
続く