ラー「さて、利用するにしてもこいつらが果たしてどのくらいの実力があるのか…それが問題だ。」
ジョー「お前さっきから小声で何ブツブツ言ってんだ?」
ラー「ま、なるようになるか。」
ジョー「は?」
ラーは勢いよく駆け出しバルファルクの獣宿しに突っ込んでいく。バルファルクの獣宿しは突っ込んで来るラーに翼を槍のようにし、ラーを串刺しにしようとした。しかし、ラーは空中で身を捻り、避けようとする。槍の様な翼がラーを脇にかすったがラーはその翼をつかみ、背負い投げの様にバルファルクの獣宿しを地面に叩きつけ、直ぐ様距離をとった。
バルファルクの獣宿し「キィィィィイイイイ…!」
バルファルクの獣宿しは怒りの表情を…いや、顔は先程までと同じ張り付いたような笑みを浮かべているが、後頭部に伸びる角の様な部位から赤黒い煙の様なものが出ており目にも怒りの感情が宿っている。そんな状態で起き上がったバルファルクの獣宿しは翼の向きを変え、噴射口の様な翼をラーに向ける。ラーに向けて龍属性エネルギーが発射する瞬間、突然衝撃波の様なものがバルファルクの獣宿しを襲った。数メートル吹き飛ぶバルファルクの獣宿し。突然の攻撃で受け身がとれずそのまま砂上に倒れるが直ぐに起き上がる。しかし、その次の瞬間、バルファルクの獣宿しの体に透明の鎖のようなものが大量に巻き付いた。身動きがとれなくなったバルファルクだったが力ずくで引きちぎる。さすが古龍種といったところか。しかし、バルファルクの獣宿しが鎖を全て引きちぎった時にはバルファルクの獣宿しの視界は巨大な炎で埋め尽くされていた。
ラー「おーおー、思ってたより全然強いな。」
魔術師達の連携攻撃を見ながらラーはそう呟いた。
ジョー「あぁ、こりゃあお前が荷車で運ばれている状態で出くわしたら負けてた可能性あるな。」
ラー「…予定より三日も早く着いたからな。だれかさんのせいで。」
ジョー「おい、何で俺を睨むんだ。結果的に助かったんだから良しだろう。」
ラー「お前がそれを言うのか?」
バルファルクの獣宿し「キィィィィイイイイ!!!!!!」
ジョー「あ?」
ラー「何だ?いきなり咆哮を発して。」
二人はバルファルクの獣宿しが発した咆哮の意味は分からなかったが元モンスターの二人は何かを察したのか一気に警戒レベルを上げる。魔術師達も何が来るかと身構えていたがバルファルクの獣宿しがとった行動は飛行だった。ラー達に突進する低空飛行ではなく、空に向かって龍属性エネルギーを噴出し、飛んでいった。
魔術師A「…逃げたのか?」
魔術師B「流石に多対1は不利だと思ったか。」
ラー「…ただ逃げただけなのか…?本当に?」
ジョー「撤退でも逃亡でも移動してくれたなら好都合だエネルギーの使いすぎで腹へってたんだ。」
ラー「…それもそうだな。それと避難させたスーラ達を迎えにいかねぇと。」
と、はなしをしていたら、遥か上空を赤い尾を光らせながら飛んでいたバルファルクの獣宿しが急に反転し、どう見ても此方に向かって突っ込んできている。
ラー「全員今すぐ逃げろぉ!!」
ラーの叫びを聞き一斉にちりぢりになって逃げ出す。それから三秒…もたっていないだろう、それぐらいの短い時間でバルファルクの獣宿しは砂上に勢いよく激突した。巻き上げられる砂と共に砂漠に巨大なクレーターが作り上げられた。ラーはその光景を見て少し冷や汗を書いた。
ラー「おいおい…超高度から地面にぶつかってるのにほぼ無傷かよ…しかもできたクレーターを見りゃ誰でも威力は察しがつくな。なるほどこれが古龍種か…数千数万というほどの途方もない年月を生き抜けたのも頷ける。そりゃあ敵わねぇわけだ。」
周りを見てみれば魔術師達が複数倒れていた。恐らく逃げ遅れたのだろう。しかし、幸いにも直撃を喰らったものはおらず、ミンチ肉がその辺に転がってたりはしなかった。
ラー(さっきの一撃で半分近くの魔術師達がやられたな。これはキツいな…。)
と、考えを巡らせていたラーだったがバルファルクの獣宿しはまた直ぐに上空へ飛び立った。再びラー達はその場から逃げようとするが、その必要はなかった。バルファルクの獣宿しは何を思ったか別の場所に行ったようだ。
ジョー「今度こそ行ったか?」
ラー「そのようだが…何故今頃になっていきなり…」
ジョー「移動する前何か不審な行動とかしてたか?」
ラー「俺は不審な行動とかは見てないが…いや、移動する直前何故かあいつ誰もいないところをじっと見つめていた。」
ジョー「じゃあそれに誘われて行ったんじゃねぇの?」
ラー「余り腑に落ちないが…まぁ今は助かって良かったって思うべきだな。」
ラー「…おい!お前ら!」
魔術師達「?」
ラー「お前らはこのあとどうする?」
魔術師T「一旦街に戻って報告する。」
ラー「お前らの言う街って王都サンバナか?」
魔術師T「そうだが、それがどうした。」
ラー「荷車に伸びたお前らの仲間乗せてってやる一応役にはたったしな。」
魔術師T「上から目線なのが気に入らんが、感謝する。」
ジョー「おう。」
それからラー達は倒れている魔術師達を回収した後、スーラ達を迎えに行き、スーラ達も荷車に乗せ、王都を目指した。二時間はかかると踏んでいたが魔術師達の魔術で荷車をかなり軽くしてもらい、砂漠の暑さをある程度遮断してもらったため一時間もかからずに到着した。
ラー「さて、依頼人の元へ行くとするか…」
ジョー「あぁ、魔術師達をけしかけやがって、許せねぇ。」
スーラ「やり過ぎないでよ?」
ラー「分かってるよ。」
続く