ラージョー異世界物語   作:雀蜂@マスアタック

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風翔龍

クシャルの体から暴風が巻き起こり部屋の中を白く染め上げる。

 

ラー「風強すぎだろ…!前みえねぇ…」

 

暴風によりラーは目を開けることすら出来ない。

 

ラー「お前ら!!吹き飛ばされたりしていないか!!!」

 

暴風の中仲間に叫ぶもこの風ではおそらく聞こえないだろう。しかし、暴風は突然止み、つんざくような寒さが全身を襲った。

 

ラー「…!?」

 

何事かと思い目を開けるとそこには一面の雪景色があり、腕を組んだクシャルがこちらを見つめていた。

 

ラー「何だこりゃあ…」

 

ジョー「雪山?」

 

スーラ「私たちの部屋じゃない…!?」

 

クシャル「私の魔術の一つ、空間創造の魔術だ。この雪山は私が作り出した。」

 

ラー「獣宿しが魔術を…!?」

 

クシャル「なに、我々なら造作もない事だ。宿主の肉体をちょいと弄くって魔術を使えるようにしてやったんだ。」

 

ラー「本当古龍ってメチャクチャだな。」

 

ジョー「というよりもこの世界の魔術って奴にこんなヤバいのもあるなんて思わなかったがな。」

 

そういいながらジョーは辺りをよく見渡す。自分達三人とクシャルを除いてあの部屋にある物は一つとして見当たらなかった。

 

ジョー「空間を作り出して引きずり込むなんて随分大掛かりじゃねぇか。」

 

挑発気味に発言してみたがクシャルはまるで意に介さない。

 

クシャル「我々古龍種の力は目立つものが多い。私も力を使うときは暴風雨が起こるしな。だから空間を作り出して引きずり込んだ。ここなら本気でやっても気付く奴もいない。」

 

ラー「成る程…しかし、それなら俺らも周りを気にせずに暴れまわれるな。」

 

と、ラーは軽く笑みを浮かべた。

 

ジョー「スーラ、危ないから下がってろ。」

 

スーラ「下がるもなにも、ここがあのクシャルって人が作った空間なら安全な場所なんてないと思うよ。」

 

ジョー「それもそうだな。よし、お前も戦え。」

 

スーラ「え」

 

ジョーは返答も聞かずにクシャルの元へ走り出した。それを見たラーも走り出す。クシャルはそれを妨害する訳でもなく迎撃する訳でもなくただ見ていた。そこへラーの拳、ジョーの蹴りが突き刺さる…が

 

ラー「…っ!」

 

ジョー「!」

 

二人が顔をしかめた直後、クシャルの体から暴風が吹き出し二人を吹き飛ばした。

 

ラー「まぁ…クシャルって名前の時点で分かってたけどよ。」

 

ジョー「やっぱり張ってるか、風のバリア。」

 

クシャル「当然だろう。(しかし、この二人の戦闘能力はかなりのものだ。勢いをつけた一撃とはいえ風のバリアを破るか…次からは避けた方がいいかもしれないな…)」

 

ラー(風のバリアを破るまではいけるが破った時点でかなり威力は殺されているしクシャルダオラはたしか体表が鋼の筈だ。ダメージは微々たるものだろう。まずは風のバリアをどうにかしないと勝てねぇ。)

 

と、それぞれが考え、作戦を練っている時にジョーはクシャルに問答無用の龍ブレスを放つ。しかし、放たれたブレスはクシャルが放った風のブレスに押し返され、風によって吹っ飛ばされたジョーは頭から雪上に落下し顔面が埋まった。

 

ラー(…?あいつ風のバリアを纏っている筈なのにブレスを放てるのか?普通なら自分のブレスでも風のバリアによって打ち消される筈だ。なのに何故?まさか…)

 

ラー「ジョー!もう一回ブレス放て!」

 

ラーは雪から漸く顔を抜いたジョーにそう叫ぶ。

 

ジョー「(何か作戦思い付いたのか?)分かった!」

 

再びジョーは龍ブレスを放つ。

 

クシャル「無駄だ!」

 

クシャルが風のブレスを放ちジョーのブレスを押し返す。その瞬間にラーは思い切り地面を蹴り、クシャルに肉薄する。風のうねりは感じない。

 

ラー「やっぱりブレスの時はバリアを解除するみたいだな!」

 

バリアのないクシャルの身体にラーの拳がまともに突き刺さる…事はなかった。

地面から突然竜巻が発生しラーを巻き上げる。

 

ラー「うぉあ!?」

 

そしてそのまま地面に落下。落下直前に見た光景はジョーが風のブレスで吹っ飛ばされている光景だった。

 

クシャル「この世界の魔術の一つ、転移と私の力の応用だ。私は遠距離操作でも風を操れる。」

 

クシャル「魔術など無くとも自分の能力だけでやっていけると慢心していたな?確かに我々強力な種ならこの世界の人間どもの使う魔術などにやられはせん。しかし、応用によっては獣宿しの能力を強化、補助できる。」

 

そう言い終えた後クシャルは上空に翔んだ。ブレスや岩投げで落とそうとするもヒラリとかわされる。そして二人はクシャルが何かをぶつぶつ呟いているのを耳にした。

 

クシャル「こんな風にな」

 

ラー「まさか詠唱魔じゅ

 

クシャル「ブリザード!!」

 

吹雪の魔術ブリザードにクシャルの風の力を上乗せ、凍える竜巻が二人を襲った。

竜巻が消える頃には二人は全身血塗れ、しかも肉体の所々が凍りついているという目も当てられない状態になっていた。

 

クシャル「我々の仲間になっていればそのような状態になることは無かったのに、残念でならない。」

 

と、クシャルが呟いた瞬間クシャルに熱線が直撃する。間違いなくスーラが放った熱線だった。

 

スーラ「ようやく成功した…けど。」

 

クシャル「幼子よ、今の攻撃は無かった事にしてやる。そこで先程までのように大人しく見ていろ。そうしていれば見逃してやる。」

 

スーラの熱線がまるで効いていないのか涼しげな顔でクシャルはそう言い、雪山の空間を解除した。

 

スーラ「え…部屋に戻った…?」

 

クシャル「空間創造を解除しただけだ。さて…」

 

驚いているスーラを無視してクシャルは倒れている二人へ目を向ける。止めを刺そうと二人へ近づいたその時、倒れていたラーがクシャルの顔面に手を向け雷弾を破裂させた。目の前で雷弾が破裂し、クシャルは思わず目を瞑る。ラーとジョーはその隙に即座に起き上がり、スーラを抱え窓から飛び降りた。

 

クシャル「!…しまった…」

 

追おうとするクシャルだったが窓に目を向けたときにはもう三人の姿は無かった。

 

クシャル「逃がしたが…住んでる国はもう分かった。一度戻ろう。ここで待ち伏せしたところで警戒して帰って来ないだろうしな。」

 

そう言いクシャルは背中から鋼色の翼を生やし空へと飛び去っていった。

 

 

その頃…

 

 

王国モビスのとある店

 

ラー「悪いな、助かったぜ。」

 

占いの魔術師「いえいえ、貴方達にはお世話になったことがありますから。それにしても手酷くやられましたね。普通の人間なら死んでますよ。」

 

ジョー「生憎普通じゃないんでな。」

 

占いの魔術師「お嬢さんはほぼ無傷で良かったですね。」

 

スーラ「…うん。」

 

ラー「軽くあしらわれたからって落ち込むなって、お前はあの時自分がとるべきベストの行動をしただけだ。」

 

スーラ「何もしてないよ…私は」

 

ラー「俺たちはお前に目を向けれるほど余裕なかったし、戦ったらお前は絶対にやられていた。だからお前はあの場ではなにもしないのがベストだったんだ。」

 

スーラ「…うん。」

 

占いの魔術師「せっかく来たんですから占いましょうか?これからの事とか。」

 

ジョー「金ねぇよ。」

 

占いの魔術師「タダで良いですよ。その様子だと金もっているようには見えませんし。」

 

ラー「なら頼む。」

 

 

 

しばらくして…

 

占いの魔術師「出ました!」

 

ジョー「おせーよ!!何十分待ったと思ってんだ!」

 

占いの魔術師「このまま何も得ずに過ごしていると貴方達は死にます。」

 

スーラ「死ぬの!?」

 

ラー「何も得えなければ死…何かを得る…古龍に殺されない何か…」

 

ラー(自分の力を強化、補助できる魔術…?)

 

ラー「それならまずは獣宿しでかつ魔術が使えるやつを探さねぇとな…あっ」

 

スーラ「どうしたのラー?」

 

ラー「お前ら!突然だが王国セオンに行くぞ!」

 

ラー以外「え?」

 

 

 

 

 

 

                  続く

 

 

 

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