王国モビス 城下町 とあるアパートの二階にその店はある。何でも屋ラー&ジョー 二人の人間とは思えないような力を持つ獣宿しが営んでいるとされている店。しかし、チラシもなく、見た目はただのアパートのため、とても見つけにくい。しかし、その二人は報酬さえしっかり払ってくれれば殆どの事はやってくれるらしい。基本、ラー&ジョーは平日は常にやっている。今日は久し振りに依頼人がやってきたようだ…。
ラー「…で、依頼は何でしょうか?お客さん達。」
依頼人の夫婦「はい…実は息子が行方不明でして…」
ジョー「憲兵に相談しろよ。」
ラー「ジョー、黙れ。…それで?」
依頼人の夫婦「はい、憲兵にも連絡したのですが、国内で子供が行けるところは全て探したが見つからなかったと…」
ラー「それで残りの可能性は外に行ってしまったとしか考えられず、外に出てしまったのならとっくに魔物に喰われているから諦めろと言われたって所か。」
依頼人の夫婦「はい…しかしだからといって見捨てるなんて事はしたくありません!そう言ったら憲兵の一人にならここに行けと言われたので…」
ジョー「分かってると思うが、俺らにも出来ないことはたくさんある。死者蘇生もそのひとつだから、そのときに俺らを恨むなよ?」
依頼人の夫婦「勿論です!」
ラー「勝手に決めやがって…まぁいい、報酬は後払いで依頼を達成出来なかったら払わなくていい。」
ジョー「よし、行くか。」
二人はドアを開け、二階から飛び降りると、凄いスピードで走っていった。
王国モビスの外 浅緑の平原
依頼人の息子「いつのまにか随分遠くに来たなー」
依頼人の息子「あ、帰り道わかんねぇや。」
と、やけに冷静な息子の近くに狼に似た姿の魔物が数匹彼に低い唸り声をあげながら近づいてきた。
依頼人の息子「あ、やっべーなこれ。」
魔物達が一斉にとびかかる。
依頼人の息子「うわー!…何てな」
今更だが、魔術というものは才能のあるものにのみ現れ、一種類しか使えない者もいれば(例 ジョーの宿主)複数の種類を使える者もいる。しかも魔術は名門の魔術師の息子でも魔術が使えないという事が多いにあり得るし、その逆も然り。つまりこの子は…
依頼人の息子「氷の弓矢(アイスアロー)!!」
魔術が全く使えない両親から産まれたのにもかかわらず、魔術が使えるのである。
氷の弓矢が魔物の一匹に突き刺さり、その魔物は血を吐き倒れる。その様子を見た他の魔物は彼への攻撃を中断し彼から距離をとった。
依頼人の息子「うーん…俺が使えるのは氷の魔術だけみたいだなぁ…」
そして彼は次の一発を放つために距離をとった魔物の一匹に手のひらを向け冷気を集め始める。その瞬間、轟音とほぼ同時にとてつもない威力の雷の弾が魔物達を襲った。雷弾の威力が凄まじかったせいか、原型を残している魔物はいなかった。依頼人の息子が暫く呆気にとられていると後ろから声をかけられた。
ラー「大丈夫か?」
依頼人の息子「…何で邪魔したんだ。」
ジョー「あぁ?」
依頼人の息子「折角自分の力を試そうと思っていたのに、何故邪魔をしたんだ!」
ラー「眼(アイ)…成る程、最近氷の魔術師として覚醒して力試しに来たのか。」
ジョー「そうならそうと親に言ってから行けよ。お前の親御さん滅茶苦茶心配してたぞ。」
依頼人の息子「知るか!僕には関係ない!」
ラー「…ハァ…随分甘やかされてきたみたいだな。ジョー、下がってろ。ちょっとこいつにお灸を据える。」
ジョー「やり過ぎるなよ。」
依頼人の息子「俺とやるってのか?いいぜ、お前みたいな弱そうなやつ俺の敵じゃねぇ!」
ラー「生意気な子供を持つと親も大変だな。」