「折角リーダーの故郷に来たってのになんで牢獄なんすかぁ?」
天蓋笠を被った男と思われる声を発した者は、そう言った。
檻にはリーダーであるデイダラを除いた全員が入っていた。
「仕方ありませんよ。故郷に帰った忍びとはいえ、彼は抜忍。取り調べを受け、その間私たちが捕まっているのも必要なことです」
「そうは言ってもっすよー俺らもリーダーが心配なわけでー」
「うるさいぞ!囚人共!」
鉄格子を叩く岩隠れの忍び。
「囚人はやめてくんなまし。あくまでわっち達はここに入っているだけでありんす。用がなければ直ぐに出ていくでありんす」
「その時に貴方を殺すくらい訳もありませんよ」
そう言われ、黙ってしまう岩隠れの忍び。
どんな殺人鬼だろうと中隊規模の上忍で取り掛かれば制圧は難しくも殺害は可能だ。
しかし、天叢雲は大隊規模だろうと片手間に潰し、里ひとつ壊滅させる事もできるらしい。
噂だと笑うものは多いが、檻番をしているこの忍びは真実であると感じていた。
ことばでは言い表せない不気味さがこの檻の中に充満し、漏れ出ていた。
「色々と言いたいことはある。しかし、まず1つ。よく帰ってきたじゃぜ」
場所は代わり、土影の部屋。
本来捕虜などは拷問室や尋問室へと通される。
しかし、無闇矢鱈に暴れる事は無い、何かあれば自分が対処すると土影に言われ、この影の部屋へと通されたのだった。
「デイダラ兄ーー!!!」
「本物だにーーー!!!」
「黒ツチはいいが赤ツチのデカさで掴まれると潰されっ!!おわーーー!!」
部屋では赤ツチと黒ツチに抱きつかれるデイダラの姿があった。
「ゴホンっ!」
「すいません、オオノキさん。いや三代目様」
「いいんじゃぜ。しかし、今は事情聴取。後で思いっきり話なさい」
「はーい」
「だに」
赤ツチと黒ツチは部屋を出ていった。
「さて、本題に入る。何故里に戻ってきたんじゃぜ」
「問題であった五尾のコントロールが出来るようになりましたし、里の外に出て見聞を広めるのは十分してきたと思いまして。それで幼い頃の夢を叶えに帰ってきました」
「それが土影じゃぜか…」
「はい。幼い頃、貴方に憧れ育ったんですから」
「嬉しい話じゃぜ。しかし…」
「難しい話なのは分かってます。人柱力である事、元抜忍である事、傭兵集団の長である事。幾つも障害になりえることです」
「覚悟の上なんじゃぜな…」
「はい。まあ、実力はありますので後は里との絆ですかね」
「ワシも腰が痛くなってきたからの。そろそろ変わりたいとは考えておったんじゃぜ。まあ、まだ渡せんがの」
「ご指導の方お願いします」
一応のところお咎めは無かった。
一から、下忍からやり直しで里に信頼を持たれるように頑張れということになった。
傭兵集団と言っても天叢雲を名乗ってからは人を殺してないし、問題は無かった。
依頼解決はだいたい幻術でどうにかなっていたし。
ブラックリストに乗っている者が多数在籍しているが、天叢雲は岩隠れの忍びに無理矢理入れてもらった。
色々蟠りはあるだろうがそこらへんも直して行きたいし。
それを抱え込む粘土の様な寛容さが新しい岩隠れに必要だと考えている俺には必要だと思う。
そして5年の月日が立った。
「では、調印式を…」
「土の国はこれを承認する」
「同じく岩隠れの里はこれに承認する」
「火の国はこれを承認する」
「同じく木ノ葉隠れの里はこれに承認する」
「二国、二里の承認を確認。これにて同盟を締結致します」
「やれやれ、来年は中忍試験か……」
「同盟を結んだ風の国はまだしも、たった今結んだばかりの土の国もやって来るとは…」
「一波乱起こりそうですな…」
「しかし、岩隠れの里も新体制になっとった」
「どうせ、岩隠れ。何も変わらんよ…」
様々な噂話が交差していく。
本来の歴史に存在しないイレギュラー。
そのひとつが大きく咆哮したのだった。
これにてようやく。
はじまりはじまり。
イレギュラー
《大人弥 デイダラ》
《春野》
《鬼灯》
《夜空》
《鍛治谷》
《うちは》
《???》
《???》
《???》
《???》
撒かれるは十の因子。
既に芽吹いたそれらは何時産声を上げるのか。