いいかー。不死身と無敵は違うんだからな!   作:炬燵猫鍋氏

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今回、藤宮君は持てるカードを全部切り、雄英側の手札を、役を頑張って推理しました。


藤宮続行:ファーストステージ Act2

さて、お邪魔虫の0ポイントが動き出した、か。

ビル群を薙ぎ倒しながら進む巨体。

はー。パワー・サイズ・強度、全部が他の仮想ヴィランとは段違いだな、ありゃ。

 

で、みんな逃げる、と。

 

そりゃそうだ。普通は逃げる。

勝てやしねー。

勝ってもポイントは入らねぇし。

 

でもなー、残り時間が短くなったところで動かす理由は?

いや、今の今まで他の仮想ヴィランや受験生に近づかなかった理由は?

試験官は、何かを判断しようとしてる。

何かはわからん。落ち着いて避難できるかどうかの冷静さかもしれんし、な。

 

俺が今狙っているのは、逃げ出した受験生が放り出した仮想ヴィランだ。

 

だから、俺は0ポイントに向かって走り出している。

あえて、ビルの屋上からの跳び移りは行わない。1~3ポイントの仮想ヴィランに発見してもらわんといかんからな。

 

『お、おい無茶だ!早く逃げろ!』

『危険だぞ!』

 

親切だなー。君たち。

でも、俺にも考えがあんのよ。

 

『あ、痛ぅっ。』

 

ん?あらま、転んだのか。女の子……か。

まぁ、助ける必要ないんだけどなー。

あ、響きわたる0ポイントの轟音に涙目になってる。

んー、しょうがないか。

 

『ほら、掴まんな。』

 

手ぇ伸ばして、と。

 

『あ、あ、ありがとーっ!』

 

ひょい、と立たせて。

 

『慌てずゆっくり逃げな。』

 

『で、でも、ゼ、ゼ、0ポイントが!』

 

『だーいじょーぶ。こっから先には行かせないから。』

 

『え?』

 

俺は0ポイントに向かって走り出す。

あ、誤解されたかね?

俺が食い止めるとか、倒すとか?

 

あはははは。ナイナイ。

 

あれは相手をする必要がないのさ。

 

俺は広い通りを選んで、大声を上げる。

 

『かかってこいやーっ!!ポンコツどもっ!!』

 

両手にはバール。

接近する0ポイントを睨みながら、集まってきた1~3ポイントに戦いを挑む。

 

『対象確認……殲滅スル。』

 

はっ!上等だ!

俺は2ポイントの仮想ヴィランの前足を両手のバールで同時に千切る。

前のめりにバランスを崩す仮想ヴィランに跳び乗り、尾のようなパーツの付け根にバールを2本とも打ち込みグリグリと抉った後、引き抜いて腰のベルトにバールを戻す。

そて、仮想ヴィランの尾を両手で掴み、思い切り引き上げる!

 

ちーぎーれーたっ!!!

 

そぉれっ!

 

『ヴィラン・テール・スイングーッ!!!』

 

ミスミスミスミス。

 

振り回す。振り回す。振り回す。

 

尾っぽパーツがボロボロになるころには、周りの仮想ヴィランにもいい感じでダメージが入っていた。

よっしゃっ!追撃だあっ!!

 

ん?0ポイントはどうしたのかって?

 

ああ、俺の近くで手足を使ってビルを攻撃してるぜ。

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気をつけないといけないのは、落ちてくるビルの破片ぐらいか?

 

うん、つまり、あれはお邪魔虫なのさ。

あんな巨体で殴られたら、踏まれたら、死んじまうかもしれないだろ?

受験生の子どもたちが、さ。

だから、攻撃は出来ないのさ。

アルゴリズムなのか、試験官がコントロールしてるのかまではわかんねーけどな。

 

仮想ヴィランに撃破に熱中して、避難するのを忘れている俺みたいな奴がいても、脅すしかできねーのさ。

そのあたりを探るためにプレゼント・マイクにあんな質問をしたんだが。

 

どこまでいってもこれは高校受験だぜ?

 

まぁ、あら探しをするような行動がマイナス評点になる危険性はあるんだが……、状況判断を評価してくれることを祈るね。

 

ビルをあらかた壊してしまったせいか、0ポイントが足元をズガンッ!ズガンッ!と手と足で叩いてやがる。

 

ははっ、なんかだだっ子みてー。

 

ふははっ!

仮想ヴィラン、残り物撃破ーっ!!!

ふん、ざっくりいっても全部で60ポイントは潰したぞ!

さて、そろそろ終了か?

 

『終~了~っ!!!』

 

おお、ジャストタイミング!

 

よおしっ!

死なずに!ケガせずに!実技試験をやり遂げたぞ!

手応えも充分だっ!

 

ミシッ。バキッ。

ドゴォォォッ!!

 

へ?

なんだ?

あ、0ポイント?

足元が、崩れて、空洞?停止してたから、バランスが?

やべっ!

俺の、上に、倒れて、くる?

 

くそっ、どうするっ?

 

死んで、死んでたまるかっ!

 

死んでもいいわけじゃないんだっ!

 

あいつ、不死身だから、バカやっても受かったんだなんて!言われたくないんだっ!

 

今のパワーなら、耐えられるのか?

今のパワーなら、弾き返せるのか?

 

俺は、全力で拳を突き上げた。衝撃が放たれる。

あがる轟音。

……へこんだ。

それだけ。

止まらない。

落ちてくる。

潰される。

また、潰される。

 

い、いやだ!

死にたくない!

死にたくない!

死にたくない!

 

死 に た く な いっ!!!

 

 

こんな、こんなガラクタにツブサレルノハイヤダ。

 

オレガナンカイシンダトオモッテイル。

 

モウコノテイドノシハオレニフサワシクナイ。

 

ウセロクダラヌグウゼンヨ。

 

オレニケンジョウサレルベキオレノシハモットサツイニミチタヒツゼンデアルベキナノダ。

ソウデナクテハウツクシクナイ。

ソウデナクテハタノシクナイ。

ソウデナクテハウマクナイ。

 

ミライトカノウセイヲヌリツブスシニモキセンガアルノダ。

 

オレハコノクダラヌシヲキョゼツスル。

 

 

 

なんだ?

どうして、俺は、生きてる。

足元。

俺の死体は、無い。

服は、着てる。

 

俺は、生き延びたのか。

 

0ポイントは、何処に行った?

 

周り、白い。

白い粉が舞ってる。

白い粉がうず高く。

 

俺は、拳についたソレを、舐めてみる。

 

塩?

 

どうして、なんで、なにがっ!!!

 

どうして、0ポイントヴィランがっ!

 

塩の柱になってるっ!!!




いつのまにか、手札が全部ジョーカーになっていたとしたら?
貴方はどうしますか?
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