さぁどうなる?
今までも色々あった。
瓦礫に潰されて死んだり。
ヒーロー殺しに殺されたり。
女ヴィランに石にされて、そのまま死亡判定入ったり。
……あ、そういえば石化藤宮君、竜爪会の組長さんが警察から引きとっちゃったんだよな。自分の部屋に飾るって。
でも、今回のコレは異質だ。
いや、死んで生き返るのも充分に異質な気もするが。
油断して、倒れてくる0ポイントを避けれなかった。
全力で拳を振り上げたけど、いくら強化されてるといっても、今の俺のパワーではどうにもならなかった。
だから、俺は、また死ぬはずだったんだ。
それなのに、俺は生きている。死なずに済んでしまった。
塩の柱に、塩の山に囲まれて。
一瞬、意識が飛んだような気がした。
その時に何が起こった?
俺がやったのか、コレを?
俺にそんな力は無い……はずだ。
元素転換だとか、物体崩壊だとか、例えるならそんな個性の発揮された結果だろう。
なら、誰かに助けられたのか?
それも違う気がする、
矛盾しているが、俺にできるはずもないのに、これは俺のやったことだと確信があった。
矛盾……死に続けて生き続ける、俺の個性そのものかもしれない。
ざわざわ。
『おいアレ。白い……粉?塩、か?』
『あいつがやったのか?!』
『0ポイントに向かって行って、倒して塩に変えたのか? 』
『なんて個性だよ。』
『あれ?あいつ見たことあるぞ。』
『〝ヒーロー殺し殺され〟じゃね?』
おい、最後。
だからやめろ。ひーろーごろしころされ はやめろ。
っていうか、言い出したヤツだれだ。
訴えるぞ。
俺は慌ててその場を離れる。
ん?怪我人に治療してる、のか?
リカバリーガール。
雄英の屋台骨とまでいわれるお婆さんヒーローだ。
まぁ、俺は怪我してないしな。
『ハリボーをお食べ。ペッツも有るよ。』
あ、せっかくだから貰っていこう。
さて、緑谷はどうだったかな。
爆豪は問題ないだろう。
あいつのことだ、トップの成績でもおかしくない。
明後日の筆記試験の結果にもよるが。
あ、緑谷ぁーっ!
おぉっ。目が死んでる。
ダメだったのか。
『おい緑谷、どーだった?』
へ?ビビって全然?
バールは?
あぁ、使う余裕もなかった、と。
ん、返してくれるなら受け取っとく。
倒せたのは0ポイントだけか。
待 て や。
あのデカブツだけ倒したってどうなってるんですかねー緑谷くーん?
ん?つい先日個性が発現した?
全然コントロールできなくて、片手と両足が壊れた?
で、リカバリーガールに治してもらった、と。
まぁ俺も遅咲きの個性だからなー。
そっかー、
転んでた女の子、あー、あの無重力ガールを助けるために、ね。
デカブツ、実は襲ってこないアルゴリズムだったのは黙っておくか。
その代わりに……。
『緑谷。俺の予想ではあのお邪魔虫、裏ポイントに絡むぞ。もしかしたら、お前受かるかもよ。』
『ホントに?!藤宮君!』
『あぁ、いろいろ矛盾があったからなー。』
『そ、そっか。あ、ところで藤宮君は死なずにすんだの?』
『あったり前だっつーの!そしたら今頃、服がボロボロか血塗れだわっ!』
ん、ワンチャンあるよ、おまえ。
だから筆記も頑張ろうぜっ!!
『……でも、何か真っ白だよ?』
『塩だよ、塩!塩まみれになったの!』
『……なにがっ?!』
ふ、緑谷は元気になったし、俺も気分が紛れた。
さー、切り替えていくぞーっ!!!
うん。油断した。
まさか筆記試験で死にかけるとは。
……全然解けなかったんだろーなー。
いきなり試験中にキレて立ち上がったヤツがいてさ。
偶然、俺と目が合ってさ。
『うわぁぁぁっ!!!僕を見るなーっ!!!』
答案用紙掴んで投げてきやんの。
そしたら、ギュルルルルって高速回転しながら、俺の首に向かって飛んでくるのよ。
いやー、ビビったビビった。
あれもろに食らってたら、たぶん首に刺さって死んでたね、俺。
もしそうなってたら、血塗れの俺の死体。
血塗れの俺の答案用紙。
その側に立つ、全裸の俺。
試験を続行させてくれたかあやしーじゃん。
いやー、危なかった。
ん?どうやって防いだのかって?
咄嗟に筆箱の中から小さいバールを取り出して受け止めたけど?
やっぱり森野久さんの護身術は最高だな。
試験の結果が出たら改めてお礼にうかがおう。
筆記の手応え?
ん、かなりいい線いったな。うん。
さー、帰るかね。
へ?何ですか?
俺だけ、面接?
はぁ、いいですけど。
なんだろねー、実技の、あれか?塩対応か?
でも答えようがないしなー。
案内された部屋は仮眠室ってなってた。
待っていたのは……。
『ネズミなのか犬なのか……かくしてその正体は校長さ!』
遊園地のマスコットキャラのような、雄英高校の名物校長である根津校長先生と、そして。
『私が、先に来ていた!始めまして藤宮少年!!』
オ、オ、オ、オールマイトォっ?!
マジか!
スーツ着てるけど!
でけえっ!
画風違うなっ!マジでっ!彫り深いし!
なんだ、なんでNo.1ヒーローがっ?!
『うん、まず私がここにいる理由を教えようっ!私が雄英に教師として勤めることになったからだ!』
マジすか。おー、緑谷に教えてやろう。
っていうか、オールマイトに会ったっていったら羨ましがるだろうなー。
『そして、私たちがこの席を設けたのは、君の個性について直接話を聞かせてもらいたかったからだ。』
あー、やっぱなー。
『まず、君はかなり遅咲きの個性だったね。しかも、御両親の個性とは異なる混合……いや、突然変異型か。』
だよねー。
高速治癒と不老を混ぜたからって、ちょっと俺の個性はアレだ。
『聞くのは正直心苦しいのだが、今までに三回死んで……いるのだね。』
ですね。
三回目はちょっと毛色が異なるけど。
『それで、甦る度に力が増大する。まるで……まるで死んでいった自分の力を……
はぁ。
ストックする、ですか。
その言い回しは使ったことも、言われたことも無いですけど、なんか面白いですね。
『ただそうなると……実技試験で君が引き起こした現象について謎が残る。』
あー、それなんですけど、自分でもわかんないんですよ。
あれがなんだったのか。
『複数の個性、では無いのかね?』
いやいや、んなわけ無いじゃないですか。
ってか、オールマイト、何か怖いっす。目が。
『君が、君が誰かに、個性を譲渡された可能性を……私たちは危惧している。』
へ?
何すかそれ。
そんなことできるわけ無いでしょうが。
どっからそんな荒唐……無稽……な。
あ、まさか、この人ら。
同じく中学で、同じクラス。
つい最近まで無個性と、未覚醒。
それを急に発現させた個性。
疑ってるのか。
俺と、緑谷を。
個性譲渡だなんて聞いたこともねーけどっ!
ふざけんなちくしょうっ!
『緑谷も、ですか。』
『ん?緑谷少年、かい?』
『緑谷出久のことも疑ってるんすね。』
『あ、いや、彼の事は……。』
何か動揺したなオールマイトさんよぉっ!
俺は疑われてもしかたがない。
こんな訳のわかんない個性だしな。
でも、あいつまでまとめて疑いの目を向けるならっ!!
黙ってないぞ!
校長だろうがっ!トップヒーローだろうがっ!!!
あんたに憧れている緑谷が。
あんたみたいな超パワーを手にいれて、制御もろくにできないのに、他の受験生を助ける為に、手足が折れても頑張った緑谷がっ!あんたに疑われていると知ったら!
あいつはどれだけ哀しむかっ!!!
緑谷、お前の、お前の疑いだけは晴らしてみせるからなっ!!!
あれ?
このお話『勘違いもの』だったかな?