いいかっ!
緑谷は、緑谷出久はっ!
確かに鬱屈していた!
ヒーローになりたいと言いながらも!自分が無個性だという現実に!
いや!無個性はヒーローになどなれないと!
緑谷の夢をただの夢物語だと嗤い!
あるいは同情の眼差ししか向けて来なかった周りにだっ!
俺もそうさ。
俺はヒーローなんて夢見てなかった。
だから、緑谷の夢を、あんたへの憧れを!
理解できず!
いつかは醒めるもんだと正直思ってた!
聞いてくれてますか?!
オールマイト!!!
『あ、いや藤宮少年。今は緑谷少年より君の……。』
俺はいいんだよ!
俺は!今は緑谷の話をしたいんだっ!
正直、何が切っ掛けかわからない。
でも、あいつは変わった。
トレーニングを、体を鍛え始めたんだ。
ちょうど俺が、俺が初めて死んだ直後くらいの時期だったよ。
ハードなトレーニングだったな。
一度聞いた時は、睡眠時間も、食事のメニューまで管理した徹底ぶりに驚いたぜ。
それだけじゃない!
あいつのトレーニングは!
海浜公園の清掃も兼ねてたんだ!
信じられるか?!
流れ着く漂流物と、不法投棄された粗大ゴミで溢れた!
あの!行政も、プロヒーローも見て見ぬふりをしていた浜辺を!ボランティアで清掃してたんだぜ!
『あぁ、うん。知ってるかな……。』
知ってる?!
知ってるなら緑谷を疑うような考えをどうして持てる!
あいつは、緑谷は言ったんだ!
何倍も頑張らないと追い付けないって!
あんたみたいな最高のヒーローになりたいって!!!
無個性なのに!
無個性だったのに!!!
……一つ、緑谷に怖くて聞けないことが有ったんだ。
今でも、聞けてない。
あいつ、俺が初めて死んだあの場所にいて、俺、あいつの目の前で瓦礫に潰されました。
だから、ひょっとして、あいつが変わったことの切っ掛けに、俺の死が有ったのかなっ……て。
もしかして、感じないでいい責任を、あいつに背負わせたのかなって。
『藤宮少年!もしそうだとしても、それこそ君が……』
俺は!俺は怖くて!
もし、そうなら!だったら、少しでも、力に……いや!
俺も目指すことにしたヒーロー科の門を!
いっしょにあいつとくぐれればって思って、だから、受験対策を二人で協力してやったりして……。
俺は!俺は恵まれた!
死んでも!まだ
俺の体を、死んでいった俺たちが支えてくれてる!
それだけじゃない!
優しい母さん。
警察で、地味な部署だけど、地域の安全の為に努力してる父さん。
そして、何百年も地元を守り続けてきた
『竜爪会?!藤宮少年、君は……。』
あぁ、ヴィジランテだから雄英の校長先生やオールマイトからしたら認められない人達かもしれないけど!
確かにあの人達は法で認められたヒーローじゃない!
でも、優しく、 雄々しい、俺から見たら
そんなたくさんの人達に支えられた俺と違って!
あいつは、緑谷は!たった一人で立ち上がって!
たった一人で走り出して!
たどりついたんだ!
ここに!
個性だってそうさ!
実技試験の直前に発現したって言ってた!
制御のしかたもわからなかったって!
『あぁ、うん、そう……だね。』
使えば体が壊れる超パワー!
オールマイト、あなたみたいな体があれば使っても平気だったろうが、この10ヵ月で鍛えた体でも、緑谷の体にはまだ扱いきれないものだったんだろうよ。
でも、そんなジョーカーを、あいつは人を助けるために使ったんだ!!!
手足が折れても!!!
俺にはできない……そんな勇気も、優しさも俺には無いんだ。
あいつは、あいつは俺なんかとは違うんだよ。
『あぁ……わかった。緑谷少年の事は、君が彼の事を友人としてどれだけ思っているかはわかったよ。』
よかった。
わかってもらえましたか。
じゃあ、俺はこれで……。
『ま、待ちたまえ藤宮少年!肝心の君の話がまだ……。』
俺はいいんです。
あの妙な……塩まみれ現象の説明はできないから、疑いを晴らすこともできません。
だから、もし雄英のヒーロー科に入れなかったら、他の学校でヒーローを目指します。
俺は、ヒーローにならなくっちゃいけないから。
俺の為に。今の俺の為に死んでいった、俺達の為に。
へへ、それに、もうヒーローネームも決めてるんですよ。
もうどこにもいない俺達の生と死が、たった一人の俺に繋がっている。支えてくれている。
ALL FOR ONE
それが俺の、藤宮続行のヒーローネームです。
では、失礼します!!
『なっ……!!!ま、待ちたまえ藤宮少年!』
あー、やっちまったかなー。
不合格かねー、こりゃ。
でも悔いはねーよ。
へへへ、生意気すぎてびっくりしたのかな。
あのオールマイトの顔。
なんか、とんでもないもの見たような表情でさ。
……緑谷、お前は止まるんじゃねえぞ。
ジャンル、勘違いものだったようです(笑)
仕方ないね。教科書にも書いてないから。