『まさか、よりにもよってオール・フォー・ワンを私の前で名乗るとは……。』
ブバッ!
ストレスからか、オールマイトは大量に吐血。
巨体は蒸気をあげて萎んでいく。
『ふむ?しかし、彼の情熱、瞳の輝きに〝悪意〟は感じられなかったがね。その点はどうだい?オールマイト先生、相澤先生。』
ネズミなのか熊なのか、奇妙な動物である根津校長がオールマイトと、隣の部屋……戸の隙間から藤宮の様子を伺っていた相澤に発言を促す。
『確かに。藤宮少年の態度が演技とは思えません。と、いうより、裏が有る……最悪、ヤツが関わっていたとしたら、私の前でその名を口にさせるとは思えません。』
『どうかな?人心を操る狡猾な男だぜ。本人に気がつかせずに手駒にするぐらいやりかねないと思うね。』
オールマイトの言葉に疑問を返す校長。
『校長、オールマイト。……5年前の戦いで死んだはずの悪魔が生きている、と?』
相澤の言葉に頷きながら、机の上の紙束を校長は手に取る。
『誰も死体を確認できていないからね。オールマイトが頭を砕いたはずの死体を。』
紙束をパラパラとめくって目を通しながら、校長は言葉を続ける。
『そう、そして、藤宮続行という少年を通して、宣戦布告……いや、休戦の終わりを告げたとも考えられる。決して死ぬことの無い少年を、我々の次代育成の場に送り込む。藤宮君の全てがヤツのメッセージ……かもしれないよ。』
校長の言葉に顔をしかめながら、相澤はオールマイトに顔を向ける。
『オールマイト。貴方が目をかけているらしい少年との交流も含めて、が、戦略の危険性すらあるのでは?』
『……だが全てが推測。たとえ、推測が当たっていたとしても、藤宮少年に何の咎があろうか!ならば、我々は彼を守り、救わねばならない!』
『そうだね。では、彼の入学を認めよう。ま、そもそも全てが偶然の可能性もあるしね。』
校長の言葉に両名は頷きながらも、まだ筆記の結果が……と言いかける。
『ん、今、採点したぜ。なかなか優秀だ。これは総合で一位かな?』
手にしていた藤宮の答案用紙をひらひらと揺らしながら、校長が笑う。『ハイスペック』の個性持ちの面目躍如だ。
『そうですか。ならA組で私が預かりましょう。監視が必要なら、私の方が適しているはずです。』
(偶然……偶然、だとしたら? 連面と受け継がれしワン・フォー・オール。私の代で討ち取った筈のヤツが生き延びたなら、緑谷少年に託さねばならない。)
(だが、だが、
(その意味するところは……繰り返すのか。形を変え て、鏡に写して繰り返すのか?)
(すまない。……すまない、緑谷少年。私は、多分、君たちの運命の決する場には、その頃にはもう、君たちの側にはいられないんだよ。)
『さっ!オールマイト先生は合格通知の撮影だよ!一番手は藤宮君へのメッセージだ!』
『あ、その、心の準備が……!』
あと、活動報告にて、アイデア募集のお知らせを書きました。
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