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いや、なんでいるんですかオールマイト、まじで。
『む?君は藤宮少年!……先ほどのシャウトは君か。』
俺が事情を手早く説明すると、オールマイトは深く頷きながら、人差し指一本を立てて、まだ呻いてるヴィランもどきの側を通りすぎる。
ガクッ。ガクッ。ガクッ。
3人が糸の切れた人形のように倒れ伏す。
すげーな。顎を高速で掠めて脳震盪を起こさせたのか?
『指一本で3人の顎を一瞬で……マジすげえ。』
俺が呟くと、オールマイトは少し驚いたように俺を見る。
『藤宮少年!私の動きが見えたのかね?大したものだな。さすがヒーロー科入試一位だ!』
いやー、そっすか。誉められちった。
で、オールマイトはなんでここに……。
『オールマイトぉーっ!』
緑谷ぁっ?!
なんでお前もいるんだ?
ん?オールマイト、なんか汗かいてませんか?ん?
『あ、あれ?藤宮君?なんで?』
それは俺のセリフだ
っていうか、ここで会ってたの?オールマイトと?
どーゆーこった。
『いや、それはだな藤宮少年……。』
オールマイト、へどもどしないでくださいよ。
『騙すつもりはなかったんだけど、簡単に話せない事情がね……。』
緑谷、お前も落ち着け。
あ、お巡りさんとヒーローが来ちゃったじゃないか。
ん?あのお姉さんは……あぁっ。
Mt.レディだ!
あはは。お久しぶりでーす。
藤宮続行でーす。
いや、びびんないでくださいよ。
もう済んだことじゃないですか。
あー、保険の話、まだもめてるンすか。
『ごめんなさい。ホンットにごめんなさい!』
『あのー、Mt.レディ?この少年と何か?』
ほら、お巡りさんも困っちゃってるじゃないすか。
『私とヴィランの戦いでこの子が死んじゃって……。』
『はっ?!』
あーっ!事情知らない人にそーゆー言い方やめーっ!
『そういえば藤宮少年は何故ここに?』
『どこから藤宮君に話したらいいのか……。』
うおぉぉっ!!!
話が進まねぇぇぇっ!!!
オールマイトが話をまとめて、お巡りさんとMt.レディがヴィランもどきのチンピラーズを連行していってくれた。
ふう。
これで少しは落ち着いて話ができるかな。
で、何で二人がいっしょにいたんすか。
『すまない、藤宮少年!実は私は……緑谷少年に指導をしていた!』
へあっ?!
マジですか!
って事は……この海浜公園は……。
『私考案〝目指せ合格アメリカンドリームプラン〟!』
み、緑谷ぁっ!マジの、マジ?
マジですか!マジなんですかっ!!
うぁぁぁぁぁぁっ!!!
お、俺!
筆記試験の後!
オールマイトに!!
緑谷がどんだけ頑張ってるか、り、力説を!
『あー、その、なんだ、藤宮少年?』
見ないでください!
今の俺を見ないでくれぇぇっ!
ふう。
そっか。
俺、空回りしてたのか。
『いや。君の緑谷少年への熱い友情、確かに感じたぜ!……私もあの場で言い出し損ねたしね。』
そっすか。そう言っていただけると……ん?
そーすっと、オールマイトは無個性だった緑谷の為にトレーニングプランを組んだんすか。
『……っ! あぁ!緑谷少年の!考えるより体が動く!そんな資質に心打たれてねっ!』
そっか。
そうですね。
緑谷には、そう、そんな所ありますよね。
俺には無い、勇気が。
『そんなこと無いよ!藤宮君だって僕を支えてくれた。励ましてくれたじゃないか!』
……違うんだよ、緑谷。
俺は、お前みたいに強くない。俺は、死ぬのが怖いだけなんだ。
『それは誰だって……!』
お前、死んだこと無いだろ?
『そ、それはっ!……そりゃ、無いけど』
俺は、3回死んでる。
多分、これから何度も死に続ける。
それが嫌で、怖くて、何とかしたくてヒーロー科の門を叩いたんだ。
全部、自分の為なんだ。
お前とやった受験対策は、俺よりも優しい、お前の力になれたらって……自分勝手な俺が誰かの力になれるのが嬉しかったんだ。
『藤宮少年、君は……。』
あ、気にしないでください。
今、ダサい事を言っちまったけど、ほら、俺も緑谷も雄英に受かったし。
これからですよ。これから。
ほら、オールマイトの決め台詞じゃないけど、俺は、ここにいるから。……生きて、いるから。
俺は、いるからっ!!
『……っ!藤宮、少年。君は……。』
あ、そうそう!ってことは、緑谷の個性発現は偶然ってことですか。
『あ、あぁ!私も驚いたな。うん、まるで、うん。』
まるでオールマイトの個性みたい、ですか?
ですよねー。
あんなデカブツをワンパンで……って。
ん?
実技試験の日、俺は緑谷の気配が変わったようだと認識していた。
モーター式のシティ・コミューターが、大排気量のハイブリッド車になったかのように。
個性発現の証だろうと、今の今まで気にしてなかったが、緑谷とオールマイト……。
この二人の個性、何か似てっぞ?
オールマイトも緑谷も個性は〝超パワー系〟。
だから偶然似てる、のか?
緑谷に教えてもらった御両親の個性は、〝引き寄せ〟と〝口から火炎〟。
どちらとも似てないから、突然変異的な個性だと思っていたけれど。
オールマイトとよく似た個性。
雄英受験の為の、オールマイト作成の10ヶ月肉体改造プラン。
個性発現前から目をかけていて、その果てに同系統?の個性が覚醒……。
まさか、まさか、まさか。
緑谷の本当の父親はっ……!
いやいやいや。落ち着け。決めつけんな。
それに、万一そうだったとしても、緑谷が知らないままの可能性がある。
緑谷に迂闊な事を言えば、オールマイトと緑谷の双方に迷惑が掛ける結果になりかねん。
『藤宮少年?どうかしたかね?』
いやいや。何もどうもしませんよ。うん。
『本当にごめ……じゃない、藤宮君、ありがとう!』
いやいやいや。気にすんな。ダチじゃねーか。
『うむ。では、私はこれでっ!』
タッタカターっと走り去ろうとするオールマイト。
あ~、どーすっかな。
えぇい、ままよっ!!
ダッシュ!
オールマイトに追い付き、声を掛ける。
うん、緑谷とは距離があいたし、ちょうどいいかな。
オールマイト!
『む?何かね?すまんが時間が……。』
俺、頑張ります!
緑谷とは友人として、ライバルとして、いい関係を築きます!
『そうか!そうだね!』
『……?!そう、か。やはり、君は……。』
オールマイトの表情!
やっぱり当たってたか……
余計な事は
うん、こう言っておけば安心してもらえるよな。
『わかった。……また会おう。彼と君の運命の舞台で!』
去り際にロマン溢れるコメントきたわー。
いいね、運命の舞台、か。
さて、と。
おーい緑谷ぁーっ!
雄英の見学日決めよーぜーっ!!
どっかで軽く食いながらさー!!
たどり着いてないよな、真実に。
藤宮君もオールマイトも。